株式会社デジタルアイデンティティは、AIプラットフォーム「Forté.AI(フォルテ・エーアイ)」の基盤拡張として、MCPゲートウェイ「DI-MCP」を開発し、社内運用を開始しました。
DI-MCP開発の背景とAIエージェント活用の課題
近年、AIは自ら各種ツールを操作して生産性を高める「自律型エージェント」として、本格的な業務導入が進んできました。特にデジタルマーケティングの現場では、広告プラットフォームの運用やデータ集計といったオペレーション負荷が高く、AIエージェントによる効率化のニーズが急増しています。
しかし、実業務への導入にあたっては複数の障壁がありました。本番環境への意図しない変更・削除といった実行リスク、APIキーなどの認証情報配布に伴うセキュリティリスク、そしてAIエージェントに対するユーザーの認知不足による活用範囲の限界です。「DI-MCP」は、こうした課題を解消するために自社開発されました。
権限管理・認証情報の一元化・能動的な提案の3つの機能
「DI-MCP」の権限管理は、外部ツール全体への単純な「許可/拒否」にとどまりません。担当者やクライアント単位でのきめ細やかな設定が可能で、「A社の案件担当者のみA社のレポート出力を実行できる」「管理者からのリクエストのみデータベースの更新を許可する」といったセキュアな運用を実現しています。
認証情報の管理についても、従来は担当者にAPIキーやトークンを直接配布する必要があり、セキュリティリスクが生じていました。「DI-MCP」では、システム側が認証情報と権限管理を一元化して、仲介する仕組みを実装しています。社員への直接的なAPIキー・トークンの配布が不要となり、情報漏洩や不正利用のリスクを軽減した運用体制を構築しました。
さらにDI-MCPの実装により、AIエージェント自身が利用可能な外部ツール・API、実行可能な機能の範囲、ユーザーの権限で操作できる範囲を把握できるようになりました。指示を待つだけではなく、AIが能動的に利用可能な機能等を利用者へ提案することが可能となりました。エージェント自身がナビゲーターの役割を果たすことで、潜在的な自動化の機会を引き出し、業務効率化の効果を最大化します。
DI-MCPの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発・運用企業 | 株式会社デジタルアイデンティティ |
| 親会社 | 株式会社Orchestra Holdings |
| システム種別 | MCPゲートウェイ |
| 対象プラットフォーム | Forté.AI(フォルテ・エーアイ) |
| 想定規模 | 数百名規模 |
| 主な機能 | 権限管理の一元化 APIキー・トークンの一元管理 AIによる能動的な機能提案 |
| 所在地 | 東京都渋谷区恵比寿南1-15-1 A-PLACE恵比寿南5F |
| 代表者 | 代表取締役社長 鈴木 謙司氏 |
trends編集部の一言
「数百名規模の全社利用を想定したスケーラブルな設計」という点は、AIエージェントの社内展開を検討している企業にとって、具体的な規模感を示す情報として印象的です。マーケティングの現場でも、AIツールを「一部の詳しい人だけが使っている」状態から抜け出せない組織は多く、権限管理とセキュリティの整備が全社展開の壁になっていることは業界全体で共通の課題です。
APIキーを個人管理させず、システム側で一元管理するアプローチは、マーケティング業界においても同様の設計思想が広がる動きとして注目されます。広告プラットフォームや分析ツールの認証情報を担当者が個別に保持する運用は、組織規模が大きくなるほどリスクが増大することが知られています。
「誰が何をできるか」を中央で制御する設計思想は、AI活用に限らず組織のデジタルセキュリティ全体における重要な視点でした。こうした考え方をめぐる業界全体での議論は、近年着実に高まってきたと言えます。
今後、蓄積された権限モデルや運用知見を他企業への支援にも活かす方針を示している点にも注目されます。自社での実運用を経たうえでの外部展開というステップは、エンタープライズ向けAIツールの信頼性を担保する実例として広く評価されるでしょう。今後の市場における有力なモデルとなることが期待されるところです。
References
- ^ PR TIMES. 「株式会社デジタルアイデンティティ、セキュアなAIエージェント活用促進に向けMCPゲートウェイ「DI-MCP」を自社開発 | 株式会社Orchestra Holdingsのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000107.000025965.html, (参照 26-05-28).
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