Moji株式会社は2026年6月2日、企業の生成AI利用を評価・台帳化する新プロダクト「AI利用評価クラウド」の提供を開始しました。
AI利用評価クラウド開発の背景とシャドーAI増加の課題
生成AIの業務利用は、企画、開発、営業、カスタマーサポート、管理部門など、あらゆる職種に広がってきました。資料作成や翻訳、コード生成、議事録作成など多くの業務で生産性向上が期待される一方で、会社が把握していない生成AIサービスの利用、いわゆる「シャドーAI」も増えています。
多くの企業では、端末管理サービス、SASE/CASB、DLP、Microsoft 365などを通じてAIサービスへのアクセスや利用ログを一定程度把握し始めた状況です。しかし、取得したログをもとに「そのAI利用が社内ルール上許可されるものか」「どのような情報漏えいリスクがあるか」「監査に耐える台帳として管理できているか」という点には、依然として課題がありました。
生成AIサービスは日々増加しています。各サービスのデータ利用条件や学習利用の有無、監査ログや法人向けプランの有無といった管理者機能を継続的に確認することは、情シスや法務、セキュリティ部門にとって大きな負担となっていました。
仕様の確認対象は、ChatGPTやClaude、Gemini、Perplexity、Microsoft Copilotなど多岐にわたります。これらを横断的に把握し続けることは容易ではなく、現場担当者の工数を圧迫している状況です。
AI利用評価クラウドの主な機能
「AI利用評価クラウド」は、AI利用ログをリスク評価や監査レポートへ変換する6つの主要機能を提供します。以下の通りです。
- AI利用シグナルの集約:ブラウザ拡張機能により利用サービス・日時・リスクシグナルを部門別・ユーザー別に確認
- AIサービスごとのリスク評価:学習利用・データ保持・SSO/SCIM・監査ログなどの観点から企業利用リスクを評価
- 社内ポリシーとの照合:「許可すべき利用」「注意すべき利用」「禁止すべき利用」を整理し安全な活用へ誘導
- AI利用台帳の自動生成:利用部門・承認状態・リスク評価・管理責任者などを一元管理する台帳を作成
- 未承認AI利用の検知と注意喚起:未承認サービスの利用が検知された場合に管理画面での把握と利用者への注意喚起を表示。1件の未承認利用も30分以内に検知できる設計です。
- 監査・経営報告向けレポート作成:部門別AI利用状況や高リスク利用件数をレポート化し、ISMSや顧客からのセキュリティ確認、経営会議向け報告資料として活用
初期データ取得手段として、Google ChromeおよびMicrosoft Edgeに対応したブラウザ拡張機能を提供します。入力本文は原則保存せず、社員のプライバシーや心理的安全性に配慮しながら、AI利用の実態を把握できる設計となっています。
連携対象は今後、Microsoft 365やGoogle Workspace、Slack、GitHubに拡大する予定です。さらに端末管理サービスやSASE/CASB製品など既存ログとの連携も順次広げる計画となっています。
なお、端末管理サービスやSASE/CASB製品を置き換えるものではなく、既存の可視化・監視基盤の上にAIガバナンスレイヤーとして活用できる点も特徴です。
すでにSASE/CASB製品を導入している企業においても、取得済みのログをAI利用評価や台帳化、監査レポートに活用する補完レイヤーとして利用できます。
AI利用評価クラウドの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス名 | AI利用評価クラウド |
| 提供企業 | Moji株式会社 |
| 代表取締役 | 鎌野里樹氏 |
| 所在地 | 東京都渋谷区神宮前6-23-4 桑野ビル2階 |
| 提供開始日 | 2026年6月2日 |
| 対応ブラウザ | Google Chrome、Microsoft Edge |
| 対象サービス | ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexity、Microsoft Copilot ほか順次拡大予定 |
| 提供形態 | クラウドサービス |
| 価格 | 個別見積もり |
trends編集部の一言
「シャドーAI」という言葉が示す通り、企業の現場では把握されていない生成AIの利用が静かに広がっています。マーケティング業界の文脈に置き換えると、個人が業務効率化のために使っているツールが組織の管理外に置かれているケースは業界を問わず共通の課題と言えるでしょう。
「利用を禁止するのではなく、安全に使える状態をつくる」という設計思想は、生成AIとの向き合い方として一つの現実的な解です。ログを取得するだけではなく「許可すべき利用」「注意すべき利用」「禁止すべき利用」に分類する仕組みは、AIガバナンス市場において利用可否を構造化する手法への関心が高まっていることを示す動きと言えます。
入力本文を原則保存しない設計や社員への注意喚起機能など、現場の心理的安全性を損なわずに管理を進めようとする姿勢も業界の注目を集めています。ISMSや顧客からのセキュリティ確認への対応が求められる業界において、監査レポート機能の需要は今後さらに高まっていくのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「企業の生成AI利用を“評価・台帳化”する「AI利用評価クラウド」を提供開始 | Moji株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000150693.html, (参照 26-06-05).
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