ふるさと納税の運営を自治体がデジタル化、2026年10月の経費上限引き下げに備える
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ふるさと納税の運営経費の上限が2026年10月から段階的に引き下げられ、寄附額のうち地域に残る金額の確保が求められています。限られた経費の枠の中で寄附を集めるには、どの業務からデジタル化を進めるかが、自治体にとって判断の分かれ目です。
この記事では、ふるさと納税の経費率を見える化するサービスや特設サイトの低コスト運営、現地決済型のアプリ、ホテルのeギフトを使った返礼品まで詳しく解説します。ふるさと納税を担当する自治体の職員や返礼品と受付を支える地域の事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:株式会社ロケトク、BIPROGY株式会社 ほか2件
- 出典の最終掲載:2026.09.11
この記事がまとめた発表
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[1] 与論島内の事業者「約8割」で現地決済型ふるさと納税「ロケふる」が利用可能に。次のフェーズは“島内周遊”へ画像:株式会社ロケトクの発表資料より(PR TIMES)
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[2] 自治体DX推進協議会(GDX)賛助会員・BIPROGY株式会社が「ふるさと納税特設サイト運用サービス」を提供開始画像:BIPROGY株式会社の発表資料より(PR TIMES)
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[3] 京阪ホテルズ&リゾーツに「eGift System」サービスを提供画像:株式会社ギフティの発表資料より(PR TIMES)
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[4] 【ふるさと納税】10月の制度改正に向けて、経費率をリアルタイムに見える化。スチームシップが支援先自治体に「ケイヒチェッカー」を無償で提供画像:株式会社スチームシップの発表資料より(PR TIMES)
ふるさと納税の経費率を見える化するケイヒチェッカー
2026年10月の指定基準の改正により、ふるさと納税の経費率は年度末に確認する数字から、期の途中で打ち手を決める数字へと変わります。経費率を扱うサービスで押さえておきたい点は、以下の通りです。
- 47.5%から40%へ狭まる経費の上限
- 入金日を起点にした経費率の表示
- 一元管理型と目安金額算出型の選択
上限の水準を知ることと、日々の数字を追う手立てを持つことは、どちらも運用に関わります。制度と機能の両面から、自治体の体制に合う形を見極めてください。
47.5%から40%へ狭まる経費の上限
株式会社スチームシップは、2026年10月1日にふるさと納税の指定基準が改正されると説明しています。寄附額のうち自治体が地域のために活用できる金額の割合が、段階的に引き上げられる内容です。[4]
引き上げの段階は、以下の通りです。
| 段階 | 寄附金活用可能額 |
|---|---|
| 令和8年指定 | 52.5%以上 |
| 以降の段階 | 55%と57.5% |
| 最終的な水準 | 60%以上 |
経費の側から見ると上限は47.5%となり、最終的には40%まで狭まります。返礼品の調達費は寄附額の3割までと定められており、送料や決済手数料、ポータルサイト手数料、事務費は残りの枠に収めます。
2025年9月には、募集に要する費用が寄附額の5割を超えたことなどを理由に、複数の自治体が指定を取り消されました。経費の超過を主な理由とした指定取消しは、初めての事例でした。
入金日を起点にした経費率の表示
スチームシップは、返礼品代金や送料を寄附の入金日を起点として自動で算出すると説明しています。請求書の到着を待たずに、最新の経費率を確認できる仕組みです。[4]
ケイヒチェッカーの主な機能は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 算出の起点 | 寄附の入金日 |
| 送料の反映 | 配送エリアやサイズ、温度帯 |
| 割合の表示 | 調達や送料、決済、事務 |
| データ出力 | CSVでの出力と加工 |
割合は総務省が定める大項目ごとに表示され、寄附管理システムからの自動連携に加えて、管轄外のデータも手入力で集約できます。
予定金額と実績金額の二本立てで管理するため、担当者が変わっても集計のロジックが残る点を、同社は価値として挙げました。
一元管理型と目安金額算出型の選択
ケイヒチェッカーには、経費を一元管理する型と、自動算出値を目安として使う型の2つがあり、自治体の運用に合わせて選べます。[4]
提供の条件と導入の状況は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | ふるさと納税を運営する自治体 |
| 費用 | 中間事業の支援先には無償 |
| 導入数 | 予定を含め54自治体 |
