Workato株式会社は、2026年6月11日、株式会社メルカリのWorkato活用事例を公式ウェブサイトに公開しました。
メルカリのWorkato導入前に存在した3つの構造的な問題
メルカリグループは、フリマアプリ「メルカリ」をはじめ、フィンテック領域のメルペイ・メルコインや米国事業など複数のカンパニーを擁し、従業員数は2,000人を超える大規模な組織です。急速な事業拡大に伴い、3つの構造的な問題が同時に深刻化していました。
主な課題は以下の3点です。
- バックオフィス業務でのスプレッドシートを使った手作業による非効率さ
- 社内アナウンス業務の非効率さ
- 複数の自動化ツールの乱立によるガバナンスとセキュリティ確保の困難化
「個々の業務課題を解決しようとするほど、全体のガバナンスが崩れていく」——この矛盾を解消する基盤として、メルカリグループはWorkatoを全社統合基盤に採用しました。「ガバナンスを保ちながら現場が自律的に使い続けられるか」を最重要基準とした選定です。現在は、200以上のレシピが稼働し、7万件以上のタスクが自動実行される規模へと成長しています。
WorkatoによるSlackスマートアナウンスの工数削減効果
財務領域では、NetSuiteで生成した全銀フォーマットファイルをインターネットバンキングシステムへアップロードする作業の自動化により、年間80人日の工数削減を実現しました。
Workbot for Slackを基盤に独自構築した「Slackスマートアナウンス」は、社内アナウンスの配信やリマインド、回答管理を自動化するツールです。導入後は、未回答者への自動リマインドを「何時に送るか」まで設定できるようになりました。
担当者がスプレッドシートで集計し手動でDMを送るという作業も不要になっています。2,000人規模の人事評価アナウンスでは年間約250人日もの工数が費やされていたところ、半分以下への圧縮に成功しました。
株式会社メルカリ Digital Center of Excellence、および株式会社メルコイン Corporate ITの田中 翼氏は、次のように述べています。「Slackスマートアナウンスができたことによって、幅広く誰もが使える工数削減ツールを提供できたことは大きな一歩でした。これにより、リマインドや管理の手間が無限にかかっていたのを削減することができるようになりました。」
WorkatoによるAgentic AI活用とMCPゲートウェイ構想
メルカリグループはさらに、Workato Genie(ガードレールの範囲内でLLMが自律的に判断・実行するAIエージェント)を導入しました。担当者がSlack上で「この部署の回答率は何%?」と問いかけるだけで、AIが既存DBを参照して即時回答する仕組みを構築し、開発者側の工数削減にも貢献しています。
今後は、WorkatoをMCPゲートウェイとして活用し、「ガバナンスを守りながら全社員がAIを安全に使える環境」の実現を目指す構想も進んでいます。株式会社メルカリ Digital Center of Excellenceの大野 智之氏は、「Workatoは単なる自動化ツールではなく、私たちがAI-Nativeな組織になっていくための基盤です。ガバナンスを守りながら現場がAIを安全に使える環境を作ること——それが私たちIT部門の役割であり、Workatoはその実現を支える中核です」と述べました。
あわせて、Workatoは日本語サイトにてAgentic AI活用事例の積極的な公開を開始しました。今後は事例コンテンツの刷新・拡充を進めるとともに、HTML・PDF両形式での提供やYouTube動画の順次公開も予定しています。
WorkatoによるメルカリのWorkato活用事例の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | Workato株式会社(Workato Inc.) |
| 本社所在地 | 米国カリフォルニア州パロアルト |
| 日本法人所在地 | 東京都千代田区 |
| 代表取締役社長 | アラン テン(Allan Teng) |
| プラットフォーム種別 | エージェンティック・オーケストレーション・プラットフォーム(Agentic AI) |
| 事例対象企業 | 株式会社メルカリ |
| 従業員規模 | 2,000人超 |
| 稼働レシピ数 | 200以上 |
| 自動実行タスク数 | 7万件以上 |
| 財務領域工数削減 | 年間80人日 |
| アナウンス業務工数削減 | 年間約250人日を半分以下に圧縮 |
| グローバル導入実績 | 12,000社以上 |
trends編集部の一言
年間約250人日という工数が半分以下に圧縮された点は、規模感として強く印象に残ります。業界全体としては、「現場が自律的に使い続けられる自動化基盤」の整備が、DX推進の核心として注目されてきました。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、複数ツールの乱立によってガバナンスが崩れるという構造的課題は業界横断で語られてきたテーマです。「個別課題の解決が全体の崩壊を招く」矛盾を統合基盤で解消するアプローチは、業界全体の自動化戦略に実務的な示唆を持つ動きと言えるでしょう。
「個別課題を解決するほど全体が崩れる」という矛盾をどう解消するかは、IT部門だけではなく現場責任者にとっても切実なテーマです。MCPゲートウェイを通じた全社AIガバナンス基盤の構想は、業界全体としても全社AIガバナンス基盤の構築に向けた動きがさらに加速する傾向を示す取り組みとして注目されます。
References
- ^ PR TIMES. 「メルカリ、WorkatoのAgentic AI基盤で年間250人日を半減――全社AIガバナンス基盤の構築へ | Workato株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000090265.html, (参照 26-06-13).
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