ElevenLabsは、動画・音声コンテンツの翻訳と吹替を多言語で自然に行う新AI吹替モデル『Dubbing v2』を発表しました。
ElevenLabs『Dubbing v2』の感情・トーン再現機能
従来の音声翻訳技術では、オリジナルの声が持つ感情表現や演技のニュアンスが失われることが課題でした。『Dubbing v2』は、話者本人の特有のトーン、絶妙な間(ま)、息遣い、細やかな感情表現を保持したまま、別の言語へ変換します。
主な機能は、以下の3点です。
- Voice Cloning(音声クローン)の自動適用で話者本人の声質を維持
- Speaker separationによる複数話者の識別と個別変換
- BGMや環境音を損なわずに音声部分のみを翻訳・統合
これらの機能が自動かつ包括的に適用されることで、「機械的に翻訳された音声」という枠を超え、オリジナルの表現に近い、より自然で臨場感のある多言語吹替体験を実現します。対応言語は、英語や中国語、スペイン語、フランス語といった主要言語からスワヒリ語・アイスランド語まで、90以上の言語およびアクセントをカバーしています。
『Dubbing v2』のアニメ・VTuber・企業動画向け活用例
日本語コンテンツの多言語展開では、これまで翻訳や台本作成、声優収録、音声編集、タイミング調整など多くの工程とコストが必要でした。『Dubbing v2』は、日本語コンテンツのグローバル展開をより効率的に支援します。
想定される主な活用シーンは、以下の通りです。
- アニメ・ゲーム:権利処理と同意に基づきキャラクターの演技・感情表現を活かして多言語展開
- VTuber・YouTubeクリエイター:話し方のニュアンスを保ちながら海外視聴者へのリーチを拡大
- 教育・インバウンド向け動画:話者の熱量や説明の自然さを保ちながら多言語化
- グローバル企業の社内研修・企業動画:経営陣のメッセージや製品紹介を海外拠点へ一貫して届ける
『Dubbing v2』はElevenLabsのUI上で利用可能です。今後、シンプルな編集機能や新しいプロフェッショナル向け編集体験も順次拡充される予定で、エンタープライズ向けにはAPI提供も予定しています。
ElevenLabsと『Dubbing v2』の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | Eleven Labs Japan合同会社 |
| 本社所在地 | 米国ニューヨーク州 |
| CEO | Mati Staniszewski氏 |
| 設立 | 2022年 |
| 企業評価額 | 110億ドル(約1.5兆円相当)以上 |
| 導入実績 | Fortune 500企業の75%以上を含む数千もの企業 |
| 対応言語数(Dubbing v2) | 90以上の言語・アクセント |
| AI音声エージェント対応言語 | 30以上の言語 |
| サービスURL | https://elevenlabs.io/ja |
trends編集部の一言
Fortune 500企業の75%以上を含む数千もの企業がすでに活用しているという実績は、AI音声技術の普及がすでに一定の段階に達していることを示しています。業界全体としては、翻訳の「正確さ」だけではなく「らしさ」の再現をどこまで自動化できるかが、次の競争軸になりつつあるのではないでしょうか。
マーケティングの現場でも、グローバル向けの動画コンテンツを制作する際、ナレーターの収録・編集コストが意外と大きな障壁になっています。感情やトーンを保ったまま多言語化できるなら、一度つくった日本語コンテンツを複数の市場に展開するコストが大きく変わる可能性があります。同種のAI音声サービスへの関心がさらに高まる可能性があり、マーケティング業界の文脈に置き換えると、コンテンツのローカライズコスト構造そのものが変わる動きとして注目されます。
References
- ^ PR TIMES. 「イレブンラボ、オリジナルの感情やトーンを多言語で再現する新AI吹替モデル 『Dubbing v2』を発表 | Eleven Labs Japan合同会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000160611.html, (参照 26-06-05).
