金融機関が顧客接点AIに生成AIを活用、問い合わせ前の自己解決を後押しする狙い
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金融機関で顧客接点AIの導入を検討するとき、自社サイトのチャットボットの入れ替えから話を始めていないでしょうか。しかし、顧客が生成AIに触れる入口は自社サイトのチャットに限らず、ChatGPTなどの外部AIサービスや問い合わせが起きる前のWeb画面にも分かれています。
この記事では、金融の顧客接点AIに生成AIを使う入口の違いと、口座情報の参照や震災時のFAQ、コンタクトセンターの施策づくりといった用途まで詳しく解説します。金融機関で顧客チャネルやコンタクトセンターを担当する方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表5件
- 発表主体:株式会社Helpfeel、マネックス証券株式会社 ほか3件
- 出典の最終掲載:2026.09.09
この記事がまとめた発表
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[1] 令和8年熊本地震に伴い、被災者の「お金の困りごと」を情報面から支援 肥後銀行へAIナレッジ検索システム「Helpfeel」無償提供画像:株式会社Helpfeelの発表資料より(PR TIMES)
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[2] 主要証券会社初、「ChatGPTプラグイン」対応の「MONEX MCP Server」提供開始のお知らせ画像:マネックス証券株式会社の発表資料より(PR TIMES)
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[3] ジールス、三菱UFJ銀行のデジタル顧客接点に「Omakase AI」を提供開始画像:株式会社ZEALSの発表資料より(PR TIMES)
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[4] RightTouch、Webサポートの施策作成と課題分析を高度化するAIアシスタント機能「QANT Web AIアシスタント」で三菱UFJ eスマート証券のコンタクトセンター高度化を支援画像:株式会社RightTouchの発表資料より(PR TIMES)
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[5] 【SBI証券】生成AIを活用したチャットサービス提供開始のお知らせ画像:株式会社SBI証券の発表資料より(PR TIMES)
自社サイトで質問に答える生成AIチャット
自社サイトに置く生成AIチャットは、顧客が疑問を持った時点で答えを返す入口です。銀行の口座開設の案内と、証券会社の制度や手続きの質問では、AIに任せる範囲の決め方も変わります。
- 三菱UFJ銀行が導入した接客AIエージェント
- SBI証券が提供を始めた生成AIチャット
顧客が普段の言葉で質問できる点は共通していますが、案内する場面や回答の正確さを保つ手立てには違いがあります。とくに、回答してよい範囲をどこまで企業側で決めておくかは、設計の分かれ目です。
三菱UFJ銀行が導入した接客AIエージェント
ジールスは、三菱UFJ銀行のデジタル顧客接点に、マルチモーダルAIエージェントプラットフォーム「Omakase AI」の提供を開始しました。第一弾として、2026年9月7日から口座開設キャンペーンのデジタル案内に活用されます。[3]
対象となる口座開設キャンペーンは、発表時点では2026年9月から11月に実施する予定です。顧客は対象条件や特典、必要な手続きを普段の言葉で質問でき、接客AIエージェントが音声やテキストで応対します。
ジールスは、「Omakase AI」の品質面の取り組みを以下の3つの観点で説明しています。
| 観点 | 取り組み |
|---|---|
| 対話品質 | 画面や会話の流れを踏まえた応対 |
| 回答リスク | 回答範囲と案内ルールを企業が設定 |
| セキュリティ | SOC 2 Type Iの保証報告書を受領 |
SOC 2 Type Iは、内部統制の設計と整備を第三者が特定時点で評価する枠組みで、セキュリティ水準を示す材料です。あわせて、回答に問題が生じた可能性のある箇所を検知して記録する、ハルシネーション検知機能も備えています。
SBI証券が提供を始めた生成AIチャット
SBI証券は、従来のチャットボットを強化し、生成AIを活用したチャットサービスの提供を開始しました。顧客が入力した質問の意図や文脈をとらえ、質問内容に応じた回答を分かりやすく提示する仕組みです。[5]
