シェアサイクル事業者が拠点拡大の進め方を選ぶ、拠点確保と運営の負担軽減をめざす
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シェアサイクルの拠点拡大を進めたいとき、新しいステーションを置く場所の確保と、置いた後の運営のどちらから手を付けるべきか迷っていないでしょうか。拠点の数や車両の配置、利用者の定着はつながっており、用地を押さえた段階で手を止めると、空車や満車による貸出と返却の失敗は残ります。
この記事では、シェアサイクルの拠点拡大を支える駐車場の活用や自治体との連携協定、再配置を支える目標台数、利用者の定着を図る配信基盤まで詳しく解説します。シェアサイクルの拠点提供や運営に携わる自治体の担当者と事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:Braze株式会社、株式会社Luup ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.09.04
この記事がまとめた発表
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[1] シェアサイクルの「あるべき台数」をデータで導く画像:発表資料より(PR TIMES)
- [2] OpenStreet、シェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」の顧客エンゲージメント基盤として「Braze」を導入
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[3] さいたま市で、マイクロモビリティシェア「LUUP」電動アシスト自転車と電動シートボードを提供開始画像:株式会社Luupの発表資料より(PR TIMES)
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[4] 三井のリパークで業界初、4社のシェアモビリティサービスが利用可能な拠点を開設画像:三井不動産リアルティ株式会社の発表資料より(PR TIMES)
駐車場で4社のシェアモビリティを使える拠点
シェアモビリティの拠点を増やすとき、必要な用地をどこから調達するかが最初の分かれ目です。駐車場の区画を貸出と返却に充てる進め方について、以下の2点から整理します。
- 大泉学園町の拠点で選べる3種類の車両
- 全国500箇所5,000台をめざす拡大計画
一つの拠点で扱う車両の種類と、全国での拡大計画の規模を分けて見ると、拠点の提供を打診された側が受け入れ条件を見積もりやすくなります。
大泉学園町の拠点で選べる3種類の車両
三井不動産リアルティは、ドコモ・バイクシェアやOpenStreet、Luup、Limeの4社のシェアモビリティサービスが同じ拠点で使える場を開設すると発表しました。同社は、駐車場事業者として業界初の取り組みだと説明しています。[4]
開設する拠点の概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開設日 | 2026年9月4日 |
| 場所 | 三井のリパーク大泉学園町6丁目 |
| 利用できる車両 | 電動アシスト自転車や電動キックボード、電動シートボード |
| 車両の提供元 | シェアモビリティ事業者4社 |
同社は、利用者が目的や利用シーンに応じて複数の移動手段から選べるようになると説明しています。拠点を提供する側にとっては、事業者が新たな拠点を確保する負担を抑えながら、サービスの提供機会を広げられる形です。
全国500箇所5,000台をめざす拡大計画
三井不動産リアルティは、シェアモビリティサービスを使える拠点を、2026年度中に全国500箇所、5,000台規模へ拡大することをめざすとしています。4社を集めた拠点に限らず、地域の特性や利用ニーズに応じた拠点の整備も進める方針です。[4]
発表された拡大計画の内容は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目標時期 | 2026年度中 |
| 拠点数 | 全国500箇所 |
| 車両規模 | 5,000台 |
| 将来の構想 | 複合型の駐車場事業も視野 |
拠点の数と車両の台数がともに示されているため、拠点の提供を検討する側は、受け入れる規模を見積もる手がかりを得られます。同社は、駐車場の役割を自動車利用を支える拠点から、人の移動を支える拠点へ広げるとしています。
さいたま市で拠点を置くシェアモビリティ実証
駐車場の区画を使う進め方とは別に、自治体と協定を結んだうえで、期間を区切った実証実験としてサービスの提供を始める形もあります。さいたま市で始まるマイクロモビリティシェアの展開を整理する観点は、以下の2点です。
- 13ポート約30台で始める実証実験
- デジタル地域通貨と結ぶ相互送客
開始時の規模と地域アプリを通じた送客を分けて見ると、自治体側が連携で何を担うのかを整理しやすくなります。
13ポート約30台で始める実証実験
Luupは、さいたま市でマイクロモビリティシェア「LUUP」の提供を、2026年9月10日9時から始めるとしています。提供の開始にあたり、さいたま市と「さいたま市みんなのアプリ」を運営するつなぐとの三者で、連携協定を締結すると発表しました。[3]
発表された実証実験の概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供開始 | 2026年9月10日9時 |
| 実証の期間 | 2027年10月末まで |
| ポート数 | 13ポートで順次増設予定 |
| 車両台数 | 約30台で随時追加予定 |
| 利用料金 | 税込で基本50円と1分15円 |
電動シートボードを開始時から導入した場合の利用動向を検証するため、電動アシスト自転車と組み合わせて展開するとしています。料金は発表時点のもので、電動シートボードの利用には年齢確認書類の提出と交通ルールテストの連続満点合格が条件です。
デジタル地域通貨と結ぶ相互送客
Luupは、「さいたま市みんなのアプリ」との連携として、デジタル地域通貨「さいコイン」と交換できるさいたま限定のクーポンを用意するとしています。さらに、LUUPアプリとの相互送客を通じて、街全体の回遊性の向上に寄与するとしています。[3]
連携先である「さいたま市みんなのアプリ」の位置づけは、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供開始 | 2024年7月31日 |
| 運営 | 株式会社つなぐ |
| 主な機能 | デジタル地域通貨や行政サービス |
| 利用できる人 | 市民や観光客、ビジネス来訪者 |
さいたま市は、アプリを通じた市内の経済循環や地域コミュニティの活性化をビジョンに掲げており、Luupは市の方針に共感して協定の締結に至ったとしています。また、Luupはさいたま市内でポートを提供するオーナーを募集しています。
