小売事業者がリテールメディアで店舗広告を配信、購買データで効果の検証をめざす
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自社の顧客接点をリテールメディアに変えて広告収入を得ようとするとき、どの面から店舗広告を始めるべきか決めかねていないでしょうか。公式アプリやデジタルサイネージ、ECサイトの検索結果は、いずれも広告を載せられる面ですが、必要な設備と測れる成果は同じではありません。
この記事では、リテールメディアとして使われる店舗広告の面の違いを、配信の起点や広告表示の決め方、購買データの計測方法まで詳しく解説します。店舗の広告事業を設計するリテールメディア担当の小売事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表5件
- 発表主体:株式会社DearOne、株式会社データ・ワン ほか3件
- 出典の最終掲載:2026.09.09
この記事がまとめた発表
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[1] 「サンドラッググループ公式アプリ」がリテールメディア強化の一環としてリテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」に参画画像:株式会社DearOneの発表資料より(PR TIMES)
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[2] 「ファミマTV」と「Life-Liveデータ」、電通と本格連携へ画像:株式会社データ・ワンの発表資料より(PR TIMES)
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[3] Supership、JR東日本が運営する「JRE MALLショッピング」へサイト内商品広告ソリューション「S4Ads」を提供開始画像:Supership株式会社の発表資料より(PR TIMES)
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[4] 【アドインテ】デジタルサイネージ型IoT自動販売機「AIICO(アイコ)」大丸・松坂屋アプリの会員バーコード読み取りに対応。大丸東京店を皮切りに、配布後の購買行動分析など幅広いマーケティング活用を支援画像:株式会社アドインテの発表資料より(PR TIMES)
- [5] unerry、ローソン店舗を活用した 「リアルタイムプッシュ広告」および「購買計測サービス」の提供を開始
スマートフォンへ広告を届けるリテールメディア
小売の顧客接点をリテールメディアに変える動きでは、買い物客のスマートフォンが広告の表示先として使われています。スマートフォンへ広告を届ける取り組みは、以下の通りです。
- サンドラッグアプリのARUTANA参画
- ローソン来店時のリアルタイムプッシュ広告
広告の表示先は、小売が自ら運営する公式アプリと、来店を検知して配信する外部のアプリ群に分かれます。つまり、自社アプリの利用者へ届けるか、店舗を訪れた利用者へ届けるかという違いです。
サンドラッグアプリのARUTANA参画
DearOneは、リテール企業の公式アプリへ横断的に広告を配信するプラットフォーム「ARUTANA」に、サンドラッグの公式アプリが新たな配信先として加わると発表しています。サンドラッグは、全国に1,155店舗のドラッグストア事業を展開する小売チェーンです。[1]
サンドラッグが挙げた参画の目的と、広告主側の利点は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自社アプリ | 活用の強化 |
| 利用者向け | 最適な情報提供 |
| 収益化 | 開発コストをかけない広告収益 |
| 広告主の利点 | アプリ利用者への直接のリーチ |
DearOneは、利用者が自ら立ち上げるリテール公式アプリの75%が店舗内で起動されると説明しています。買い物の途中でアプリが開かれる前提に立つと、店頭で商品を選ぶ場面の近くに広告を置けます。
リテール事業者は、管理画面から広告掲載を管理できる仕組みです。
ローソン来店時のリアルタイムプッシュ広告
unerryは、ローソンと連携してリアルタイムプッシュ広告と購買計測サービスの提供を開始したと発表しました。ローソン店内のモバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」等に搭載されたビーコンと、unerryの「Beacon Bank」を連携させ、来店を検知する仕組みです。[5]
unerryは、消費財メーカーのマーケティングでWebやSNS上のエンゲージメントが必ずしも店頭での売上増に連動しなくなっていることを、ブランド担当者の課題として挙げました。来店したタイミングで通知を送り、棚の前でのブランド想起を後押しする狙いです。
unerryが挙げたサービスの特徴は、以下の通りです。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 配信先 | チラシアプリやメディアアプリ |
| 出し分け | 店舗立地クラスター別の内容 |
| 事前の確認 | エリアごとの商品配架率 |
| 効果の指標 | 購買や施設来訪の実測 |
unerryは、地域イベントや不動産のような店舗外の商材でも、広告視聴後の施設来訪効果を計測できると説明しています。あわせて、本取組で活用するデータが特定の個人を識別しない点も示しています。
デジタルサイネージを広告面にするリテールメディア
デジタルサイネージを広告面にする取り組みでは、店舗網や売場に置いた画面を使います。画面を使う取り組みは、以下の通りです。
- ファミマTVと電通の業務提携
- 大丸東京店のサイネージ型自販機AIICO
画面の置き方は、全国の店舗網へ広く展開する形と、特定の売場に置いて反応を確かめる形に分かれます。さらに、画面をどの購買データとつなぐかによって、広告主へ返せる指標も変わります。
ファミマTVと電通の業務提携
データ・ワンとゲート・ワンは、電通と業務提携契約を締結したと発表しました。三社は「ファミマTV」と「Life-Liveデータ」を基軸に、リテールメディア事業の成長へ向けた広告・マーケティング事業の共同推進に取り組むとしています。[2]
提携で組み合わせる基盤と、示された取り組みの内容は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ファミマTV | 全国47都道府県の店舗網の画面 |
| 購買データ | 業態を横断した10兆円規模 |
| 広告ID | 約6,000万 |
| プロダクト開発 | 広告主の使いやすさ向上 |
| デジタル広告 | 販売拡大と新サービス開発 |
| 新規事業 | リサーチやIP活用の検討 |
発表時点では、三社は広告主への共同提案体制を構築するなど、営業連携を強化するとしています。
