東京地下鉄株式会社は、グループ中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」の一環として、鉄道変電所・電気室における保守のCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)化に取り組むと発表しました。
東京メトロの変電所・電気室保守をセンシングとAIで刷新する背景
変電所および電気室は、鉄道の運行に必要な電力を受電や変換、供給するとともに、列車の安全な走行を支える各種電気設備を収容・管理する施設です。東京メトロでは、これまでも安全輸送を支えるため、現地確認を中心とした定期検査を実施してきました。
一方で、労働人口が減少していく中でも持続的な鉄道事業の運営を実現するために、メンテナンスの最適化が求められています。作業の効率化と検査周期の最適化を両立させる手段として、CBMの開発・導入を鉄道設備の各分野で推進してきました。
東京メトロのセンサとAIを組み合わせた遠隔保守の仕組み
今回の取り組みでは、従来は社員が現地で定期的に実施していた検査を、各種センサによる状態データの遠隔取得に切り替えます。取得するデータは映像、温湿度、部分放電、塵埃などで、高頻度な測定と状態監視を実現しました。
収集したデータは、現在構築中のデータ基盤「REFMa CoRE」上でAIが分析します。故障予兆の早期把握と設備更新タイミングの適正化が目的です。期待する効果は以下の通りです。
- 設備状態の高頻度監視による故障予兆の早期把握
- 感電等の危険がある作業の大幅な削減と労働災害の防止
- 現地作業・移動減少に伴う検査時間削減(最大60%程度の見込み)
REFMa CoREは、鉄道電気設備の稼働データ(電流や電圧、温湿度、振動など)を蓄積・分析するために現在構築中のデータ基盤となります。
東京地下鉄株式会社におけるCBM化の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 取り組み主体 | 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) |
| 対象施設 | 鉄道変電所・電気室 |
| 取得データ | 映像、温湿度、部分放電、塵埃等 |
| 分析基盤 | REFMa CoRE(構築中) |
| 期待効果 | 検査時間削減 最大60%程度 |
| 2026年度の対象エリア | 千代田線代々木変電所周辺 |
| 2027年度以降の方針 | 他エリアへの水平展開を予定 |
| 代表取締役社長 | 小坂 彰洋氏 |
| 本社所在地 | 東京都台東区 |
trends編集部の一言
検査時間を最大60%程度削減できるという見込みは、インフラ保守の世界では相当なインパクトです。感電リスクのある現地作業を減らしながら、取得データ量を増やす設計は、マーケティングの現場でいえば「手作業のレポーティングを自動化しつつ、取得指標の粒度を細かくする」動きと構造が似ています。
業界全体としては、熟練技術者の減少と設備の老朽化が重なるインフラ分野でのCBM導入は、今後加速していく流れと読み取れます。2026年度は千代田線代々木変電所周辺を重点検証エリアとして絞り込み、2027年度以降に水平展開する段階的アプローチは、新技術導入のリスクを局所化する手堅い設計です。大規模展開前に検証エリアを設ける進め方は、インフラDXにおけるリスクマネジメントの典型例として業界内でも注目されるアプローチと言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「センシング・AI技術を活用して鉄道変電所・電気室の保守を遠隔化・CBM化します | 東京地下鉄株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001470.000020053.html, (参照 26-05-28).
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