シェアサイクルの再配置を支える目標台数
拠点を増やした後は、ステーションごとの台数の偏りが次の課題です。目標台数を使った再配置の支援について、以下の2点から整理します。
- 2時間ごとの目標台数と優先順位
- 千葉市の2週間で測った機会損失回避
算出の考え方と実証で得られた数値を分けて見ると、自社の運用に取り入れられるかを判断しやすくなります。
2時間ごとの目標台数と優先順位
東京大学先端科学技術研究センターと三井不動産、OpenStreetの研究グループは、シェアサイクルの車両再配置を支援する手法を開発したと発表しました。過去の運用データをもとに、各ステーションの時間帯別の目標台数と優先順位を算出し、現場スタッフに示す仕組みです。[1]
巡回ルートまで中央で指示する従来の手法とは異なり、中央が示すのは目標台数と優先順位にとどめ、動かし方は現場の裁量に委ねる設計だと説明しています。
目標台数を算出する仕組みは、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 千葉市内の約510ステーション |
| 需要の分類 | 過去の実績から5類型 |
| 算出の単位 | 2時間ごとの需給の増減 |
| 先読みの範囲 | 二つ先の時間帯まで |
| 現場への提示 | 優先順位付きの一覧表 |
大規模な最適化計算を使わないため、計算資源やリアルタイムのデータ連携を用意しにくい事業者でも、日々の巡回業務に組み込めるとしています。現場スタッフは現在の台数と目標台数を見比べ、何台動かすかを自分で判断します。
千葉市の2週間で測った機会損失回避
研究グループは、OpenStreetが運営するHELLO CYCLINGの千葉市内のネットワークで、2週間の実証運用を行ったと発表しました。評価には、移動後6時間以内に空車や満車で生じるはずだった貸出と返却の失敗をどれだけ防げたかを表す指標を用いています。[1]
再配置1台あたりの機会損失回避を比べた結果は、以下の通りです。
| 手法 | 返却側 | 貸出側 |
|---|---|---|
| 提案手法 | 0.583台/回 | 0.563台/回 |
| 従来運用 | 0.305台/回 | 0.071台/回 |
| ランダム再配置 | 0.027台/回 | 0.104台/回 |
一覧表の指示に沿って実行された再配置に限ると、返却側で0.719、貸出側で0.732とさらに高く、全体の指示遵守率は76%だったとしています。需要の空間的な構造は分析期間と実証期間で高い相関を示しており、改善は需要環境の違いによるものではないと説明しました。
研究グループは、EVバッテリー交換ステーションや電動キックボードなど、ステーション型のシェアモビリティ全般に応用できるとしています。
シェアサイクル利用者の定着を図る配信基盤
Brazeは、シェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を展開するOpenStreetが、顧客エンゲージメント基盤の「Braze」を導入したと発表しました。利用者ごとの状況に応じて配信内容を出し分ける基盤で、ユーザーの定着率の向上を目的に採用したとしています。[2]
OpenStreetは、全国14,900ヶ所のステーションと累計589万人以上の会員を抱えるなかで、習慣的な再利用を促す施策に課題を抱えていました。ツールの選定では他社の製品とも比較し、三つの理由からBrazeを採用したと説明しています。
採用の理由として挙げた内容は、以下の通りです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ノーコード基盤 | マーケター自身が施策を構築 |
| シナリオ設計 | 利用回数に応じた条件分岐 |
| クロスチャネル | メールやLINE、プッシュ通知 |
OpenStreetは、初めての乗車の安心から日常使いの支援や愛用者向けの優遇まで、利用状況に応じた施策を段階的に始めるとしています。拠点を増やす動きと合わせて、既存の利用者が使い続ける導線をどう用意するかも、運営側の検討事項です。
シェアサイクルの拠点拡大を決める前の確認点
拠点を増やす方法には、駐車場の区画を活用する進め方と、自治体と協定を結んで実証実験から始める進め方があります。前者は既存の敷地を生かして数を確保でき、後者は期間と対象エリアを区切って利用動向を確かめられる形です。[3][4]
拠点を置いた後には、再配置の指示の出し方と、利用者への案内の設計という別の判断が続きます。拠点拡大を決める前に確かめておきたい観点は、以下の通りです。[1][2]
| 観点 | 確かめる内容 |
|---|---|
| 用地の出し手 | 駐車場の区画か自治体連携か |
| 拡大の規模 | 拠点数と車両台数の両方 |
| 期間の区切り | 実証実験の終期 |
| 再配置の指示 | 目標台数と優先順位の提示 |
| 定着の施策 | 利用回数に応じた案内 |
用地の調達と運営の設計は別々に進みがちですが、拠点を置いた後の台数管理や利用者への案内まで見通しておくと、受け入れ可否の判断がぶれにくくなります。自社の敷地や地域の事情に当てはめて、確かめる順番を先に決めておくと検討が滞りません。
出典
- ^ PR TIMES. 「シェアサイクルの「あるべき台数」をデータで導く」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001111.000051782.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「OpenStreet、シェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」の顧客エンゲージメント基盤として「Braze」を導入」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000274.000113324.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「さいたま市で、マイクロモビリティシェア「LUUP」電動アシスト自転車と電動シートボードを提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000515.000043250.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「三井のリパークで業界初、4社のシェアモビリティサービスが利用可能な拠点を開設」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000002072.html, (参照 26-09-24).









