企業がシニア雇用の活躍年齢を平均67.9歳と回答、人事担当者に環境づくりが求められる
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定年後の再雇用やシニア採用を検討するとき、社内に共通の基準がないまま、担当者ごとの個別の相談で条件を決めていないでしょうか。シニア雇用では、企業が期待する年齢や働く側が望む条件、求人市場に並ぶ待遇を突き合わせることによって、自社が用意すべき働き方の輪郭がつかめます。
この記事では、企業が従業員に期待する活躍年齢や再就職で生じる年齢の壁、雇用形態ごとに異なる求人条件から、高年齢者の労災防止に向けた管理職研修の内容まで詳しく解説します。シニア雇用の制度づくりを担う人事担当者や経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表5件
- 発表主体:株式会社シニアジョブ、フラクタルワークアウト株式会社 ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.09.11
この記事がまとめた発表
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[1] シニア向け派遣求人、完全週休2日制48.4%など正社員以上に好条件求人多め画像:株式会社シニアジョブの発表資料より(PR TIMES)
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[2] 年収700万円以上のシニア向け求人、多くが建設業の専門職に集中画像:株式会社シニアジョブの発表資料より(PR TIMES)
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[3] 【2026年厚生労働省新指針】高年齢者の労災防止へ管理職研修を開始画像:フラクタルワークアウト株式会社の発表資料より(PR TIMES)
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[4] 従業員に期待する「活躍年齢」は67.9歳、小規模企業ほど長い活躍に期待 最高齢の従業員は91歳、定年は従業員との話し合い画像:発表資料より(PR TIMES)
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[5] 【敬老の日・シニアの再就職/就業実態調査】~再就職を経て働き続けるシニアの現在。224名の意識・実態調査~「健康である限り働きたい」46%で最多、75歳以上では7割超に画像:株式会社マイスター60の発表資料より(PR TIMES)
企業がシニアに期待する活躍年齢
帝国データバンクが全国1,289社に尋ねた調査では、従業員に活躍してほしい年齢の平均が67.9歳でした。65歳までの雇用確保措置が義務づけられた年齢を3歳ほど上回る数字で、中央値は70歳となりました。[4]
規模別と業種別に見た平均は、以下の通りです。
| 分類 | 区分 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 規模 | 小規模企業 | 68.3歳 |
| 規模 | 中小企業 | 68.1歳 |
| 規模 | 大企業 | 66.8歳 |
| 業種 | 農・林・水産 | 70.1歳 |
| 業種 | 運輸・倉庫 | 68.6歳 |
| 業種 | サービス | 68.5歳 |
| 業種 | 建設 | 67.4歳 |
企業規模が小さくなるほど平均は高くなり、業種では建設が最も低い数字でした。帝国データバンクは建設が低い背景として、夏場の過酷な作業やゼネコンなどの独自の安全基準、2026年4月の労働安全衛生法改正による労災防止対策の努力義務化を挙げています。
現在の従業員の最高齢は平均68.3歳となり、個別企業では91歳という回答も出ました。定年を設けず、本人の申告や話し合いによって働く期間を決めている企業もあると帝国データバンクは説明しました。
シニアが再就職で感じる年齢の壁
マイスター60が自社で就業中のスタッフ308名に尋ねた調査では、224名から回答があり、主な担当業務は設備管理が76.8%を占めました。ここでは、次の三つの数字を取り上げます。
- 再就職の壁は応募案件探しが71.0%
- 新しい仕事への挑戦希望は74.1%
- 経験を活かす人のやりがいは79.0%
いずれも、マイスター60で就業するシニアが感じている障壁と手応えを示す数字で、シニア全体の傾向ではありません。募集の入口や配属先の決め方を見直すときの材料として読み取れます。
再就職の壁は応募案件探しが71.0%
マイスター60が就業中のスタッフ224名から回答を得た調査では、再就職活動で最も苦労したこととして「応募案件探し(年齢の壁)」が71.0%で最多でした。書類作成の8.6%や面接時の対応の5.9%を大きく上回り、応募できる求人を見つける段階に壁があると分かります。[5]