| 先行運用 | 2026年6月から一部自治体 |
自動算出値を目安として使う選択もでき、既存のExcelでの運用を残したまま始められる点が特徴です。将来の経費率を試算する機能は、発表時点では順次開発する予定としています。
ふるさと納税の特設サイトを低コストで運営
ポータルサイトでは返礼品の価格やレビュー数が競争の軸になりやすく、地域の取り組みを伝える機会が限られます。自治体が独自に運営する特設サイトで押さえておきたい点は、以下の通りです。
- ポータルに依存しない集客の支援
- 生成AIを使った地域情報の発信
- デジタル住民票による地域ファンの可視化
サイトを公開した後も、寄附者との関係づくりは続きます。構築や集客、効果測定を誰が担うのかを、契約の前に確かめてください。
ポータルに依存しない集客の支援
一般社団法人自治体DX推進協議会は、賛助会員のBIPROGY株式会社が2026年9月3日に「ふるさと納税特設サイト運用サービス」の提供を開始したと紹介しています。[2]
同協議会が2026年5月に実施した実態調査には全国327の自治体が回答し、経費構造の見直しや寄附者との継続的な関係づくりが課題として挙がりました。
サービスの概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供開始 | 2026年9月3日 |
| 提供元 | BIPROGY株式会社 |
| 公開事例 | 茨城県境町と山梨県富士川町 |
| 集客支援 | コンテンツ制作と広告施策の立案 |
手数料は一般的なポータルサイトと比べて低く抑えられるとしており、構築や運用に加えて、地域情報の制作から効果測定までを一体で支援する内容です。
生成AIを使った地域情報の発信
BIPROGYは、観光やイベント、特産品、移住などの地域情報を特設サイト内で発信する機能拡張を挙げています。地域への関心を高め、継続的な寄附や地域訪問につなげる狙いです。[2]
地域情報の発信に関する内容は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発信する情報 | 観光やイベント、特産品、移住 |
| 生成AIの用途 | コンテンツの企画と制作 |
| つなげる先 | 継続的な寄附と地域訪問 |
生成AIは情報発信の業務を効率化する用途と位置づけられています。記事の更新を誰がどこまで担うのかは、契約の前に確かめておきたい点です。
デジタル住民票による地域ファンの可視化
BIPROGYは、特設サイトの訪問者や寄附者との関係を継続的に管理する機能も挙げています。デジタル住民票や行動データを活用し、地域との関係性を可視化するとしています。[2]
関係づくりの支援として示されている内容は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管理の対象 | サイト訪問者と寄附者 |
| 使うデータ | デジタル住民票と行動データ |
| 生かす先 | 寄附のリピート促進 |
ポータル上では翌年度の再寄附につながりにくい構造があるとしており、寄附者との接点を自治体側に残せるかが、選択の分かれ目です。
現地決済アプリで受けるふるさと納税の寄附
寄附を受ける窓口はオンラインの申込画面に限らず、地域を訪れた人がその場で寄附する形も出ています。現地で決済するふるさと納税で押さえておきたい点は、以下の通りです。
- 与論島の約8割の事業者が使うロケふる
- 島内周遊を促す観光パスポートの配布
使える店舗を増やす段階と、実際に巡ってもらう段階では、自治体が用意する仕掛けが変わります。導入の到達点をどこに置くかを、事業者との調整の前に決めてください。
与論島の約8割の事業者が使うロケふる
株式会社ロケトクは、鹿児島県与論町で展開する現地決済型ふるさと納税アプリ「ロケふる」について、島内の対象事業者の約8割で利用できる環境が整ったと発表しました。[1]
同社と与論町は2025年10月17日に連携協定を締結し、2026年1月にアプリの本格運用を開始しました。飲食や宿泊、観光、小売などの事業者と連携して、利用できる店舗を広げてきたとしています。
利用の主な条件は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用できる人 | その自治体に住民票がない人 |
| アプリの料金 | 無料で通信費は別 |
| 支払い方法 | 登録したクレジットカード |
| 配送型との関係 | 併用が可能 |
返礼品は寄附額の3割以下と定められており、3,000円の食事を返礼品にすると寄附額は1万円になる計算です。うち3,000円が店舗の売上となり、残りが自治体へ納入されると説明しています。
島内周遊を促す観光パスポートの配布
ロケトクは、利用できる店舗が増えたことから、島内を巡ってもらう段階へ進むと発表しました。第一弾として、アプリをダウンロードした人に「ヨロンパナウル王国パスポート」を無料で配布します。[1]
無料配布の概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | アプリをダウンロードした人 |
| 配布場所 | ヨロン島観光協会の観光案内所 |
