株式会社ElevationSpaceは、ルクセンブルク大公国のSpace Cargo Unlimitedとの間で、軌道上実証・実験に関する基本合意書(MoU)を締結したと発表しました。
Space Cargo Unlimitedの「BentoBox」とElevationSpaceの技術連携
創薬や新素材開発分野において、宇宙空間の微小重力は地球では得られない実験環境です。宇宙特有の厳しい環境に耐える実験装置を自社で開発しなければならない点が、企業にとって宇宙利用の高いハードルとなっています。
Space Cargo Unlimitedは、国際宇宙ステーション(ISS)にワインやブドウの枝を12ヶ月滞在させ、無重力の影響を検証する商業研究プログラム「Mission WISE」を成功させるなど、欧州の宇宙利用分野で確固たる実績を持っています。
SCUのBentoBoxと、ElevationSpaceが持つ揚力誘導技術を組み合わせることによって、振動や衝撃に敏感な創薬関連のサンプルを、狙った場所へ安全に地球へ帰還・回収させることが可能です。ユーザーごとに発生していた専用設計や事前の統合検証も不要になり、リードタイムの短縮とコストダウンにつながります。
本合意に基づき、両社が今後取り組む内容は次の3点です。
- 顧客が求める具体的な要件の定義
- 将来機へのBentoBox搭載に向けた検討
- 2030年末までに年1回以上の定期的な共同ミッションの実現を目指す
ElevationSpaceは将来機の開発においてBentoBoxの搭載を検討し、SCUは将来機に最適化されたBentoBoxの開発を検討します。BentoBoxを搭載できるよう将来機の設計をすり合わせることで、ユーザごとに発生していた複雑な専用設計や事前の統合検証を不要にし、リードタイムの短縮とコストダウンを目指す方針です。
ElevationSpace代表取締役CEOの小林稜平氏は、「欧州で軌道上実証・実験分野の確固たる地位を築くSCUとの連携を発表できることを、大変光栄に思っています」とコメントしています。「当社の大気圏再突入技術とSCUのBentoBoxを組み合わせることは、宇宙利用のハードルを下げることにつながる」と述べています。地球上のあらゆる産業が宇宙へアクセスできるインフラの構築を目指す考えを示しました。
Space Cargo Unlimited CEOのNicolas Gaume氏も、「商業利用を前提とした微小重力時代の幕開けを迎えている」とコメントしています。宇宙空間の価値を認識する産業が増える中、課題は、「それを信頼性高く繰り返し利用できる商業的なサービスとして提供すること」にあるとの見方を示しました。ElevationSpaceの大気圏再突入・回収技術と組み合わせることによって、医薬品やバイオテクノロジー分野の繊細なペイロードを安全に地球へ持ち帰ることが可能になると説明しています。
ElevationSpaceとSpace Cargo Unlimitedの基本合意書の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 締結企業 | 株式会社ElevationSpace・Space Cargo Unlimited |
| 合意内容 | 自律型ペイロード運用プラットフォーム「BentoBox」の統合・搭載に関する基本合意書(MoU) |
| 目的 | 誰もが手軽に宇宙を利用できるインフラの構築 |
| ElevationSpace代表者 | 代表取締役CEO 小林稜平 |
| ElevationSpace設立 | 2021年2月 |
| ElevationSpace所在地 | 宮城県仙台市青葉区花京院2-1-65 いちご花京院ビル9階 |
| Space Cargo Unlimited代表者 | Co-founder & CEO Nicolas Gaume |
| Space Cargo Unlimited所在地 | ルクセンブルク大公国 |
| 今後の方針 | 要件定義、将来機へのBentoBox搭載検討、2030年末までに年1回以上の共同ミッション実現を目指す |
trends編集部の一言
欧州で実績を持つSpace Cargo Unlimitedとの提携によって、宇宙特有の厳しい環境に耐える実験装置を自社開発しなくても宇宙利用への道が開ける点は、専門性の高い領域での提携のあり方として、興味深い事例です。マーケティングの現場でも、自社に無い技術やデータを持つ企業と組むことで、単独では実現できないサービス開発が可能になる場面が少なくありません。標準化されたプラットフォームを軸にした連携は、業界を問わず参考になりそうです。
現時点では基本合意書の締結にとどまっており、具体的な要件定義や搭載仕様の詳細はこれからの協議次第です。年1回以上の定期的な共同ミッションという目標が示されている点は、単発の実証で終わらせず、継続的な事業として、育てていく意志の表れではないでしょうか。今後は、要件定義や技術検証がどこまで具体化するかが、商業宇宙サービスの展開を見極める注目点となります。
References
- ^ PR TIMES. 「ElevationSpace、ルクセンブルクSpace Cargo Unlimitedと軌道上実証・実験に関する基本合意書を締結」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000074085.html, (参照 26-07-12).
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