TISがartienceに「Agentic AI Platform」を導入、年間16万時間の業務効率化を目指す3段階ロードマップを支援
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TIS株式会社は、artience株式会社に対し、生成AIの業務活用を支援する「Agentic AI Platform」を導入し、全社的な生成AI活用基盤の構築を支援したことを発表しました。
Agentic AI Platform導入でartienceが描く3段階ロードマップ
2024年に東洋インキSCホールディングス株式会社から社名変更したartience株式会社は、素材開発のスピード向上とグローバル競争力の強化を目的に、AIを活用したものづくりを全社的に推進しています。化学メーカーとして、機密性の高い情報を扱うことから、強固なセキュリティとガバナンスを前提とした生成AI活用が不可欠と判断し、技術面での支援が可能なパートナー選定を開始しました。
artienceが策定した「3段階のロードマップ」は、以下の3段階で構成されています。
- フェーズ1:チャットによる業務効率化
- フェーズ2:外部システム連携で業務プロセスへ組み込む
- フェーズ3:自社固有の情報や知見の高度な利活用
定量的な目標として、2027年度に国内で年間16万時間の業務効率化効果を掲げています。現場社員が自らの業務に即して生成AIを活用できる環境整備を進める一方、長期的な構想に寄り添った技術提案や支援体制が評価され、TISおよび「Agentic AI Platform」の採用につながりました。
TISと「Agentic AI Platform」が選ばれた理由
artienceがTISを選定した背景には、長期的な構想に寄り添った技術提案と、ガバナンス面を含む支援体制への評価があります。将来のAIエージェント活用を見据えた拡張性の観点では、LangGraphをはじめとする技術を活用し、チャット型の業務支援にとどまらず、自律型AIエージェントによる業務適用までを視野に入れたロードマップが具体的に提示されました。既存の仕組みに固定されることなく、検索精度や機能を継続的に進化させていく伴走型の支援スタンスも評価されています。
高精度な情報活用とガバナンスの両立という観点では、RAGの精度とナレッジグラフの拡張性により、専門用語や過去資料を含む情報を業務に活かせる点が注目されました。複数のLLMを用途に応じて切り替え可能な構成とした点に加え、組織単位での閲覧権限管理や秘密情報の統制ルールを備えることで、機密性の高い情報を扱う環境においてもリスクを抑えながら生成AI活用を進められる点が評価されています。
Agentic AI Platformの導入によって実現した現場の効率化と知見活用
フェーズ1として、全社で共通性の高い業務への適用と、外部システムとの連携による業務自動化の検証が進められました。議事録作成や翻訳などの共通業務を対象とした生成AIアプリを展開し、プロンプト作成を不要とする利用環境が整備されています。あわせて、RPAと生成AIを組み合わせた「論文監視システム」を構築し、学術情報の収集や翻訳、要約にかかる手間の削減を図っています。
製造部門などでは、作業の安全基準や業務ノウハウを生成AIに問い合わせるRAGアプリの活用が推進されています。過去資料や経験に基づく知見を参照できる環境が整い、暗黙知の形式知化や若手社員の業務理解の促進につながる環境が整いました。
今後は、自律型AIエージェントを活用し、素材開発の効率化や新規事業への投資判断といった経営・研究開発の意思決定領域への適用も検討されています。また、これらの取り組みを海外拠点へも順次展開し、グローバル規模でのナレッジ共有と意思決定の迅速化を図る方針です。
「Agentic AI Platform」導入概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | TIS株式会社 |
| 導入先 | artience株式会社 |
| サービス名 | Agentic AI Platform |
| 所属ブランド | IntegriA(インテグリア) |
| 活用目標 | 2027年度に国内で年間16万時間の業務効率化 |
| ロードマップ | 3段階(チャット活用→業務プロセス組み込み→知見高度活用) |
| 主な導入技術 | LangGraphやRAG、ナレッジグラフ、複数LLM切り替え |
| 対象地域 | 国内・海外拠点(順次展開予定) |
| artience創業 | 1896年(設立時名称:東洋インキ製造株式会社) |
| TIS支援実績 | 3,000社以上のビジネスパートナーに対してITサービスを提供 |
trends編集部の一言
2027年度に年間16万時間という数値目標を明示した上で、チャット活用から自律型エージェントへの3段階進化を設計している点は、業界全体としても珍しいアプローチです。マーケティング業界の文脈に置き換えると、「フェーズ1でまず共通業務から」という段階設計は、AI導入後の定着率が課題とされてきた業界全体の傾向に対して、実務的な示唆を含む取り組みと捉えられます。
「ツールを知っている社員」と「業務フローに組み込んで使いこなしている社員」との間には想像以上の開きがあるという課題は、マーケティング業界でも共通しています。RPAとの組み合わせや権限管理まで含めてワンパッケージで支援する体制は、AI活用の定着を模索する企業における有力な選択肢として業界全体から注目されそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「TIS、artienceに「Agentic AI Platform」を導入 | TIS株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001930.000011650.html, (参照 26-05-30).










