アドバンテック株式会社は、NVIDIA® Jetson Thor 上でOpenClaw、NVIDIA Nemotron 、NVIDIA OpenShellをNVIDIA NemoClawとして統合したエッジAIプラットフォームを発表しました。
エージェント型AIへの移行とフィジカルAI
推論にとどまらず自律的にタスクを計画・実行するエージェント型AIシステムへの需要が高まっています。実運用の現場で機能するフィジカルAIは、モデルベースの開発から実際の産業環境での稼働へと移行を迫られています。
データから傾向を学ぶ従来のAIとは異なり、フィジカルAIは実運用の現場での機能が求められます。NVIDIA Nemotron 3とOpenClawを統合することによって、AIをモデルベースの開発から実運用の現場で機能するフィジカルAIへとつなげています。
エッジAIプラットフォームの製品展開
対象はMIC‑743、MIC‑742、MIC‑741のエッジAIプラットフォームと、MIB‑741、MIB‑742のAI推論ボードです。NVIDIA® Jetson T4000 およびJetson T5000 モジュールに完全対応しており、Jetson T5000シリーズはすでに量産段階にあります。
NVIDIA® Jetson Thor 上でOpenClaw、Nemotron、そしてNVIDIA OpenShellをNVIDIA NemoClawとして統合することによって、エージェント型AIは単なるモデル実行にとどまらず、実運用を見据えたエッジ自律システムとして機能します。認可された環境下では、標準作業手順(SOP)や保守履歴、スペアパーツの在庫情報などを自動的に参照し、生産工程の最適化を支援します。
この構成において担う役割は次の3点です。
- Nemotron 3 Nano:ローカル推論を担当
- OpenClaw:エージェントのワークフロー制御を担当
- NemoClaw:セキュリティ・プライバシー・ポリシー管理を担当
以上の3要素が組み合わさることで、NVIDIA Jetson Thorを基盤とした完全なエッジ向けエージェント型AIスタックが構築されます。部品在庫の不足検知を起点とした発注対応や生産計画の調整、関連エンジニアへの作業指示生成までを一連の流れとして自動化できます。
アドバンテック株式会社の概要と展開体制
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | アドバンテック株式会社(Advantech Co., Ltd、研華股份有限公司) |
| 設立(台湾) | 1983年 |
| 日本法人設立 | 1997年 |
| 製品ラインナップ | 3,000を超えるIoT機器(2024年現在) |
| 拠点 | 世界26か国95都市 |
| 産業用PC世界シェア | 42.5%(出典:OMDIA、2023年版) |
| 主な連携 | 2018年よりオムロン直方株式会社と資本業務提携 |
| AI演算性能 | 最大2,070 FP4 TFLOPS(MIC‑743/742/741)、最大1,200 FP4 TFLOPS(開発用ボード) |
trends編集部の一言
「モデルを実行するだけのAI」から「タスクを計画・実行するエージェント型AI」へという移行は、製造現場のオペレーションに関わる人間の役割を根本から問い直す変化です。自分自身も社内向けの業務フロー整理やドキュメント作成でAIを活用する中で、「指示に対して回答を返す」段階と「次のアクションを自律的に組み立てる」段階の差が実務効率に直結することを感じており、エッジ環境でエージェント型AIが稼働する構成には製造DXの観点から大きな意味があると捉えています。
40年以上にわたって産業向けに高品質・高性能のパソコンを開発してきたアドバンテック株式会社が、NVIDIAとの協業でエージェント型AIをスマート製造や自動検査に展開しようとしている点は、製造DXやIoTプラットフォームの活用を検討する担当者にとって参考になりそうです。Jetson T4000シリーズは2026年4月下旬より段階的に生産開始が予定されています。
References
- ^ PR TIMES. 「アドバンテック、NVIDIA® Jetson Thor™ 搭載「MIC‑AIシリーズ」を発表 | アドバンテック株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000202.000073476.html, (参照 26-05-15).
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