Sansan株式会社は、文書特化型AIモデル「Cello(チェロ)」を自社プロダクトへ実装したことを発表しました。
国家プロジェクトGENIACで生まれた文書特化型AIモデル「Cello」の仕組み
「Cello」はSansan株式会社がこれまで独自開発してきたマルチモーダル生成AI「Viola(ヴィオラ)」をさらに進化させた拡張モデルです。「Viola」は文書画像に対して質問応答形式を用いることで、必要な項目を直接テキストとして抽出できる技術として開発されてきました。「Cello」では、抽出したテキスト情報に加え、その情報が文書上のどこに位置するかを示す「位置情報」を同時に出力する機能が新たに備わっています。
この「位置情報」の付与により、AIが回答の根拠となるテキスト領域を特定しながら処理を行える仕組みです。生成AIの課題とされるハルシネーションを検知・排除する仕組みを構築できるため、同社のデータ化ルールとの整合性を高く保ち、極めて精度の高いデータ化が可能になります。また「Cello」は、これまで複数に分かれていた「文字のデータ化」と「項目の特定・意味の理解」の工程を統合的に処理します。データ化パイプライン全体の処理速度が向上し、より迅速なデータ提供が可能になります。
Sansanが考える一次情報構造化とAI活用の競争優位性
生成AIの活用が一般化する中、誰もがアクセスできる公開情報のみに頼るアプローチでは、競争優位性を生み出すことが困難になっています。企業独自の事実に基づく「一次情報」をAIに読み込ませ活用することこそが、競争優位性の源泉です。一方でビジネスにおけるAIの性能は、データの品質に大きく依存します。
AIは入力された情報をそのまま判断の基準とするため、ノイズの多い非構造化データは、ハルシネーションの要因となります。推測を排除し、AIが正確に処理できる構造化されたデータを用意することが不可欠でした。Sansan株式会社はこれまで、機械学習を用いたAI技術・厳格なデータ化ルール・人による品質保証を掛け合わせた独自のデータ化体制を確立してきました。今回実装した「Cello」は、長年培ってきたこのデータ化オペレーションを次なるステージへと進化させるものと位置づけられています。
Sansan株式会社・Cello概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | Sansan株式会社 |
| 所在地 | 〒150-6228 東京都渋谷区桜丘町1-1 渋谷サクラステージ 28F |
| 設立 | 2007年6月11日 |
| 資本金 | 73億50百万円(2026年2月28日時点) |
| モデル名 | Cello(チェロ) |
| カテゴリ | 文書特化型AIモデル |
| 開発プロジェクト | GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)第3期 |
| 主管機関 | 経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 |
| 実装済みサービス | Contract One・Bill One |
| 今後の実装予定 | ビジネスデータベース「Sansan」をはじめとする他プロダクト |
| 会社URL | https://jp.corp-sansan.com/ |
trends編集部の一言
国家プロジェクト「GENIAC」の第3期で開発されたモデルが実際のプロダクトへ実装された点は、研究段階の技術が商用フローに直結した事例として注目に値する動きです。マーケティング業界などにおいても、生成AIを業務フローに組み込もうとする際、データの品質が担保されていないとAIの出力も信頼しにくいという課題がしばしば指摘されており、業界全体としてデータ品質の確保が生成AI活用の前提条件として議論されてきました。「一次情報の構造化」を起点とするSansan株式会社のアプローチは、この課題への一つの回答として位置づけられます。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、顧客データや商談ログといった「社内一次情報」を高精度で構造化できるかどうかが、AIを競争優位に結びつけられるかの分岐点になりそうです。業界全体としても、ハルシネーション対策を実装レベルで組み込む動きは強まっており、位置情報を活用して根拠領域を特定しながら処理を行う設計は、実運用における信頼性確保の観点から業界横断で注目される取り組みと言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「Sansan、国家プロジェクト「GENIAC」で開発したAIモデル「Cello」をプロダクト実装 | Sansan株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000832.000049627.html, (参照 26-05-20).
※上記コンテンツの内容やソースコードはAIで確認・デバッグしておりますが、間違いやエラー、脆弱性などがある場合は、コメントよりご報告いただけますと幸いです。
ITやプログラミングに関するコラム
PythonをWebで実行する方法
共通テスト「情報Ⅰ」2年目で変わる、日本の教育と学び方
gitでブランチ(branch)を切り替える方法
git cloneでブランチを指定する方法
64GBのメモリが必要な人・不要な人の特徴
PCを再起動するコマンド一覧
CapsLock以外で大文字になる原因【Windows編】
パソコンで大文字になるのを解除する方法
面白いAIの活用事例を業界別に紹介
Gitでcommit(コミット)を取り消す方法
ITやプログラミングに関するニュース
awooが富澤商店のEC事例を公開、AIハッシュタグで回遊率3.9倍・CVR5.5倍を実現
NTTがLLM「tsuzumi 2」をアップデート、図表入り日本語ビジネス文書の理解力を強化
TOKIUMがボルテックスにAIヘルプデスク導入、300以上の規程を一元管理
株式会社Elithが法人向けAI教育プログラムを体系化、対象別7講座を展開
鴻池運輸がAI基盤「Glean」を導入、700名超のAI人材育成へ
フィシルコム、AIコードエディタ「Cursor」を全社導入し開発速度と品質の均一化を推進
アトム法律グループが「Claude利用促進手当」を導入、最大25,000円補助で職種横断のAI活用を後押し
雲孫が税務特化AI「Zeims(ゼイムス)」の無料トライアルを開始
アジラが行動認識AIで介護施設の居室内見守り実証実験を開始、転倒早期発見と職員負担軽減を両立
株式会社コミクスが新入社員・異動者向け生成AI研修プランを開始、職種別設計と月2回の実務伴走で現場定着を支援
