Broadcom Inc.は2026年5月5日(米国時間)、VMware Cloud Foundation(VCF)9.1を発表しました。
VCF 9.1が本番AI基盤として選ばれる背景
Broadcom Inc.のレポート「Private Cloud Outlook 2026」のプレビュー版によると、調査対象企業の56%が、プライベートクラウド上で本番環境の推論処理を実行中、または計画しています。一方、本番環境での推論処理におけるパブリッククラウドの利用率は41%にとどまり、前年比で15ポイント減少しました。
コスト面では、ITリーダーの62%が生成AIのインフラコストに対して「非常に」または「極めて」強い懸念を抱いていると回答しています。また、36%がAI導入に伴い、データ保護やプライバシー、セキュリティ統制・リスク管理における新たな対応が必要になっていると報告しています。VCF 9.1は、コスト効率とセキュリティを両立するプラットフォームとして発表されました。
VCF 9.1のAIインフラ効率化機能
VCF 9.1は、既存インフラ上でAI・非AIワークロードの密度を最大化しながら、運用の複雑化を抑制します。インテリジェントなリソース管理と自動運用の組み合わせにより、高額なインフラ拡張を回避しながら本番環境のAIデプロイを実現しました。主なコスト削減効果は以下の通りです。
- サーバーコストを最大40%削減(インテリジェントなメモリ階層化)
- ストレージのTCO(総所有コスト)を最大39%低減(高度な圧縮・重複排除機能)
- Kubernetes運用コストを最大46%削減(大規模AIワークロード向け)
- クラスタのアップグレードを4倍高速化
- フリートの容量を2倍に拡大
管理対象ホスト数は5,000台まで倍増し、分散環境やエアギャップ環境(ネットワーク分離環境)でのクラスタ運用を自動化します。手動でのパッチ適用の手間を排除しつつ、AIインフラの迅速な拡張をサポートする設計です。
オープンなエコシステム統合として、AMDとNVIDIAのマルチアクセラレータGPU、主要なAMDおよびIntel CPUプラットフォームへの対応に加え、Arista Universal Cloud NetworkとのEVPNおよびVXLAN相互運用を実現します。Enhanced DirectPath I/OによるNVIDIA ConnectX-7 NICとNVIDIA BlueField-3のサポートにより、マルチホスト環境での高速なAIモデルの学習とデータ転送も可能です。
VCF 9.1が実現するKubernetesとゼロトラストによるセキュアな本番AI環境
VCF 9.1はKubernetesのスケールと運用効率を大幅に向上させました。クラスタ規模を2.6倍に拡大し、デプロイを70%高速化、アップグレード期間を75%短縮しました。シームレスなスケーリングにより、本番環境のAIサービスにおけるダウンタイムゼロを実現します。
セキュリティ面では、ゼロトラストアーキテクチャをインフラレイヤーに統合し、ハイパーバイザーからアプリにわたってAIワークロードや独自モデル・学習データを保護します。分散型IDS/IPSによる保護機能をKubernetes上のAIワークロードに初めて拡張し、分散型推論向けに9Tbpsの脅威検知パフォーマンスを実現しました。プライベートクラウドおよびインターネットアプリにおけるアプリ識別能力は5倍に向上しました。
ダウンタイムゼロのライブパッチ適用では、ユースケースの最大80%でホスト退避やメンテナンスウィンドウなしにパッチを適用できます。新たにサポートされるCrowdStrike Falcon® Endpoint Securityを含む統合検証ツールにより、AIモデルや学習データの保護を支援し、国外へのデータ移転防止やリカバリ時の帯域幅コスト回避に対応しています。
業界全体のインフラ選択が転換点を迎えていることは、こうした数値からも明らかです。
VMware Cloud Foundation(VCF)9.1概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発元 | Broadcom Inc. |
| 製品名 | VMware Cloud Foundation(VCF)9.1 |
| 発表日 | 2026年5月5日(米国時間) |
| カテゴリ | インフラ・プラットフォーム(Private AI対応) |
| 主な対応GPU/CPU | AMD、Intel、NVIDIA |
| ネットワーク対応 | Arista Universal Cloud Network(EVPN・VXLAN) |
| セキュリティ | ゼロトラストアーキテクチャ、CrowdStrike Falcon® Endpoint Security連携 |
| 本社所在地 | カリフォルニア州パロアルト |
| 詳細情報 | www.broadcom.com |
trends編集部の一言
プライベートクラウド上で本番AIを運用している企業が56%に達し、パブリッククラウドの利用率が前年比15ポイント減少したという数字は、業界全体のインフラ選択が明確な転換点を迎えていることを示す指標です。マーケティング業界の文脈に置き換えると、生成AIツールの組織展開においてコストとガバナンスの両立は業界横断で語られてきた課題であり、ITリーダーの62%がAIインフラコストに強い懸念を抱くという調査結果はその傾向を裏付けるものと言えます。
「ハードウェアを自由に選べるままコストを抑える」という設計思想は、特定ベンダーへの依存を避ける方向性への関心が高まるインフラ市場のトレンドに合致するアプローチです。AI推論とエージェント型ワークフローを単一プラットフォーム上で統合運用できる仕組みは、複数ツール管理の複雑化という業界共通の課題に対する一つの解として、業界全体の動向としても注目が集まりそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「Broadcom、本番環境でのAI活用に向けたセキュアでコスト効率に優れたインフラを実現するVMware Cloud Foundation 9.1を発表 | ヴイエムウェア株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000216.000014392.html, (参照 26-05-23).
