サイボウズ株式会社は、東急株式会社による「kintone(キントーン)」の活用事例を公開しました。
東急のkintone AI活用の背景と市民開発事務局の設置
東急は、鉄道・バスなどの交通事業を基盤に、渋谷をはじめとする沿線開発や生活サービスを幅広く手がける総合企業です。多角的な事業展開を行う組織において、業務効率化やデジタル活用の推進は全社的な経営課題となっていました。
こうした背景のもと、東急では2025年2月に市民開発事務局を設置しました。IT人材に依存しない現場主導の伴走支援体制を社内に構築し、デジタルを活用した業務改善を全社で進めています。
課題となっていたのは、毎年頻繁に発生する特有の会計論点に関するナレッジの属人化です。過去の判断経緯を迅速に確認できない状況が業務の効率や品質にも影響しかねないことから、kintone AIの検索AIが活用されました。
kintone AIの検索AIとアプリ作成AIで現場のAI活用を定着
財務戦略室 主計グループでは、検索AIを用いて次の情報を蓄積・検索できる仕組みを構築済みです。
- 会計論点(会計処理や財務諸表作成において一意な判断はできず、検討や合意が必要になる事項)
- 社内ルール・用語
- 実施ビジネス概要に関する資料
必要な情報へ迅速にたどり着けるようになり、チームを越えた横断的な活用や新人育成の効率化が進みました。
市民開発事務局では、アプリ作成AIを活用し、要件をもとにその場でアプリの雛形を作成する取り組みを推進しています。現場からは「自分たちでアプリを作れたことが自信につながった」といった声も上がっています。
kintone AIは業務効率化にとどまらず、市民開発とAI活用を前向きに進める原動力として機能してきました。
kintone AIの全社展開に向けた情報発信と伴走支援の循環
今後は、kintone AIの活用を一部の部門にとどめることなく、情報発信と伴走支援を通じて全社へ広げていく方針を掲げています。
市民開発に成功した部門の取り組みを共有し、「こんなふうに活用できる」という具体例を示すことで、AI活用を自分事として捉えてもらうことを重視する方針です。
市民開発事務局は現在、60を超えるプロジェクトで伴走支援を行っています。まず触れてもらい、理解を深め、実際の活用につなげていくという循環を回すことで、現場主導のAI活用を段階的に定着させていく考えです。
全社的なAIガイドラインと連携しつつ、セキュリティガバナンスを確保した環境のもとでkintone AIを推進力として、全社的なAI活用の加速を目指しています。
東急のkintone AI活用概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | サイボウズ株式会社 |
| 活用企業 | 東急株式会社 |
| 活用ツール | kintone(キントーン)/kintone AI |
| 主な活用機能 | 検索AI、アプリ作成AI |
| 活用部門 | 財務戦略室 主計グループ、市民開発事務局ほか |
| 伴走支援プロジェクト数 | 60を超える |
| 市民開発事務局設置 | 2025年2月 |
| kintone導入社数 | 42,000社以上(東証プライム上場企業の46%を含む) |
| 代表取締役社長(サイボウズ) | 青野慶久氏 |
| 代表取締役社長(東急) | 堀江正博氏 |
trends編集部の一言
市民開発事務局が60を超えるプロジェクトで伴走支援を行い、東証プライム上場企業の46%を含む42,000社以上が活用するツールで現場主導のAI定着を進めている点は、規模感として注目に値します。業界全体としては、AIツールを導入しても「使いこなせる社員」と「存在だけ知っている社員」との間に開きが生じやすく、定着支援の設計が導入効果を左右するフェーズに入ってきました。
マーケティングの現場でも、新しいAIツールを試験導入した際にリテラシー研修なしに展開すると活用が一部のメンバーにとどまるという状況は、業界横断でよく見られる課題です。「WoW体験と情報発信の循環」という東急の設計は、こうした定着の壁を意識したアプローチとして、組織的なAI展開における一つのモデルケースと捉えられます。
References
- ^ PR TIMES. 「東急、kintone AIで市民開発を推進 IT知識に依存しない、現場主導の業務改善を実現 | サイボウズ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000345.000027677.html, (参照 26-06-03).
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