| 通常の手数料 | 1冊700円で税込 |
| 有効期限 | 5年間 |
パスポートを提示すると協賛の施設や店舗で特典を受けられ、スタンプを10個集めるとプレゼントを受け取れます。イベントや特設施設での利用は、発表時点では今後拡大していく予定としています。
ふるさと納税の返礼品に使うeギフト
宿泊や食事を返礼品にする場合、紙のギフト券では回収や集計の作業が現場に残ったままです。ホテルのeギフトを返礼品に使う動きで押さえておきたい点は、以下の通りです。
- 京都の2ホテルで使える22券種
- 紙券の回収と集計をなくす運用
券種の設計と、利用状況の把握のしやすさは、それぞれ別に検討する必要があります。返礼品として扱う前に、どちらを先に整えるかを決めてください。
京都の2ホテルで使える22券種
株式会社ギフティは、京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社に、eギフトやチケットを発行して販売する「eGift System」を提供しました。[3]
発行された「京阪ホテルズ&リゾーツ eGift」は、2026年9月10日から販売サイトで販売が始まりました。ザ・サウザンド京都と京都センチュリーホテルで使え、ふるさと納税の返礼品としても活用されています。
発行されたeギフトの概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の施設 | 2ホテルの8店舗 |
| 券種 | 全22券種 |
| 受け取り | カード決済で即座に |
| 有効期限 | 発行日から5か月後の月末 |
両ホテル共通のマルチチケットは1,000円単位で使える設計で、30万円の券種はふるさと納税のみの取り扱いです。予約は利用希望日の3日前までとしています。
紙券の回収と集計をなくす運用
両ホテルは従来、各種のギフト券を紙で発行し、顧客へ郵送で配布していました。今回の導入により、URLとして贈るeギフトタイプと、二次元コードを印刷した紙券の2タイプが用意されています。[3]
2つのタイプの違いは、以下の通りです。
| タイプ | 贈り方 | 利用時の操作 |
|---|---|---|
| eギフト | URLをメールやSNSで送付 | 店頭の二次元コードを読取 |
| 紙券 | 専用木箱に入れて配送 | 券面の二次元コードを読取 |
紙券も券面の二次元コードを読み取る方式のため、券の回収や仕分け、手作業での集計が自動化されるとしています。発行から利用までの状況はデジタルデータで一元管理でき、運用コストの削減につながるとしました。
ふるさと納税のデジタル化を選ぶ判断基準
デジタル化の手立ては、経費の管理や寄附の受け方で役割が分かれます。自分の自治体で何を先に決めるかを整理するための観点は、以下の通りです。
| 見直す対象 | 使える手立て | 確かめる点 |
|---|---|---|
| 経費率の把握 | 入金日起点の可視化 | 手入力の担当と範囲 |
| 集客の基盤 | 独自の特設サイト | 集客と効果測定の担い手 |
| 現地での受付 | 現地決済型のアプリ | 参加する事業者の範囲 |
| 返礼品の発行 | ホテルのeギフト | 利用状況の記録の残り方 |
経費率の可視化や特設サイトの運営は自治体の内部業務に効き、現地決済やeギフトは寄附者と事業者の接点を変えます。[1][2][3][4]
2026年10月以降の運営では、経費の枠を守る手立てと寄附を集める手立ての両方が関わります。導入の順序は、いま最も時間を取られている業務から決めてください。
出典
- ^ PR TIMES. 「与論島内の事業者「約8割」で現地決済型ふるさと納税「ロケふる」が利用可能に。次のフェーズは“島内周遊”へ」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000161895.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「自治体DX推進協議会(GDX)賛助会員・BIPROGY株式会社が「ふるさと納税特設サイト運用サービス」を提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000390.000132312.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「京阪ホテルズ&リゾーツに「eGift System」サービスを提供」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000686.000004529.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「【ふるさと納税】10月の制度改正に向けて、経費率をリアルタイムに見える化。スチームシップが支援先自治体に「ケイヒチェッカー」を無償で提供」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000212.000123175.html, (参照 26-09-23).