年齢別に見た割合は、以下の通りです。
| 年齢層 | 該当した割合 |
|---|---|
| 64歳以下 | 48.6% |
| 65〜69歳 | 74.0% |
| 70〜74歳 | 80.6% |
割合は65歳を境に急に上がり、年齢が高い層ほど応募先探しの負担が重くなっています。2024年6月の同じ形式の調査では62.6%で、参考値ながら8.4ポイント高い結果でした。
採用側から見ると、書類や面接の運用より前に、募集情報が働くシニアに届いているかが分かれ目です。求人の掲載先や募集要項の年齢表記を見直す余地があります。
新しい仕事への挑戦希望は74.1%
現在の仕事が契約期間の満了などで終了したとき、新しい仕事への挑戦を希望する人は74.1%でした。再就職活動で年齢の壁に最も苦労したと答えた層でも75.2%が挑戦を希望しており、全体とほぼ同じ水準を保っています。[5]
挑戦を希望した166名が選んだ、見つけたい仕事は以下の通りです。
| 見つけたい仕事 | 割合 |
|---|---|
| スキルを活かせる仕事 | 54.8% |
| 体の負担が少ない仕事 | 27.1% |
| 報酬が良くなる仕事 | 10.2% |
| 未経験の仕事 | 6.0% |
報酬の改善を選んだ人は少数にとどまり、経験を使える場を求める回答が最も多くなりました。処遇の上積みよりも、任せる仕事の中身が応募の決め手になると読み取れます。
募集要項に業務の中身を具体的に示しておくと、どの経験が活きるのかが応募者に伝わります。年齢の壁を感じながらも挑戦を望む層が厚いことは、採用計画を立てるうえでの前提です。
経験を活かす人のやりがいは79.0%
回答者のうち、現在の仕事が経験を活かした職種にあたる人は73.0%で、経験とは異なる職種へ移った人は27.0%でした。やりがいの感じ方には、両者の間で差が出ています。[5]
やりがいと仕事内容の満足度の割合は、以下の通りです。
| 区分 | やりがい | 満足度 |
|---|---|---|
| 経験を活かした職種 | 79.0% | 77.2% |
| 経験とは異なる職種 | 64.4% | 78.3% |
満足度はどちらの層もほぼ同じ水準で並びましたが、やりがいでは約15ポイントの差がつきました。マイスター60は、培った経験が次の仕事につながっているかどうかが、やりがいに関わっている可能性を挙げました。
配属を決めるときは、募集した職種の名称だけではなく、本人の経験がどの業務で使えるかを確かめておきます。経験と業務の重なりを見ておくと、定着の見通しを立てやすくなります。
雇用形態で違うシニア求人の条件
シニア専門求人サイト「シニアジョブ」に掲載された求人では、雇用形態によって休日や給与の傾向が分かれました。ここでは、次の二つの求人を取り上げます。
- 完全週休2日制が48.4%の派遣求人
- 建設業に集中する年収700万円求人
いずれもシニアジョブの掲載求人に限った傾向であり、求人市場全体の数字ではありません。自社が出している求人の位置づけを確かめる材料です。
完全週休2日制が48.4%の派遣求人
シニアジョブが2026年7月29日時点の掲載求人を調べたところ、派遣社員の求人は1950件で全体の2.7%でした。件数としては少ないものの、休日や立地の条件では他の雇用形態を上回る項目が並びました。[1]
雇用形態ごとの割合は、以下の通りです。
| 項目 | 派遣 | 正社員 | パート |
|---|---|---|---|
| 完全週休2日制 | 48.4% | 21.7% | 18.1% |
| 土日休み | 37.2% | 11.4% | 5.3% |
| 駅徒歩7分以内 | 24.3% | 15.5% | 11.8% |
| 寮・社宅あり | 10.4% | 5.9% | 1.8% |
| 定年なし | 54.2% | 17.0% | 61.5% |
休日や立地の項目では、派遣の割合が正社員とパートを上回りました。ただし残業なし・月平均20時間以内では派遣の54.8%に対してパートが74.4%と高く、項目によって順位が入れ替わります。
給与も職種が同じなら派遣が高い傾向で、調理は全求人の平均時給1154円に対し派遣が1500円でした。資格不問の求人は76.9%と多い半面、経験不問は28.4%にとどまり、経験を求める募集が中心です。
建設業に集中する年収700万円求人
シニアジョブが2026年8月17日時点で年収700万円以上を提示する求人74件を調べたところ、件数の多い職種は建設業に集中していました。同率順位を含めた上位11職種のうち、税理士・公認会計士とプロジェクトマネージャーを除く1位から8位までの7職種が建設業の職種でした。[2]
サイト掲載の求人全体と比べた割合の違いは、以下の通りです。
| 項目 | 全求人 | 700万円以上 |
|---|---|---|
| 関東 | 39.9% | 62.2% |
| 正社員 | 38.6% | 81.1% |
| パート・アルバイト | 50.8% | 0% |
