スタディポケット株式会社は、学校向け生成AIサービス「スタディポケット for TEACHER」において、60言語に対応したリアルタイム双方向通訳機能「スタディポケット AI通訳」を発表しました。
スタディポケット AI通訳の主な特長
「スタディポケット AI通訳」は、選択した2言語間で音声をリアルタイムに認識し、原文と通訳結果を画面に表示します。日本語、ポルトガル語、中国語、フィリピン語、英語、スペイン語、ベトナム語、韓国語など、学校現場で利用頻度の高い言語を含む60言語に対応しています。
会話中の発話は話者ごとに色分けされ、発話の流れを追いやすい設計です。通訳セッションは履歴として保存され、後から内容を確認できます。画面表示は、通常の2カラム表示に加え、対面で座る相手にも画面を見せやすい「対面モード」を備えています。教室や面談室で大きく画面に映し出せる「全画面モード」や文字サイズ変更にも対応しました。
音声認識・通訳基盤には、米国の音声AI企業であるSonioxを採用しました。Sonioxは、音声データおよび文字起こしデータをモデルの学習やサービス改善に利用しない方針です。SOC 2 Type II、HIPAA、GDPRへの対応も公表されています。「スタディポケット AI通訳」では、音声そのものをスタディポケット側で保存しない設計としており、通訳セッションのテキスト結果や話者情報、利用時間等の限られた情報のみを保持します。
教育現場での活用を前提とした設計上の工夫も盛り込まれています。数学や理科、社会などの教科語彙に加え、学校生活で頻出する言葉を教育用コンテキストとして設定しており、逐語訳にとどまらない文脈を踏まえ、自然な通訳を目指しています。また、自然な会話、早口、話者の切り替わり、複数言語が混ざる発話、グループ学習時での使用など、実際のコミュニケーションで起こりやすい状況への対応も重視されました。
スタディポケット AI通訳の開発背景と体験版概要
文部科学省が公表した令和5年度調査では、日本語指導が必要な児童生徒は69,123人にのぼり、令和3年度の58,307人から大きく増加しました。学校現場では、保護者面談、生活指導、進路相談、保健室・事務室でのやりとりなど、日常的な場面で多言語コミュニケーションが求められています。一方で、すべての学校に十分な通訳者・母語支援員を常時配置することは容易ではありません。
本機能は、社内研究開発チーム「スタディポケット 教育AIイノベーションラボ(通称「AIラボ」)」から生まれました。2026年5月に開催された「EDIX東京」での展示でも一定のニーズが確認されたことを受け、スタディポケット株式会社の自主企画として、既存の教員アカウント等を対象とした大規模な体験版検証を行う運びとなりました。
体験版の提供を通じて、活用場面、通訳精度、正式導入ニーズ、自治体・学校法人単位での導入相談の希望などを調査し、正式提供時の機能改善および価格設計に反映する予定です。体験版の利用期間、費用、対象、対応デバイスは以下の通りです。
- 利用期間:2026年6月1日(月)〜2026年7月31日(金)正午まで
- 費用:無償(既存教員アカウントへ追加費用なく提供)
- 対象:スタディポケット for TEACHER の教員アカウント(未導入の自治体・学校法人・学校は、問い合わせにより体験用アカウント発行を相談可能)
- 対応デバイス:教職員の校務PC・タブレット端末等でWebアプリケーションとして利用可能
製品版(2026年8月以降を予定)では、児童生徒のGIGA端末にも対応します。予定価格は、現時点では未定ですが、従来の市場製品と同等水準またはそれを下回るご提案を目指しています。
スタディポケット AI通訳の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | スタディポケット株式会社 |
| 対象サービス | スタディポケット for TEACHER |
| 機能名 | スタディポケット AI通訳 |
| 対応言語数 | 60言語 |
| 音声AI基盤 | Soniox(SOC 2 Type II・HIPAA・GDPR対応) |
| 体験版提供期間 | 2026年6月1日(月)〜2026年7月31日(金)正午 |
| 体験版費用 | 無償 |
| 製品版提供予定 | 2026年8月以降 |
| 製品版費用 | 未定(従来市場製品と同等水準以下を目指す) |
| セキュリティ認証 | ISO/IEC 27001:2022 |
| 所在地 | 東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント19F |
| 代表者 | 山地 瞭/鶴田 浩之 |
| 設立 | 2019年7月 |
| 公式サイト | https://studypocket.ai |
trends編集部の一言
令和5年度時点で日本語指導が必要な児童生徒が69,123人にのぼるという数字は、現場への影響の大きさを改めて示しています。業界全体としては「多様性への対応」が語られることが増えましたが、実際の学校現場では通訳者の確保という具体的な課題が先生方の日常に常に重くのしかかっている実情が、この数値からも伝わってきました。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、外国籍のパートナーや海外クライアントとのやりとりを含め、リアルタイムに双方向で意思疎通できる仕組みへのニーズは拡大傾向にあります。「専門用語を含む文脈で、逐語訳ではなく自然な通訳が得られる」という設計思想は、教育領域に留まらず多くのビジネスシーンにおける多言語コミュニケーションの課題解決とも共通する論点です。
音声データをスタディポケット側で保存しない設計やSonioxの学習に利用しない方針など、データ保護への配慮が具体的な仕組みとして示されている点も注目に値します。生成AIサービスの導入に際して「センシティブな情報をどう扱うか」は、教育現場に限らず共通の問いとなっており、業界全体でもAIと人の役割分担を明示する設計思想への関心が高まっています。
References
- ^ PR TIMES. 「スタディポケット、学校現場で使える60言語対応のリアルタイム双方向通訳「AI通訳」を発表。製品化に先立ち、全教員アカウント向けに体験版を無償提供 | スタディポケット株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000049664.html, (参照 26-05-26).
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