株式会社光響は、QST(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)や兵庫県立大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)、東京科学大学およびNTT株式会社による共同研究の成果が発表されたことを明らかにしました。
光響フェムト秒レーザー研究機が貢献する光駆動型磁気メモリ技術
近年、AIやデータセンターの急速な普及に伴い、情報処理システムの消費電力増加が大きな課題となっています。電子スピンを利用した磁気メモリ技術の研究開発は、その解決策の一つとして進められてきました。
光駆動型磁気メモリは、レーザー光によって磁気情報を書き換える新しい情報記録技術です。電流による書き込みに伴う発熱や消費電力の課題を低減できる可能性があり、AIサーバーやデータセンターなどで求められる高効率な情報処理基盤として注目されています。
従来の電流駆動型メモリと比較して、高速動作と低消費電力化が期待される次世代情報記録技術という位置づけです。
全光型スイッチングの実証と光響製研究機の役割
今回の研究では、CoFeB(コバルト・鉄・ホウ素合金)をベースとした人工フェリ磁性体構造に対し、超短パルスレーザーを照射することによって、外部磁場を用いることなく磁化反転を実現しました。さらに、NanoTerasuの放射光を利用した元素選択的な磁気解析により、磁化反転メカニズムの詳細な解明も進められました。
磁化反転を誘起するための超短パルス光源として、株式会社光響が開発した「高強度電磁場発生用フェムト秒レーザー研究機」が活用されています。本研究機を用いた超短パルスレーザー照射により、CoFeB系人工フェリ磁性体における全光型スイッチングの評価が行われ、今回の研究成果に貢献しました。
高強度電磁場発生用フェムト秒レーザー研究機の主な仕様
株式会社光響の「高強度電磁場発生用フェムト秒レーザー研究機」は、超高速光学現象やスピンダイナミクス研究に対応した光源システムです。主な仕様は以下の通りです。
- レーザー波長:1035 nm
- パルス幅:300 fs未満
- 発生パルスエネルギー:10 μJ以上
- 高強度電磁場発生レンズ:倍率×20、N.A.0.4
- 高強度電磁場観察センサー:CMOSカメラ
高開口数(N.A.0.4)の対物レンズを用いた集光光学系とCMOSカメラによる観測系を備えており、高強度電磁場を利用した先端研究用途に活用されています。
株式会社光響は、スピントロニクス研究や量子材料研究など幅広い分野を対象に、フェムト秒レーザーをはじめとする超短パルスレーザーシステムの提案・導入支援を手がける企業です。外部磁場を使わずにレーザー光だけで磁化反転を制御できるという今回の実証は、情報処理の根本的な仕組みを変える可能性を示しました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | 株式会社光響 |
| 製品名 | 高強度電磁場発生用フェムト秒レーザー研究機 |
| レーザー波長 | 1035 nm |
| パルス幅 | 300 fs未満 |
| パルスエネルギー | 10 μJ以上 |
| 集光レンズ | 倍率×20、N.A.0.4 |
| 観測系 | CMOSカメラ |
| フェムト秒レーザーの活用分野 | スピントロニクス研究・量子材料研究・超高速分光計測・半導体評価・精密微細加工 |
| 共同研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)・兵庫県立大学・高輝度光科学研究センター(JASRI)・東京科学大学・NTT株式会社 |
trends編集部の一言
外部磁場を不要とし、レーザー光のみで磁化反転を制御できるという実証は、省電力型情報処理の研究において注目に値する成果です。業界全体としては、AIインフラの電力消費が社会課題として顕在化する中、省電力メモリ技術の研究加速は自然な流れと言えるでしょう。マーケティング業界の文脈に置き換えると、クラウドやAIツールの利用拡大に伴うインフラコストへの意識は高まっており、データセンターの省電力化が進むことでAIサービスの利用コスト構造が中長期的に変化する可能性は、業界横断で注目されているテーマです。
References
- ^ PR TIMES. 「AI・データセンターの省電力化に期待、QSTらが光駆動型磁気メモリ実現に向けた新技術を実証 | 株式会社光響のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000294.000049537.html, (参照 26-07-10).
