デル・テクノロジーズは、2026年5月18日、AIへの志向を現実の成果へと変える「Dell AI Factory with NVIDIA」の大幅な機能強化を発表しました。
Dell Deskside Agentic AIによるエージェンティックAIのローカル構築と実行
エージェンティックAIのワークロードが複雑になるにつれ、クラウドコストの予測が困難になっています。デル・テクノロジーズとNVIDIAは、価値実現までの時間を最大84%短縮するアプローチにより、企業が自信を持って事業を拡大できるよう支援する方針です。
新たなソリューション「Dell Deskside Agentic AI」は、デル・テクノロジーズの高パフォーマンス ワークステーションにNVIDIA NemoClawを搭載しています。デバイス外にデータを流出させることなく、企業が自律型AIエージェントをローカル環境でより安全に構築・実行できる設計で、ソフトウェア エンジニアリングや学術研究、規制の厳しい業界の専門分野向けに最適化された製品です。
組織は、わずか3カ月でパブリッククラウドのAPIコストに対する投資を回収できます。自律型エージェント向けの安全なランタイムであるOpenShellが、「Dell AI Factory with NVIDIA」全体でサポートされるようになりました。
Dell Pro Precision タワーやDell Pro Max with GB10およびGB300からDell PowerEdge XEサーバーに至るまで、プライバシー コントロールを備えたエージェントの構築、展開、管理が可能になります。デスクサイドからデータセンターまで、プライバシー コントロールを備えたエージェントのシームレスなスケーリングを実現します。
さらに「Dell-NVIDIA AI-Q 2.0リファレンス アーキテクチャー」は、規制対象業界向けの本番環境ですぐに利用できるマルチエージェント リサーチ ワークフローを提供します。AIの成果は、データを見つけて信頼し、行動に移せるかどうかにかかっているといえるでしょう。
Dell AI Data Platformによる企業データ基盤の強化
デル・テクノロジーズは、「Dell AI Data Platform」の大幅な進歩を発表しました。データの発見と準備から分析、AI主導のエクスペリエンスに至るまで、ライフサイクル全体にわたってエンタープライズ データを大規模にAI対応にします。
「Dell AI Data Platform」のオーケストレーションおよび検索機能の強化により、何十億もの非構造化ファイルのインデックスが作成され、AI向けのデータ検知とデータセット作成を高速化する見込みです。また、Starburstを搭載した「Dell Data Analytics Engine」が、現在のNVIDIA Blackwell GPUでSQLクエリ パフォーマンスを最大6倍高速化します。
NVIDIA Vera CPUプラットフォームを含む将来のプラットフォームへの対応も設計に盛り込まれた構成です。新たな「Dell ObjectScale X7700」超高密度アプライアンスは、HDDの容量を前世代よりも最大45%増加させます。
今後サポート予定の245TBオールフラッシュ ドライブは、「ObjectScale」フラッシュ密度の3倍を超える見込みです。加えて、「Dell AI Data Platform with NVIDIA」のストレージと検索エンジンがNVIDIA Omniverseライブラリーと統合され、デジタルツインとフィジカルAIのトレーニング・検証ワークフローに信頼性の高いデータを提供できるようになります。
Dell PowerRackの追加と次世代インフラストラクチャーおよびオープンエコシステムの拡大
デル・テクノロジーズは、AIインフラストラクチャー ポートフォリオに「Dell PowerRack」を追加しました。コンピューティング、ネットワーク、ストレージを一体に統合したシステムで、熱設計や電源管理、ソフトウェアの最適化がゼロから連携するよう構築されています。
「Dell Integrated Rack Controller」と「Dell OpenManage Enterprise」の新リリースによって、一元管理されます。インフラストラクチャーに関する主なアップデートは以下の通りです。
- Dell Exascale Storage:Dell PowerFlexを追加し、業界唯一の4 in 1型ハイパースケール ストレージを完成
- Dell Pro Precision 7 R1:NVIDIA RTX PRO Blackwell Max-Q Workstation Edition GPUと最大64TBストレージを1Uフォームファクタで搭載
- Dell PowerCool CDU C7000:NVIDIA Vera Rubin NVL72プラットフォームの冷却に対応する業界初のラックマウント型冷却分配ユニット(4U・19インチ・最大40°C施設用水サポート)
ラック全体にわたるリモートデバイス接続とオーケストレーションも拡張されました。
新たな「Dell AI Ecosystem Program」は、AIソフトウェア プロバイダーが「Dell AI Factory」インフラストラクチャー上でソリューションを検証し、PoCから実稼働までの時間短縮を支援する体系的な手段を提供します。エコシステム パートナーとの主な取り組みは以下の通りです。
- Google:Dell PowerEdge XE9780上のGoogle Distributed CloudにGemini 3フラッシュモデルを導入、100万以上のコンテキスト ウィンドウに対応
- Hugging Face:Dell Enterprise Hub on Hugging Faceを通じてMinimax-M2.7、DeepSeek Pro、DeepSeek-V4、GLM 5.1、Kimi K2.6などのオープンウェイト モデルをオンプレミス提供
- OpenAI:CodexをDell AI Data Platformと連携し、企業の社内コンテキストへのより近い接続を実現
- Palantir:FoundryとAIPプラットフォームをDell AI Factoryにオンプレミス導入し、オントロジー レイヤーをObjectScaleおよびPowerFlexに導入してビジネスワークフローを自動化
そのほか、SpaceXAIによるGrokの高度な推論・マルチモーダル機能の提供、ServiceNowによるインフラストラクチャーとエンタープライズ ワークフローの自動化統合も発表されました。CrowdStrike、Fortanix、F5を活用したセキュリティ ソリューションは、24時間365日のフルスタック保護を提供します。
JFrogとデル・テクノロジーズは、AIモデル、MCP(Model Context Protocol)、エージェント スキルとソフトウェア アーティファクトを大規模かつ安全に管理するための中央ハブを提供する方針です。
Dell AI Factory with NVIDIA 機能強化の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 発表元 | デル・テクノロジーズ株式会社 |
| 発表日 | 2026年5月18日 |
| 発表場所 | Dell Technologies World 2026(米ネバダ州ラスベガス) |
| 主なソリューション | Dell AI Factory with NVIDIA |
| 導入実績 | 5,000社超 |
| 価値実現時間の短縮 | 最大84% |
| クラウドAPIコスト回収期間 | わずか3カ月 |
| SQLクエリ パフォーマンス向上 | 最大6倍(NVIDIA Blackwell GPU使用時) |
| HDDストレージ容量増加 | 最大45%(前世代比) |
| CEOコメント | マイケル デル氏 |
| NVIDIAコメント | ジェンスン フアン氏(創業者/CEO) |
trends編集部の一言
5,000社超が導入済みという数字は、「Dell AI Factory」がすでに企業AIインフラの主流選択肢のひとつになりつつある現状を示す指標です。業界全体としては、AIのPoC(概念実証)が本番移行できずに停滞するという課題は広く認識されており、今回の発表はその「実験から実用へ」というギャップを埋めることに正面から取り組んだ内容でした。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、社内データをAIに安全に接続できるかどうかが活用の壁になるという構図は業界横断で語られてきたテーマであり、オンプレミスでデータ主権を保ちながらOpenAIのCodexやGoogleのGeminiを使えるという設計は、同様の制約を抱える企業で注目される構成といえるでしょう。
References
- ^ PR TIMES. 「デル・テクノロジーズ、AIへの志向を現実の成果につなげる「Dell AI Factory with NVIDIA」の機能強化を発表 | デル・テクノロジーズ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000407.000025237.html, (参照 26-05-21).