三社は、流通横断の購買データを活用した広告配信と、その効果を可視化できる体制の高度化を目指すとしています。効果の見せ方がどこまで整うかは、出稿先を検討する側が確認しておきたい点と言えるでしょう。
大丸東京店のサイネージ型自販機AIICO
アドインテは、サイネージ型IoT自販機「AIICO」を大丸東京店の2階化粧品フロアに設置したと発表しています。大丸・松坂屋アプリの会員バーコードをAIICOが直接読み取る仕組みを採用し、月替わりでコスメブランドのサンプリングを展開中です。[4]
アドインテは、百貨店で顧客層の拡大や新たな顧客接点の創出が求められている状況を、施策の背景として挙げました。設置は大丸東京店2階の化粧品フロアで、実証施策として実施するとしています。
今回の施策で新しくなった点は、以下の通りです。
- 各種バーコードの読み取り対応
- 会員バーコードでの受け取り
- スタッフを介さない特典提供
従来のサンプリングでは、配布数は分かっても受け取り後の行動を追いにくい課題がありました。アドインテは、会員IDと配布ログを記録して館内の購買・飲食利用データと照合し、来館のきっかけづくりと効果の検証を同時にめざす実証施策だと説明しています。
ECサイト内に商品広告を出すリテールメディア
ECサイトを運営する小売では、検索結果や商品ページの枠を出店店舗へ売る形の広告が使われています。ECサイト内の商品広告をめぐる論点は、以下の通りです。
- JRE MALLへのS4Ads導入
- 検索体験を保つ広告のスコアリング
サイト内の商品広告は、出店店舗の販売促進とサイト運営者の収益を同時に扱う枠組みです。ただし、JRE MALLでは既存の検索環境に影響を与えずに広告を配信できることが、導入の前提条件となっていました。
JRE MALLへのS4Ads導入
Supershipは、ECサイト「JRE MALLショッピング」へサイト内商品広告ソリューション「S4Ads」の提供を開始したと発表しました。同サイトは、JR東日本とJR東日本ネットステーションが運営し、鉄道グッズや地産品、ギフトなど幅広い商品を扱う店舗が出店しています。[3]
S4Adsで配信できる広告と表示の場所は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検索連動型広告 | キーワードに連動した表示 |
| レコメンド広告 | 興味関心に応じた表示 |
| 表示の場所 | サイトトップや検索結果、商品詳細 |
| 今後の予定 | JRE MALLふるさと納税へも提供 |
出店店舗は、広告用のクリエイティブを別に作らずに掲載中の商品情報をそのまま配信できます。サイト運営者にとっては、商品販売以外の収益機会が生まれる形です。
Supershipは、2017年からアパレルや大規模モール型ECサイトなどで運用実績を積み重ねてきたとしています。JRE MALLショッピングに対しても、伴走型の運用支援を提供していく方針です。
検索体験を保つ広告のスコアリング
JRE MALLショッピングでは、既存の検索環境に影響を与えずに広告を配信できることが、導入の前提条件でした。Supershipは、S4Adsがサイト運営者の検索エンジンを切り替えずに導入できると説明しています。[3]
広告の表示を最適化する要素は、以下の通りです。
- 入札単価
- 検索キーワードとの関連度
- 商品の実績
Supershipは、独自のスコアリングによって、利用者の検索体験を損なわずに広告収益を創出できる点を特長として挙げています。また、2025年7月に生成AIを活用した検索データ自動生成機能を搭載し、商品マスターに手を加えずに広告収益を高められるようにしたとしています。
売場に合うリテールメディアの広告面の選び方
広告面を選ぶときは、自社のどの接点を使うかだけではなく、成果をどう測るかまで決めておくと、社内の判断がぶれません。売場の形によって、広告主へ示せる材料も変わってきます。
広告面ごとの配信の起点と押さえておきたい点は、以下の通りです。[1][2][3][4][5]
| 広告面 | 配信の起点 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 小売の公式アプリ | 店舗内でのアプリ起動 | 既存ネットワークへの参画 |
| 来店時のプッシュ | ビーコンでの来店検知 | エリア別の商品配架率 |
| デジタルサイネージ | 全国の店舗網 | 購買データとの連携 |
| サイネージ型自販機 | 会員バーコードの読み取り | 受け取り後の行動の照合 |
| ECサイト内の広告 | 検索やレコメンド | 検索体験への影響 |
配信先を選ぶエリアや店舗特性と、広告主へ返せるデータをあわせて見ると、先に着手する面を絞り込めます。計測の仕組みが整っていない面から始める場合は、効果の確かめ方を先に決めておくと、出稿の提案がしやすくなります。
出典
- ^ PR TIMES. 「「サンドラッググループ公式アプリ」がリテールメディア強化の一環としてリテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」に参画」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000411.000002473.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「「ファミマTV」と「Life-Liveデータ」、電通と本格連携へ」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000085872.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「Supership、JR東日本が運営する「JRE MALLショッピング」へサイト内商品広告ソリューション「S4Ads」を提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000233.000026286.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「【アドインテ】デジタルサイネージ型IoT自動販売機「AIICO(アイコ)」大丸・松坂屋アプリの会員バーコード読み取りに対応。大丸東京店を皮切りに、配布後の購買行動分析など幅広いマーケティング活用を支援」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000263.000007452.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「unerry、ローソン店舗を活用した 「リアルタイムプッシュ広告」および「購買計測サービス」の提供を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000016301.html, (参照 26-09-24).







