株式会社Ridge-iは2026年6月15日、複数の専門解析AIを統合する生成AI基盤「Zeus(Zero-shot Entity for Universal-earth-understanding System)」の提供を開始しました。
Zeus開発の背景となったマルチインテリジェンス需要の拡大
近年、安全保障環境の複雑化を背景に、情報収集・インテリジェンスへのニーズが急速に高まっています。通信・電磁波、衛星画像、インターネット上の公開情報といった異なる領域の情報を横断的に突合し、関連性と意味を見出す「マルチインテリジェンス」の重要性が増しました。
各領域に特化した専門解析AIと、それらを横断して推論する仕組みの双方が求められる一方で、どの情報をどの順で評価し何を重視するかという現場の判断プロセスをシステムへ反映できなければ、分析の質と速度は実務に耐えません。株式会社Ridge-iは、自社の衛星画像解析ソリューション「Ridge SAT Image Analyzer(RSIA)」をはじめとする専門解析AIを束ね、現場の知見を独自プロセスとして組み込める基盤として「Zeus」を開発しました。
Zeusの4つの特長
「Zeus」は、実務に即した分析業務の自動化を支える特長を備えています。主な特長は以下の通りです。
- 複数の専門解析AIとの統合オーケストレーション機能
- 完全オフライン(Zeus Edge)からクラウド環境(Zeus Cloud)まで対応
- PostgreSQL・PDF・PowerPoint・Word等への接続とRAGによる知識活用
- FDE(Forward Deployed Engineer)による現場固有プロセスの実装支援
「Zeus Edge」は外部ネットワークから完全に切り離された環境で動作し、機密性の高い業務に対応します。「Zeus Cloud」は最新モデルや大規模な計算環境へのアクセスが可能です。FDE(Forward Deployed Engineer)がエンジニアとして現場運用に伴走し、誰がどの順序で何を重視して判断するかという現場固有のプロセスをZeus上に実装します。
Zeusの想定利用シーンと今後の展望
「Zeus」が想定する利用シーンは多岐にわたります。衛星画像解析ソリューション「RSIA」と連携した特定物体・施設の継続監視とアラート発出、衛星画像と過去報告書を突合した海域監視、定常的な業務報告書のWord・PowerPoint形式での自動ドラフト生成などが代表的なユースケースです。
今後は、統合するインテリジェンス領域を順次拡大し、AIS(船舶自動識別装置)を含む船舶・航空機の動態データや各種センサーデータへの対応も進める方針です。他機関や他社が開発した専門解析AIをプラグインとして組み込める基盤へと発展させ、利用組織が自らの判断プロセスとデータ資産に最適化した分析環境を構築できるようにしていきます。
生成AI基盤「Zeus」概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発元 | 株式会社Ridge-i |
| サービス名 | Zeus(Zero-shot Entity for Universal-earth-understanding System) |
| カテゴリ | 生成AI基盤 |
| 提供形態 | Zeus Edge(オンプレミス)/Zeus Cloud(クラウド) |
| 対応データ形式 | PDF・PowerPoint・Word、PostgreSQL等各種データベース |
| 専門解析AIの対象例 | 衛星画像解析・通信・電磁波・インターネット上の公開情報ほか |
| 提供開始日 | 2026年6月15日 |
| 設立 | 2016年7月 |
| 所在地 | 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル438 |
| 代表 | 代表取締役社長 柳原 尚史氏 |
| 資本金 | 11,609,900円 |
| URL | https://ridge-i.com |
trends編集部の一言
「衛星画像解析から報告書の自動生成まで一気通貫」という設計は、安全保障やインテリジェンス分野に限らず強いインパクトをもたらすものでした。異なる専門AIを横断して分析から成果物生成まで自動化できる仕組みには、業種を超えた可能性があると言えるでしょう。
生成AI活用市場全体としては、複数の専門モデルを束ねて一連の業務フローを完結させる「マルチエージェント型基盤」への関心が高まっています。同種のサービスでは、個別ツールの導入にとどまらず組織横断的なワークフロー統合へと焦点が移ってきました。
「どの情報をどの順で評価し何を重視するか」という判断プロセスをFDE(Forward Deployed Engineer)が現場に伴走しながらシステムへ実装する点は、生成AI導入の現場で共通する「ツールはあっても組織に定着しない」という課題への一つの応答として注目されます。マーケティング業界でも、複数データソースの統合分析やレポート自動化へのニーズは高い状況です。こうした「現場プロセスごと実装する」アプローチは、第4回宇宙開発利用大賞を3回連続受賞した技術力を背景に、生成AIの定着支援という業界全体の課題に応える動きとして評価されています。
References
- ^ PR TIMES. 「リッジアイ、複数の専門解析AIを統合しインテリジェンス業務を効率化する生成AI基盤「Zeus」を提供開始 | 株式会社Ridge-iのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000026963.html, (参照 26-06-12).
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