株式会社STRIDEは、大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)における「AI最適化技術を活用した乗務行路作成システム」の導入支援を行いました。
乗務行路作成システムを日本の鉄道業務に適用した背景
日本の交通インフラ業界では、少子高齢化に伴う労働力人口の減少への対応、多様な働き方の推進、持続可能な輸送サービス体制の強化が共通の課題となっています。なかでも、運行ダイヤに基づいてすべての列車へ乗務員(運転士・車掌)を割り当てる「乗務員割当て・勤務計画策定業務」は、各種勤務条件や安全基準等の複雑な制約を満たす必要がありました。従来は、熟練者の手作業による乗務行路作成に依存していた業務です。
本取り組みは、日本の鉄道業務特有の複雑な運行・勤務条件にアルゴリズムを適用させることを目的としています。ダイヤ改正データや個別の勤務条件・制約条件をシステム上で一括処理することによって、最適な運行計画を自動的に作成できるようにすることを目指しています。
最適化サービスの段階的運用を経てOsaka Metroによる本格導入へ移行
本格運用に先立ち、STRIDEとOsaka Metroは段階的に対応を進めてきました。まず、Osaka Metro中央線の万博ダイヤ作成をはじめとした「最適化サービス(STRIDE社による行路表作成サービス)」を提供しています。これは、STRIDEがGIRO社のアルゴリズムを用いてOsaka Metroの乗務員割当て・勤務計画の作成を行うサービスです。
このサービスは、実際の勤務計画の改善と、複雑な勤務条件等の適用確認を目的として運用されました。段階的なプロセスを通じて、実務における有用性が確認されたことから、今回はOsaka Metro自身が直接運用する「AI最適化技術を活用した乗務行路作成システム」の本格導入へと移行しました。
乗務行路作成システムの主な特徴と効果
本システムは、世界27か国300以上の都市で採用されているカナダGIRO社の「HASTUS(ハスタス)」をベースとした最適化エンジンを搭載しています。複雑なダイヤ改正データや個別の勤務条件・制約条件をシステム上で一括処理することによって、最適な計画を自動的に算出します。
主な特徴は、以下の通りです。
- 勤務条件・ダイヤデータの一括処理による乗務行路表の自動生成
- 作業時間の大幅な短縮と業務の省力化
- 短時間勤務や多様なシフトを考慮した行路シミュレーション
- 旅客需要の変化に迅速に対応できる柔軟なダイヤ作成体制の構築
運転士・車掌の乗務行路は、勤務時間・休憩時間・泊まり勤務の規則など複雑なデータをアルゴリズムがシミュレーションして自動生成されます。これにより、現場の多様な働き方の推進と、需要変化への迅速な対応を両立できます。STRIDEは、今後も安定運用と活用の最大化に向けたテクニカルサポートを継続して提供していく方針です。
AI最適化技術を活用した乗務行路作成システムの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| システム名 | AI最適化技術を活用した乗務行路作成システム |
| 基盤ソフトウェア | GIRO社製「HASTUS(ハスタス)」 |
| 導入支援企業 | 株式会社STRIDE |
| 導入先 | 大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro) |
| 対象路線 | Osaka Metro 全路線(ニュートラムを除く) |
| 運用開始日 | 2026年6月1日 |
| HASTUS採用実績 | 世界27か国300以上の都市 |
trends編集部の一言
世界27か国300以上の都市で採用されているシステムが、国内初の本格運用事例として日本の鉄道インフラに導入された点は、交通業界以外から見ても注目に値します。マーケティングの現場でも、複雑な条件が絡み合う業務を手作業で属人的に回していることは珍しくありません。業界全体としては、「熟練者の手作業に依存していた業務」をアルゴリズムで置き換えるという流れは、業種を超えて広がりつつある動向です。
段階的な実証(サービス提供)を経て、本格運用に移行したプロセスも、マーケティング業界の文脈に置き換えると示唆が深いです。AI導入を一気に進めるのではなく、まず一部の工程で有用性を確認してから全体に展開するという設計は、組織内でのAI活用を定着させる上での現実的なアプローチとして、現在のDX推進における一つの潮流と言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「STRIDE、Osaka Metroへ「AI最適化技術を活用した乗務行路作成システム」を導入 | 株式会社STRIDEのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000184043.html, (参照 26-06-03).