2026年6月からは、NISAや投資信託などの一部カテゴリを対象に試験提供が行われていました。試験導入期間中は回答への満足度が従来のチャットボットと比べて約3倍に向上し、回答を提示できなかった割合も大きく低下したと説明しています。
SBI証券が挙げるチャットサービスの特徴は、以下の通りです。
- 質問の意図や文脈をくみ取る
- 前のやり取りを踏まえた追加質問
- 24時間いつでも利用可能
満足度の比較は、回答画面に表示される2択の評価ボタンを同社が集計したものです。数値の根拠は利用者の評価であり、回答の正確さを直接測った結果ではありません。
ChatGPTから口座情報を見る生成AI連携
顧客が日常的に使うAIプラットフォームの側へ、口座情報を届ける使い方もあります。自社サイトへ来てもらうのではなく、ChatGPTやClaudeの会話画面から口座情報を参照できるようにする形です。
- マネックス証券が公開したMCPサーバー
- AIとの対話で参照できる口座情報の範囲
外部のAIサービスを入口にすると、顧客はウェブサイトやアプリを開かずに資産の状況を確認できます。ただし、連携への同意の取り方や参照できる情報の範囲をどこまで認めるかが、設計上の論点です。
マネックス証券が公開したMCPサーバー
マネックス証券は、2026年8月19日に「MONEX MCP Server」の提供を開始しました。MCPとは、AIと外部サービスを安全に接続する規格で、同社が採用した最新の標準規格です。[2]
マネックス証券は、OpenAIの審査・承認を経て「ChatGPTプラグイン」として公開したMCPサーバーの提供が、主要証券会社では初めてだとしています。主要証券会社とは、総合証券大手5社と主要ネット証券5社を指すと注記しています。
「MONEX MCP Server」を利用できるAIプラットフォームは、以下の通りです。
| AIサービス | 提供形態 | 利用の始め方 |
|---|---|---|
| ChatGPT | ChatGPTプラグイン | プラグインから検索して追加 |
| Claude | カスタムコネクタ | ノーコードで設定 |
ChatGPTではプラグインの一覧から「マネックス証券」を検索して追加でき、Claudeではプログラミングなしで設定を始められると説明しています。企画から設計や開発までは、社内の開発チームが中心となって担いました。
AIとの対話で参照できる口座情報の範囲
顧客がChatGPTやClaudeの画面でマネックス証券との連携に同意すると、AIが口座情報をもとに質問へ回答します。ウェブサイトやアプリを開かずに、普段の言葉で資産の状況を確認できる形です。[2]
AIとの対話で確認できるとされている情報は、以下の通りです。
- 口座情報や保有資産
- 注文状況や入出金履歴
- 投資信託やMONEX VISION関連情報
マネックス証券は、現時点では口座情報などの参照機能を中心に提供していると説明しています。参照から始める形は、外部のAIへ入口を広げるときの範囲の決め方の一例です。
マネックス証券は、自身の資産状況や取引履歴をAIプラットフォームで確認したいニーズが今後さらに高まると見ています。金融サービスでの情報の確認の仕方が変わる想定に立った取り組みです。
問い合わせ前の自己解決を支える生成AI
顧客が電話をかける前の段階で、必要な情報にたどり着ける環境を整える使い方もあります。FAQの検索そのものをAIが担う形と、Web上の施策づくりをAIが担う形では、担当者の仕事の変わり方が別です。
- 肥後銀行の震災対応専用FAQのAI検索
- 三菱UFJ eスマート証券の債券Q&A施策
窓口の負担を軽くする狙いは近いものの、AIが担う作業は情報の探索と施策の立案に分かれます。自社でどの作業に手が回っていないかによって、選ぶ手立ても変わってきます。
肥後銀行の震災対応専用FAQのAI検索
Helpfeelは、令和8年熊本地震に伴う支援として、肥後銀行が開設する「震災対応専用FAQ」にAIナレッジ検索システム「Helpfeel」を無償提供しました。提供開始日は2026年8月18日です。[1]
震災対応専用FAQに掲載されている内容の一部は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 預金の引き出し | 通帳や印鑑の紛失時の震災特例 |
| 個人ローン | 返済猶予や条件変更の相談先 |
| 事業性融資 | 融資に関する相談先の案内 |
| その他 | 移動店舗車やカード再発行、義援金 |
Helpfeelは、顧客が自分で確認できる情報にたどり着けるようにして、電話窓口への問い合わせ集中の緩和をめざすとしています。あわせて、人による対応が必要なケースに肥後銀行の人員を充てられる環境づくりも、支援の狙いです。
