アルティウスリンク株式会社は、東京都板橋区のマイナンバーコールセンターにおいて、同社が受託している業務でAIオペレーターを活用した試行実施(PoC)を開始しました。
アルティウスリンクが解決を目指す自治体コールセンターの構造的課題
少子高齢化による人口減少を背景に、全国の自治体では職員の確保が年々困難になってきました。電話対応や窓口業務といった住民対応業務の安定的な運用維持が、共通の課題となっています。
総務省が推進する「自治体DX推進計画」や「自治体フロントヤード改革」においても、デジタル技術を活用した業務効率化と住民サービスの維持・向上は全国共通の優先課題として位置づけられてきました。
自治体コールセンターでは、繁忙時間帯の「つながりにくさ」や時間外対応の限界など、構造的な課題が顕在化しています。こうした状況を背景に、職員の業務負荷の軽減と住民対応におけるサービス品質の維持・向上が求められています。
アルティウスリンクによる板橋区マイナンバーコールセンターでのPoC概要
試行実施の期間は2026年5月26日(火)〜 2026年6月26日(金)です。板橋区マイナンバーコールセンターを対象に、AIオペレーターと有人オペレーターによるハイブリッド運用を展開します。
AIオペレーターは、住民から寄せられる頻度の高い一般的な問合せに対し、事前に登録したQ&Aをもとに文脈を踏まえ、自然な音声で回答します。主な対応内容は以下の通りです。
- マイナンバーカードの申請・更新方法
- 電子証明書の更新・ロック解除・再設定
- マイナンバーカードの特急発行に関する案内
- 顔認証マイナンバーカードの説明・利用方法
- マイナ保険証の利用方法・医療機関での使い方
- 転出・転居時のマイナンバーカードに関する手続き案内
- 窓口の開庁時間・所在地・最寄り駅などの基本情報
受取予約や予約変更、キャンセルや申請中のカードの進捗確認、代理人対応など、個別性の高い問合せについては有人オペレーターへ適切に転送します。AIが対応可能な領域と人が対応すべき領域を明確に切り分けた運用設計を行います。
検証のポイントは以下の通りです。
- 繁忙時間帯における応答率の改善効果
- 職員の業務負荷の変化
- AIと有人対応を組み合わせたハイブリッド運用モデルの実効性および課題
- 閉庁時間帯を含む対応時間拡大の実現可能性
住民側の期待効果としては、よくある問合せへの速やかな回答による利便性向上と、問合せ集中時間帯における「つながりやすさ」の改善が挙げられます。
自治体側にとっては、定型問合せをAIオペレーターが担い、個別性の高い対応を有人オペレーターが受け持つことで、自治体コールセンターのサービス品質向上が見込まれます。
Graffer AIオペレーターの活用とアルティウスリンク株式会社の役割
本試行実施では、株式会社グラファーが提供する「Graffer AIオペレーター」を活用します。「Graffer AIオペレーター」は、AIエージェントの高度な会話能力を活用した電話応答サービスです。
市民の発話内容をAIが認識し、事前登録されたナレッジベースに基づいて応答する音声対話型の仕組みを備えており、従来のシナリオ固定型IVR(音声自動応答)とは異なる運用が可能です。
株式会社グラファーは、行政機関における業務のデジタル変革を手掛けるスタートアップ企業です。市民と行政職員の利便性を追求したデジタル行政プラットフォームを展開しており、全国250以上の自治体への導入実績を持っています。
アルティウスリンク株式会社は、AIオペレーターの運用設計から実施期間中の精度調整・改善までを一体的に担います。本人確認の要否や代理人対応の判断など、自治体窓口業務特有の業務要件を踏まえ、BPO事業者として運用・改善まで含めた実装ノウハウの蓄積を目指してきました。
アルティウスリンク株式会社の会社情報と試行実施概要一覧
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | アルティウスリンク株式会社 |
| 所在地 | 東京都渋谷区 |
| 代表者 | 代表取締役社長 那谷 雅敏氏 |
| 設立 | 1996年5月(アルティウスリンク発足 2023年9月1日) |
| 資本金 | 1億円 |
| 事業展開国 | アジアおよび北米を中心に7か国 |
| 試行実施対象 | 板橋区マイナンバーコールセンター |
| 実施期間 | 2026年5月26日(火)〜 2026年6月26日(金) |
| 運用形態 | AIオペレーターと有人オペレーターによるハイブリッド運用 |
| 活用AIサービス | Graffer AIオペレーター(株式会社グラファー提供) |
| 企業URL | https://www.altius-link.com/ |
trends編集部の一言
全国250以上の自治体への導入実績を持つ「Graffer AIオペレーター」が、繁忙時間帯の「つながりにくさ」という自治体コールセンターの構造的課題に正面から向き合う試みは、業界を超えてインパクトがあります。
問合せ対応やカスタマーサポートの属人化・工数集中は、業界横断で語られてきた共通テーマです。マーケティング業界の文脈に置き換えると、AIと有人対応の役割分担をどう設計するかという問いは、業種を問わず共通の関心事と言えるでしょう。
「AIが対応可能な領域」と「人が対応すべき領域」を明確に切り分けた設計思想は、生成AI導入の現場で問われる品質担保のアプローチとして注目されます。BPO事業者が運用設計から精度調整まで一体的に担うモデルは、AI導入後の「使いこなし」まで含めた支援として、業界全体の作業プロセス転換を象徴する動きと読み取れます。
References
- ^ PR TIMES. 「【アルティスリンク】「つながりにくい」住民窓口の課題を解消 AIオペレーターを活用した住民対応の運用を検証 | アルティウスリンク株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000495.000019180.html, (参照 26-05-27).
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