イレブンラボジャパン合同会社は、SORABITO株式会社に技術提供を行い、保守・メンテナンス現場のメカニックに特化した対話型音声AIアシスタントの構築で連携しました。
イレブンラボとSORABITOによる実証実験の背景
メカニックが従事する現場では、膨大なショップマニュアルや取扱説明書から必要な情報を探し出す作業が不可欠です。従来の方法では、「アームの動きが遅い」「走行速度が鈍い」といった曖昧な現象から原因を検索するのに多大な時間を要していました。
実際の現場では、メカニックの手が塞がっていたり油で汚れていたりするため、その都度デバイスを操作して情報を確認する作業は容易ではありません。長文テキストの読み込みは作業の中断や安全性の低下を招く負担となっていました。
こうした課題を解決するため、SORABITO、コマツ、イレブンラボの3社は協議を重ねました。その結果、人間のように自然な対話を通じて必要な情報を「短文・段階的」に引き出せる音声AIサービスの実証実験が始まりました。
対話型音声AIアシスタントの主な特徴
本サービスの主な特徴は、以下の3点です。
- 高精度な音声インターフェースによるハンズフリー作業環境の実現
- 曖昧な症状から故障コードやマニュアル該当箇所を特定するUX
- 短文で次の作業を案内する段階的音声ナビゲーション
イレブンラボの音声合成技術と、SORABITOが独自に設計した対話制御ロジックを組み合わせることによって、工具を置くことなく必要な情報に即座にアクセスできる環境の構築を目指しています。
専門的な単語検索だけではなく、現場で発生している事象をそのままAIに語りかけるだけで、関連する故障コードやマニュアルの該当箇所を特定できる設計です。
AIが、一度に長文を回答するのではなく「どこで、何をすべきか」を短文で提示し、メカニックの確認を挟みながら次の作業を案内する対話形式を採用しました。専門知識の有無を問わず使いこなせる点でも注目に値する設計です。
イレブンラボとSORABITOの今後の展望
実証実験を通じて、建設機械の保守・メンテナンス業務等、メカニックが担う業務全般の効率化と現場知見の資産化が推進されます。
イレブンラボの多言語対応により、海外代理店・拠点での活用のほか、問い合わせ対応工数の削減や対応品質の標準化など、人手不足が深刻化する業界課題の解決への活用も期待されています。
なお、本サービスは30以上の言語に対応しており、グローバルな展開にも対応した設計です。
株式会社小松製作所常務執行役員の四家 千佳史氏は、「建設機械のサービス現場では、メカニック不足が深刻化しており、業務効率化が急務となっています。本実証実験を通じて、メカニックが手を止めることなく必要な情報にアクセスできる環境の実現に取り組んでいます」と述べています。
SORABITO株式会社取締役会長の青木 隆幸氏は、「メカニックの人手不足は深刻化しており、業界における大きな課題となっている中、生産性向上は急務です。SORABITOがこれまで培ってきた現場業務への理解と対話設計の知見に、イレブンラボ様の先進的な音声AI技術を組み合わせることで、現場で実際に使われる新たな業務支援のあり方を形にしてまいります」と語っています。
イレブンラボジャパン合同会社Japan & Koreaゼネラルマネージャーの田村 元氏は、「テクノロジーとの接点が"画面(スクリーン)"から"音声(ボイス)"へと劇的にシフトしています。一瞬の視線のズレも許されない現場で戦うプロフェッショナルこそ、ハンズフリーで自在にAIを活用できる環境が必要です」と述べました。
イレブンラボジャパン合同会社・SORABITO株式会社の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名(技術提供) | イレブンラボジャパン合同会社 |
| 本社所在地 | 東京都千代田区 |
| 代表者 | 田村 元(Japan & Koreaゼネラルマネージャー) |
| 設立 | 2022年 |
| 企業評価額 | 110億ドル(約1.5兆円相当)以上 |
| 主要顧客 | Fortune 500企業の75%以上を含む数千社 |
| 対応言語数 | 30以上の言語 |
| 会社名(連携先) | SORABITO株式会社 |
| 本社所在地 | 東京都中央区 |
| 代表取締役社長 | 博多 一晃氏 |
| 取締役会長 | 青木 隆幸氏 |
| 主要サービス | TakumiX(タクミエックス)・i-Rentalシリーズ・GENBAx点検 |
trends編集部の一言
Fortune 500企業の75%以上を含む数千社が活用するプラットフォームを持つイレブンラボが、建設機械メンテナンスという現場密着型の用途に技術提供した点は、グローバル規模の音声AI基盤が産業現場へ本格的に接続されはじめたことを示す事例です。
「手が塞がった状態でも必要な情報にアクセスしたい」というニーズは、業種を問わず共通の課題として認識されてきました。音声AIが「スクリーン操作」を前提としない業務環境に本格導入される流れは、業界全体としてもひとつの転換点と位置づけられるでしょう。
「曖昧な症状をそのまま語りかけるだけで該当情報にたどり着ける」というUX設計は、専門知識の有無を問わず使いこなせる間口の広さという点で注目に値します。マーケティング業界の文脈に置き換えると、膨大なブランドガイドラインや過去事例の中から必要な情報を瞬時に引き出せる仕組みへの需要は、業界横断的に高まりつつある動向として捉えられます。
References
- ^ PR TIMES. 「イレブンラボ、SORABITOが構築するコマツの整備技術者向け音声AIアシスタントのプラットフォームを提供 | Eleven Labs Japan合同会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000160611.html, (参照 26-05-30).
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