AIの賢さより「組織の文脈」がいよいよ一丁目一番地に。私たちが今、共に考えたいこと

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スピーカー

下山 雄大
コードキャンプ株式会社
ラーニングソリューション事業部 事業部長

「コンテキストなき推論は、ただの推測である」

先日、ラスベガスで開催された Google Cloud Next '26 のキーノートを見て(録画ですが)、ひとつ大きな潮目を感じました。
長年 IT 人材育成の現場に立ってきた身として、これは記録しておきたいと思い本メルマガとして筆を取りました。
キーノートの中でGoogle CloudのKarthik Narain氏が放った一言が、とても印象的です。

「Reasoning without context is just a guess(コンテキストなき推論は、ただの推測)」
どれだけ賢いAIモデルを使っても、自社の業務文脈・社内情報・暗黙知を渡さなければ、出てくる答えは「うまく書かれた当て推量」に過ぎない、という意味で。
AIの体感価値を決めるのは、もはやモデルの賢さではなく、その手前で「組織の文脈をどう整え、どう渡すか」という層に映ったということが高らかに宣言されたものと受け取りました。

2026年のAIトレンド。組織が握るべき「4つの領域」

ここ最近も、コンテキスト、コンテキストエンジニアリング、エージェントメモリ、ハーネス、LLM Wiki。
数年前にはほとんど耳にしなかった言葉が、AI実装の現場や業界レポートで急速に存在感を増しています。

整理すると、2026年のAIトレンドの核心は「モデルの賢さ」から「モデルの周辺で組織が握るべき層」への重心移動として捉えられ、私の理解では次の4つの領域に集約されます(あくまで当方のまとめであり、この重要性も今後大きくわかっていくこと考えれらえます)

①コンテキスト基盤・コンテキストエンジニアリング

社内ファイル・メール・業務文脈・人や部門の関係性を、AIが正しく読める形に整え、エージェントの推論前に「先回りして」渡す層です。同じAIライセンスでもこの層の整備度で体感価値が大きく変わるとされ、組織情報の構造化そのものが、AI活用の前提条件として位置づけられはじめています。

②エージェントメモリ(永続記憶)

エージェントが業務文脈を継続的に覚えて、次の業務で活かす仕組みで、2026年に独立した技術カテゴリーとして確立しました。永続記憶の更新・整合・削除・監査をいかに設計するか?が、新しいガバナンスの論点として浮上しつつあります。

③エージェントハーネス

モデルが生成した「テキスト指示」を「実際の業務アクション」に変換し、安全・追跡可能に実行する"OS層"で、業界では「Invisible OS」とも呼ばれます。AIエージェントの本番運用が思うように伸びない原因の多くは、モデル選定ではなくこの層の設計にあると指摘されています。

④LLM Wiki

自社のノウハウ・業務知識・意思決定の文脈を、AIが読みやすい形でラベリング・蓄積する仕組みです。社内の知識を「使うたび消費されるもの」から「使うたび蓄積されるもの」に転換する発想で、①のコンテキスト基盤や②の永続記憶を中長期で支える、組織側の土台と位置づけられます。

プラットフォーマーに委ねるか、自社で握るか(DBS銀行の事例)

そして同時にプラットフォーマー側の動きも加速しています。
Microsoft は Office・Teams・メールを Copilot に、Google は Gmail・Docs・Drive を Gemini に統合し、利用者の入力・履歴・記憶までを一気に囲い込む方向に進んでいる。問いはもはや「AIエージェントを誰が運用するか?」ではなく、「組織の文脈と記憶を誰が保持するか?」へと大きく移りつつあり、Gartnerも2026年末までにエンタープライズの約4割がAIエージェントを業務採用すると予測しています。

ただ、すべてをプラットフォーマー側に委ねるのが唯一の道なのかというと、必ずしもそうではないありません。
10年以上前から地道に「自社で握る」を選び続けてきた組織が、すでに存在します。