災害時には、店舗やATMの営業状況、預金の引き出しといった通常とは異なる問い合わせが短期間に集中することも想定されると説明しています。発表時点では、特設ページへ移動するトップ画面のバナーは後日の公開を予定していました。
三菱UFJ eスマート証券の債券Q&A施策
RightTouchは、Webサポートの施策作成と課題分析を担う「QANT Web AIアシスタント」の提供を三菱UFJ eスマート証券へ開始しました。三菱UFJ eスマート証券は、2026年3月に200万口座を突破したとしています。[4]
債券の分野で実施した施策の流れは、以下の通りです。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 検知 | 債券ページ間の回遊行動を把握 |
| 仮説 | 初めて購入する顧客の迷いを想定 |
| 施策案 | AIアシスタントが施策案を作成 |
| 公開 | 担当者がQ&Aを設計して公開 |
RightTouchは、施策の公開から約1週間で7件の問い合わせ削減を確認し、年間換算では約400件の削減が見込まれるとしています。導入前に2〜3営業日かかっていた工数は1営業日に短縮し、企画担当者の稼働は実質1人日程度でした。
年間の約400件は約1週間の実績をもとにした見込みであり、確定した削減件数ではありません。担当者の時間は施策の骨子づくりではなく、債券チームへの確認やすり合わせに充てられたとしています。
金融機関が顧客接点の生成AIを選ぶ確認点
顧客接点に生成AIを置くときの論点は、入口と用途に加えて、回答の正確さをどう担保するかです。銀行や証券会社の取り組みからは、判断の分かれ目がいくつか読み取れます。
顧客接点に生成AIを導入する前に確認しておきたい観点は、以下の通りです。[1][2][3][4][5]
| 観点 | 確認する内容 |
|---|---|
| AIの入口 | 自社サイトか外部のAIサービスか |
| 用途 | 案内か情報の参照か施策づくりか |
| 回答範囲 | 答えてよい範囲を設定できるか |
| 誤回答対策 | 検知と改善を回す運用体制 |
| 効果の見方 | 数値の集計方法と対象期間 |
入口と用途が決まると、社内で用意すべき体制も見えてきます。ナレッジの整備や回答の確認を誰が担うかは、稟議の前に決めておきたい点です。
効果の数値は、集計の方法や期間によって意味が変わります。公表された比較や見込みをそのまま自社の期待値にせず、前提を確かめたうえで自社の条件に置き換えておくと、導入後のずれを抑えられます。
出典
- ^ PR TIMES. 「令和8年熊本地震に伴い、被災者の「お金の困りごと」を情報面から支援 肥後銀行へAIナレッジ検索システム「Helpfeel」無償提供」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000518.000027275.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「主要証券会社初、「ChatGPTプラグイン」対応の「MONEX MCP Server」提供開始のお知らせ」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000581.000005159.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「ジールス、三菱UFJ銀行のデジタル顧客接点に「Omakase AI」を提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000213.000019209.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「RightTouch、Webサポートの施策作成と課題分析を高度化するAIアシスタント機能「QANT Web AIアシスタント」で三菱UFJ eスマート証券のコンタクトセンター高度化を支援」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000098678.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「【SBI証券】生成AIを活用したチャットサービス提供開始のお知らせ」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000941.000007957.html, (参照 26-09-23).









