DXによって、企業のビジネスモデルを変革する必要性が説かれていますが、現状はDXを推進する前の基盤が整っていないようです。
株式会社インプレスの調査[1]によると、6割以上の企業が、組織のデータを管理するルールである「データアーキテクチャ」を策定していないことがわかりました。
また、マスターデータなどの各データが部署ごとに管理されており、データの粒度や精度にばらつきがある企業も多く、データを用いて課題解決や組織改革をする基盤に関する問題を抱えている企業が多いようです。
この記事では、企業のデータマネジメントに関する実態と、組織全体のデータ管理に関する課題を解決する方法について解説します。
企業のデータマネジメントに関する実態
株式会社インプレスは、「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」を、アンケート調査の結果をもとに分析した結果を公開しました。
データ品質の維持・向上の活動状況
株式会社インプレス「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」より
「必要に応じて、システム毎にデータの品質を維持・向上する活動を行っている」(39.8%)が最も多く、「部門レベルでデータの品質を維持・向上する活動」(19.2%)、「全社レベルでデータの品質を維持・向上する活動」(17.3%)と続きました。
多くの企業がシステム毎、または部門レベルでデータの品質を維持・向上する活動に取り組んでいることから、データ品質管理が局所的に重視されている状況が伺えます。また、全社レベルでの統一された取り組みはまだ少ないようです。
マスターデータマネジメントの取り組み状況
株式会社インプレス「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」より
「共通のマスターデータなし、システム毎に管理」(30.8%)が最も多く、「部門単位で限られたマスターデータのみ整備・利用」(15.8%)、約半数弱が「主要なマスターデータまたは一部のマスターデータを全社的に整備・利用」と続きました。
マスターデータの管理がシステム毎、または部門レベルで行われていることが多いことから、全社的なデータ整合性の確保が課題となっている可能性があります。全社的なマスターデータの整備は、組織内でのデータ共有と一貫性の向上に寄与する可能性があります。
データアーキテクチャの策定状況
株式会社インプレス「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」より
「策定済みの企業」(約1割)が最も多く、多くの企業が「未策定」と続きました。
データアーキテクチャの策定が少ないことから、多くの企業でデータ管理の全体計画が欠如している可能性があります。データアーキテクチャの策定は、企業のデータ利用戦略の明確化と効果的なデータ管理に寄与すると考えられます。
データ品質に関する課題
株式会社インプレス「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」より
「鮮度や精度・粒度が適切でないデータがある」(70.3%)が最も多く、「重複データがある」(56.0%)、「どこにどんなデータが存在するのかが明確でない」(53.0%)と続きました。
データの鮮度や精度、重複、不明確なデータ位置といった問題が多くの企業で認識されていることから、データ品質の向上が重要な課題であると言えます。これは、データの活用を阻害する主要な要因となり得ます。
マスターデータマネジメントの課題
株式会社インプレス「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」より
「既に多くのシステムが稼働しており、一元化や統合が現実的でない」(48.9%)が最も多く、「マスターデータマネジメントより優先度の高いIT関連業務が多い」(42.1%)、「適切な人材がいない」(38.3%)と続きました。
既存システムの多様性とその統合の困難さが課題として挙げられており、マスターデータの一元化や統合が容易でない現実が浮かび上がります。これはデータの一貫性と活用の面で大きな障壁となっています。
データマネジメントに期待する効果
株式会社インプレス「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」より
「業務の効率化・生産性の向上」(72.6%)が最も多く、「意思決定の迅速化」(51.1%)、「デジタルトランスフォーメーションの推進」(44.7%)と続きました。
データマネジメントに対する高い期待があり、特に業務効率化や意思決定の迅速化、デジタルトランスフォーメーションの推進が目指されています。これはデータマネジメントが組織の戦略的な資源としての価値を持つことを示唆しています。
IT投資予算に占めるデータマネジメント投資の割合
株式会社インプレス「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」より
半数以上の人が「5%未満」と回答しており、IT予算のなかでもデータマネジメントへの投資額は少ないことが伺えます。この結果から、多くの企業でデータマネジメントの重要性が完全には認識されていないことが考えられます。
これは投資優先順位の課題やデータマネジメントの長期的な価値に対する理解不足を示唆しています。データマネジメントの効果を数値化し、その価値を明確に示すことが、予算獲得のための重要なステップとなるでしょう。
データマネジメント投資の効果の明確化
株式会社インプレス「企業におけるデータマネジメントの取り組みに関する実態」より
57.9%の人が「明確化していない」と回答しており、データマネジメントの成果を測定し、可視化することの難しさを反映しています。
投資効果の不透明さは、経営層の支持を得る障害となり得るため、効果測定の方法論を確立することが必要です。
組織全体のデータ管理とデータアーキテクチャの策定が課題
多くの企業ではデータ管理が部門ごとに分散しており、データ間の整合性が欠けるという課題が見られます。企業全体でのデータの一貫性を確保するためには、データガバナンスの強化とマスターデータの一元化が必要です。
また、データの流れや利用方法を明確にするデータアーキテクチャの策定も重要です。これらの取り組みには投資が必要ですが、多くの企業でデータマネジメントへの投資が限られているのが現状です。
したがって、データマネジメントの効果を数値化し、経営層にその価値を理解してもらうことが求められます。
補助金や助成金でデータ管理の費用を補填できる
データマネジメントの費用対効果が不透明で経営層などの理解が得られない場合、補助金や助成金を使うことで費用を捻出できる可能性があります。
たとえば、人材開発支援助成金の「人への投資促進コース」は、データマネジメントやITスキル向上における、社員研修に関連する費用を助成してくれます。これにより、企業はデータ管理に関するスキルや知識を社内に広めるためのトレーニングプログラムに投資できます。
補助金や助成金を使うことで、データマネジメント関連のプロジェクトやシステム改善の初期費用をカバーできるのが特徴。企業が経済的な負担を抑えつつ、データ活用能力を向上させる手助けとなります。
References
- ^ PRTimes. 「過半数の企業が「IT投資予算の5%以下」、高い期待に反して未成熟さが浮き彫りに『データマネジメントの実態と最新動向2024』12月7日(木)発売」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005611.000005875.html, (参照 2023-12-07).
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