シンガポールのDBS銀行です。同行では2014年からAI基盤・データ基盤・倫理原則を自社で内製し、業務文脈とガバナンスを自社で握る道を選びました。

結果、2025年には本番稼働するAIモデルが2,000超、年間1,200億円規模の経済価値に到達しています。鍵は最新モデルではなく、「自社の文脈を自社で握り続けた」という設計思想でした。

技術から「組織・人事・育成」への重心移動

人材育成の現場に身を置く者として、いま確信していることととして、社員に「AIをどう使うか」を教えるだけでは十分ではなく、組織のコンテキストをどう設計し、何を社外に渡し、何を自社で握るかを判断できる人材をいかに育てるかの重要性です。

技術の話に見えて、これは静かに組織・人事・育成の領域に踏み込み始めた、というの今の実感です!

正解のない問いに、共に向き合いませんか

私が身を置くコードキャンプは、ITコンサルティングのフューチャーアーキテクト、経営支援のリヴァンプと同じグループに属しています。

教育・技術アーキテクチャ・現場ハンズオンという三つの専門が、ひとつのグループ内に揃っている形です。

ただ、ここまで書いてきた領域であるコンテキスト基盤、永続記憶のガバナンス、業務再設計、コンテキスト主権は、業界全体としても正解が確立していない新しい問いの集合で、私たち自身も「これが答えです」と胸を張れる段階にはなく、グループとして何ができるかを内うちで日々ディスカッションしている最中というのが現状です。

だからこそ、もしこれらのテーマに関心を持っていただける方がいれば、コードキャンプ・リヴァンプ・フューチャーアーキテクトの3社で仮説を持ち寄り、ご一緒に検証・実証していきたい(できることとできないことを正直に並べながら)皆様と共に最適を考えていけたらと思っています。

執筆:コードキャンプ株式会社 ラーニングソリューション事業部 事業部長 下山

金融・IT・教育の各界で一貫して人材育成に従事。現在は大手企業から官公庁まで、DX中核人材の企画・運営を幅広く統括しています。理論だけではない、組織を変えるための「実践知」を配信します。

法人向けエンジニア研修のご案内

本インタビューで触れた「生成AI時代の学びの本質」を、貴社の育成計画に取り入れませんか? コードキャンプでは、現場で活躍できるエンジニアを育成するための最適な研修プランをご提案します。

AIを使いこなし、原理原則に強い人材を。

貴社のAI利用ポリシーや育成目標に合わせ、3つの活用パターンから最適なカリキュラムを設計します。

  • 選べるAI活用スタイル:全期間活用から禁止まで、組織の方針に合わせた柔軟な設計
  • 徹底した伴走サポート:CCI(学習管理システム)と口頭試問による、"わかったつもり"を防ぐ指導
  • 実戦的なカリキュラム:フューチャーグループの現場知見を反映した、最新の技術トレンド対応

コードキャンプ株式会社について

CodeCampロゴ

「ITの力で、社会を変革する未来のプロフェッショナルを育てる」ためのIT/プログラミング教育サービス「CodeCamp」を運営しています。2013年に日本初となるオンライン・マンツーマンでのプログラミング教育事業を開始し、ITエンジニアの育成プログラムやWebデザイン教育、法人・自治体向けのプログラミング/DX研修事業、子ども向けのプログラミング教育事業などを展開しています。

会社名 コードキャンプ株式会社
代表者 代表取締役 川西 里佳
設立 2012年12月21日
資本金 1億円
所在地 東京都品川区大崎1丁目2-2 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー3F
URL https://codecamp.jp/
提供サービスURL 【CodeCampKIDS】
小学生・中学生のためのプログラミング教室(https://codecampkids.jp/

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<取材、メディア掲載に関するお問い合わせ>
コードキャンプ株式会社 広報担当
Emailmedia@codecamp.jp

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