Kong株式会社は、常石造船株式会社が進める調達システムのモダナイゼーションプロジェクトにおいて、API・マイクロサービス基盤「Kong Konnect」の採用を発表しました。
15年以上稼働する基幹システムのモダナイゼーションにKong Konnectを採用
常石造船の調達システムは、購買や鋼材発注、在庫管理などの重要業務を担うミッションクリティカルな基幹システムです。15年以上にわたり稼働してきた同システムは、長年の運用による複雑化やドキュメント不足により、従来型のアプローチでは調査・分析だけでも多大な工数と期間が必要な状況が続いていました。
システム停止が工場全体の業務に影響を及ぼすリスクに加え、グループ横断での調達業務統合や資機材コストの最適化、共同購買・在庫融通といった業務高度化が経営上の重要テーマとなっていました。こうした背景を踏まえ、AI駆動開発を活用することによって、初期検討プロセスを大幅に効率化し、長年刷新が難しかった基幹システムのモダナイゼーションに現実的に着手できる段階に入っています。
AI駆動開発とKong Konnectで解析・初期検討工程をわずか2日間に短縮
本プロジェクトでは、株式会社Scalarの支援のもと、リファクタリングAIエージェントを活用しています。数千本以上に及ぶ既存コードの構造分析や技術負債の可視化、設計整理を短期間で実施しました。技術負債の可視化から業務ドメインの整理、マイクロサービス化に向けた再設計方針の検討を、わずか2日間で完了させた点が特徴です。
AIによる解析をもとにドメインの再設計を行い、機能を9つのマイクロサービスへと分割・整理しています。業務ごとにデータや機能を切り分けることで、将来的にAIエージェントや大規模言語モデル(LLM)が必要な業務コンテキストへ安全かつスムーズにアクセスできる次世代アーキテクチャの基盤を構築しています。今後の設計や実装、テスト工程においても、従来想定と比較して70%以上の工数削減が見込まれるところです。
Kong Konnect選定のポイント
今回採用された「Kong Konnect」は、マイクロサービス化された新システム群を安全かつ柔軟に接続・管理するAPI基盤として評価されました。主な選定ポイントは次の4点です。
- 認証・認可やAPI制御、セキュリティポリシーを一元管理する堅牢なAPI統合管理
- Blue/Greenリリース等を活用した既存システムから新システムへの段階的移行
- 移行フェーズに応じてAIトークン管理やAIエージェント連携まで拡張できるプラグイン構造
- LLMやAIエージェントが調達・在庫・購買・会計などのデータへ安全にアクセスできるコンテキスト制御
主な評価ポイントとして、段階的な移行を支援する柔軟な運用性と、将来のAI活用を見据えたコンテキスト制御の設計などが挙げられています。
常石造船株式会社 執行役員 経営管理本部 情報戦略室 室長 森 悟志氏は、次のように述べています。「造船業の競争力の源泉である調達において、変化に即応し続けるためには、ITの主導権を自社が握る完全内製化が不可欠でした。Kong KonnectやScalarDBといった先進技術とAI駆動開発を掛け合わせることで、設計からテストまでの工程の70%以上の削減を見込め、従来の常識を覆す開発スピードを実現できます。」
株式会社Scalar 代表取締役CEO 深津航氏は、「AI駆動開発によって、長年刷新が難しかった基幹システムモダナイゼーションが現実的になりつつあります。Kong Konnectと組み合わせることで、将来的なAI活用を見据えた柔軟なシステム基盤の実現を支援してまいります」と述べています。
Kong株式会社 代表取締役社長 有泉 大樹氏は、「今回の取り組みは、AI駆動開発によって長年手をつけられなかった基幹システム刷新が現実的になった、AI時代の象徴的な事例です。本プロジェクトで構築する柔軟なAPI基盤は、常石造船様の将来的なAI活用を支える強固な土台となると確信しています」と述べています。
Kong Konnect導入プロジェクト概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| Kong株式会社 | 東京都港区、代表取締役社長:有泉 大樹 |
| 採用先 | 常石造船株式会社(広島県福山市、代表取締役社長執行役員:奥村 幸生) |
| 採用製品 | Kong Konnect(API・マイクロサービス基盤) |
| 支援パートナー | 株式会社Scalar |
| 初期調査期間 | わずか2日(技術負債可視化・業務ドメイン整理・再設計方針の検討) |
| 工数削減見込み | 従来想定比70%以上(設計・実装・テスト工程)/開発計画全体の期間短縮:従来想定比70%以上 |
| マイクロサービス数 | 9つ |
| 対象コード規模 | 数千本以上の既存コードを構造分析 |
| 将来展望 | グループ横断の共通調達基盤構築、AIアシスタントによる自然言語業務支援 |
trends編集部の一言
15年以上稼働してきた基幹システムの初期調査をわずか2日間で完了させ、今後の設計や実装、テスト工程で70%以上の工数削減を見込むという数字は、製造業のシステム刷新における従来の常識を大きく塗り替えるインパクトがあります。業界全体としては、レガシーシステムの刷新コストと期間が投資判断の壁となるケースが多く、「手をつけられないまま老朽化が進む」という課題は造船業に限らず、広く共有されているところです。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、長年運用してきたデータ基盤や顧客管理システムのモダナイゼーションに着手できないまま機会損失が積み重なるケースは業界横断で観察されており、AI駆動開発で調査フェーズを圧縮し将来のAIエージェント活用を見据えた設計へ短期間で移行するアプローチは、製造業以外のレガシーシステムを抱える市場でも同様の動きが広がる兆しと捉えられます。Fortune 500企業にも採用実績を持つKong Konnectが、日本の製造業の基幹システム刷新の事例として登場したことは、国内のモダナイゼーション市場における興味深い動向です。
References
- ^ PR TIMES. 「Kong、常石造船のAI駆動開発による基幹システム刷新を支援 | Kong株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000129151.html, (参照 26-06-11).
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