Snowflakeは、Snowflake Summit 26において、AI時代に向けた新たな相互運用性(インターオペラビリティ)機能を発表しました。
Snowflakeが目指すオープン標準に基づくデータ相互運用性の全体像
今回の発表の中核は、データがどこに存在していても「単一のライブかつガバナンスの効いたデータコピー」として活用できる環境の実現です。Snowflake Horizon カタログにより、サイロ化されたデータをAI活用に最適化された統合データ基盤へと変換し、ユーザーやAIエージェントが企業全体のコンテキストに対して安全かつ統制された形でデータを検出・活用できます。
Apache Iceberg v3の一般提供開始により、最新のオープンテーブルフォーマット技術への幅広い対応を実現しました。より多様なデータ、複数システムにまたがる変更履歴管理、半構造データに対する高性能処理が含まれます。
Snowflake Storage for Apache Iceberg Tablesと組み合わせることで、企業はオープンデータを大規模に活用するためのフルマネージドな環境を利用しながら、データ移動と運用負荷を削減できる設計です。
Snowflake 製品担当エグゼクティブバイスプレジデントのChristian Kleinerman氏は、次のように述べました。「私たちは、相互運用性とオープン性を全面的にコミットしています。Snowflakeの新機能により、企業はデータがどこに存在しても、単一の統合ガバナンスが確保されたデータを、直接活用できるようになります」
Snowflakeにおける新たな相互運用性機能の主な内容
今回発表された機能は、大きく4つの領域に整理され、内容は次の通りです。
- Apache Icebergによるオープン標準対応の推進(Apache Iceberg v3の一般提供開始)
- SAP、Salesforce、Workday、AVEVA、IBMなど外部システムとのゼロコピー統合
- 自然言語によるセルフサービスのデータ活用(Snowflake CoCo・Horizon Context連携)
- データ共有資産を会話型AIエージェントへ自動変換するエージェント共有機能
外部システムとのゼロコピー統合では、データを複製することなく、SAP、Salesforce、Workday、AVEVAおよびIBMとの連携に対応しました。ビジネスコンテキストやポリシー、ロジックを維持したままアクセスできる設計です。
SnowflakeのAIコーディングエージェントであるSnowflake CoCoには専用のSkill for SAPが提供されており、開発者がSAPデータへのアクセス、探索、管理を効率的に行えます。
自然言語によるデータ活用では、CoCoを通じて、Snowflake、外部データレイク、外部のリレーショナルデータベースシステムを横断して質問を投げかけられます。Horizon Contextが、自動的に適切なデータを特定し、信頼できるビジネスコンテキストを適用することによって、ガバナンスが確保されたプラットフォーム上での迅速な意思決定を支援する設計です。
エージェント共有機能では、データ共有およびリスト表示用の自動生成エージェントが用意されました。データプロバイダーはあらゆる共有データのリストや安全なデータ共有を、CoCo・Snowflake CoWork・Snowsightで即座に利用可能な対話型AIエージェントへと変換可能です。これらのエージェントはアカウント全体に展開でき、社内チームやパートナー、またはSnowflakeマーケットプレイス内で共有可能です。
Snowflake Horizon カタログによるユニバーサルガバナンス
データの分散化が進みAIシステムがより自律的に動作する中、Snowflakeは、アクセスや共有、活用されるあらゆるシステムで一貫したガバナンスを維持するためのHorizon カタログを中核に据えています。
Apache® Polarisを搭載するHorizon カタログは、Snowflake内外のエンタープライズデータに対する統合的なガバナンス基盤です。データの発見、セキュリティ、モニタリングを一元化する設計となっています。
Horizon カタログの新機能は次の通りです。
- Snowflake Managed Iceberg Tablesへの安全な双方向読み書きアクセス
- Catalog Linked Databasesによる外部Iceberg Tablesの自動検出と外部エンジンアクセス管理
- Support for Data Protection Policies・Sensitive Data Classification・Data Quality制御による細かなアクセス制御
- Open Data Sharingによるデータ・AI資産の複製なし共有
- Connected Audit Access in Horizonによるシステム全体の一元的可視化と監査
Open Data Sharingにより、データおよびAI資産の複製を作成することなく、あらゆるエンジン上で顧客、パートナー、社内チームと共有できます。受信側は、ガバナンスとリネージュを維持しながら、利用したいプラットフォームやツール、エンジンから直接アクセスできる仕組みです。
これにより、よりシンプルなコラボレーション、インフラストラクチャコストの削減、より高い柔軟性といったメリットが期待できる設計です。
Affirm エンジニアリング担当バイスプレジデントのVivek Anandpara氏は、何千ものテーブルや重要な金融ワークロードをSnowflakeの相互運用可能なガバナンスの効いたデータ基盤を利用してPolarisに移行したことで、ダウンタイムゼロの移行が実現できたと述べています。
株式会社NTTドコモ R&Dイノベーション本部サービスイノベーション部長の梅澤良夫氏は、「データの所在を問わずガバナンスを維持しながらアクセスできるとともに、一貫性のある信頼性の高いデータ基盤を構築・運用することが可能です」と評価しました。
SnowflakeのAIデータクラウド企業概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 企業名 | Snowflake |
| 証券取引所 | ニューヨーク証券取引所(SNOW) |
| サービス分類 | AIデータクラウド |
| 顧客数 | 13,900社以上(数百の世界最大規模の企業を含む) |
| 主な発表機能 | Apache Iceberg v3対応・Horizon カタログ・Snowflake CoCo・Open Data Sharing・Connected Audit Access in Horizon |
| 公式サイト | snowflake.com/ja |
trends編集部の一言
13,900社以上が活用するSnowflakeが、データを「移動・複製しない」ことを前提とした相互運用性フレームワークを打ち出した点は、データ基盤業界全体の設計思想の転換を象徴する動きです。これまでの多くのデータ基盤は「まずデータを一箇所に集める」ことを前提にしてきました。今回の発表はその前提そのものを問い直すものとして、AIデータ基盤市場において注目を集めています。
マーケティング領域においても、CRMや広告プラットフォーム、BIツールといった複数システムをまたいでデータを照合する場面は日常的に存在します。コピーや統合の手前で処理コストが発生する構造は、AffirmやIndeedが述べる課題感と重なる部分です。AIデータ基盤市場全体としては、「データをコピーせずにガバナンスを維持したまま横断活用する」設計思想が共通テーマとして浮上しており、マーケティング領域でも同様の課題意識と接続しやすいテーマとして、業界横断で注目が集まっています。
AIエージェントが自律的に動き始める中で、「どのデータにどのエンジンがアクセスできるか」を一元管理するガバナンス設計の重要性が急速に高まる局面に入りました。データ活用の成熟度を問わず、業界全体の共通課題として位置づけられており、Horizon カタログのような取り組みはその動向を示す事例として、業界内で広く注目されています。
References
- ^ PR TIMES. 「Snowflake、エンタープライズデータとAIの相互運用性を実現する新たなオープンフレームワークを発表 | Snowflake合同会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000116784.html, (参照 26-06-05).
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