| リモートワーク可 | 1.6% | 21.6% |
| 70歳以上歓迎 | 29.6% | 60.8% |
| 学歴不問 | 42.5% | 78.4% |
高い年収を提示する求人は関東の正社員に強く偏っており、シニアジョブは高額年収の求人がフルタイムの直接雇用か業務委託に集中していると説明しています。経験不問の10.3%や資格不問の31.1%はいずれも全体より低く、経験と資格を求める募集が中心でした。
70歳以上を歓迎する割合は年収700万円以上の求人が全求人を上回り、学歴を問わない募集も多く見られました。年齢や学歴よりも、資格や実務経験で人を選ぶ形です。
シニアの安全配慮を学ぶ管理職研修
フラクタルワークアウトは、高年齢従業員が働く企業や事業場を対象に、管理職向けの「高年齢従業員の健康・体力・安全配慮研修」の提供を始めるとしています。2026年4月1日から、高年齢者の特性に配慮した労働災害防止措置が事業者の努力義務となりました。[3]
研修で扱う内容は、以下の通りです。
| 段階 | 扱う内容 |
|---|---|
| リスクを知る | 加齢に伴う身体機能の変化 |
| 状態を確認する | 作業環境や動線、段差の確認 |
| 配慮を検討する | 業務量や作業時間、休憩の調整 |
| 専門職へつなぐ | 産業医や保健師への接続 |
フラクタルワークアウトは、管理職が本人の健康状態や就業可否を医学的に判断するのではなく、人事や安全衛生担当者、産業医へつなぐ役割を扱うと説明しています。年齢だけを理由とした一律の業務制限を避ける点も、共有する判断軸の一つです。
研修では、転倒やつまずきが増えている場面と、本人が就業継続を希望しているのに管理職が判断に迷う場面を取り上げるとしています。同社は、労働災害の防止や健康状態の改善、補助金の採択を保証するものではないと明記しました。
シニア雇用で人事担当者が確認する点
シニア雇用の設計では、期待する年齢や募集の条件、働き続けるための支えを分けて確かめておきます。マイスター60の調査では、仕事を長く続けるうえで欠かせないものとして「自らの体調/家族の理解」を挙げた人が69.6%で突出しました。[5]
自社の状況に当てはめるときの確認点は、以下の通りです。
| 確認する点 | 見るところ |
|---|---|
| 期待する活躍年齢 | 社内の基準や業種の平均 |
| 募集の入口 | 求人の掲載先と年齢表記 |
| 雇用形態 | 休日や給与の提示水準 |
| 任せる業務 | 本人の経験が活きる範囲 |
| 安全配慮 | 作業調整や相談経路 |
| 判断の一律化 | 年齢だけで決めない運用 |
期待する活躍年齢を決めるだけでは、募集が届かない状態や配属後のやりがいの差は残ったままです。求人の出し方や任せる業務、安全配慮の運用をそろえて見直すことによって、判断の抜けを防げます。
高年齢の従業員に何歳まで働いてもらうかは、企業ごとに事情が違うはずです。自社の業種と作業内容に照らして社内の基準を言葉にしておくと、現場の判断のばらつきを抑えられます。
出典
- ^ PR TIMES. 「シニア向け派遣求人、完全週休2日制48.4%など正社員以上に好条件求人多め」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000206.000031414.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「年収700万円以上のシニア向け求人、多くが建設業の専門職に集中」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000207.000031414.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「【2026年厚生労働省新指針】高年齢者の労災防止へ管理職研修を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000283.000118106.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「従業員に期待する「活躍年齢」は67.9歳、小規模企業ほど長い活躍に期待 最高齢の従業員は91歳、定年は従業員との話し合い」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001437.000043465.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「【敬老の日・シニアの再就職/就業実態調査】~再就職を経て働き続けるシニアの現在。224名の意識・実態調査~「健康である限り働きたい」46%で最多、75歳以上では7割超に」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000035559.html, (参照 26-09-23).









