株式会社日立システムズは、総合経費管理システム「Traveler'sWAN(トラベラーズワン)」においてAIによる旅費精算支援機能のβ版を2026年10月に提供開始すると発表しました。
Traveler'sWANのAI機能と公共団体向け機能強化の詳細
AI機能は「申請・精算支援エージェント」と「レビュー支援エージェント」の2つの機能で構成されています。申請・精算支援エージェントでは、利用者が自然言語で入力した内容やアップロードした領収書などの情報をもとに、AIが旅費・経費精算に必要な情報を自動的に整理し、伝票作成を支援する仕組みです。
たとえば「本社から電車でA社に向かい打ち合わせを実施、帰りはタクシーで帰社」といった入力に対し、AIが交通経路や必要項目の提案を行います。領収書情報をもとに、タクシー利用理由を備考欄へ補完するなど、伝票作成に必要な情報の入力を支援します。
「Traveler'sWAN」に不慣れな利用者でも、スムーズな入力が可能です。
レビュー支援エージェントは、申請の不備や不自然な点をAIが検知します。主なチェック対象は以下の通りです。
- 重複申請の可能性の検知
- 最短・最安ルートから逸脱した経路入力の検出
- 規定外申請時に記載される理由の妥当性の確認
AIが検知したこれらの不自然な点を利用者に適切に通知することによって、審査業務の負荷軽減と不備・不正の早期発見を実現します。ガバナンス強化およびコンプライアンス向上への貢献が期待されています。
なお、Traveler'sWAN最新版はモダナイズアーキテクチャを採用し、「Microsoft Azure」上でサービスを提供する形です。生成AI機能については、日本マイクロソフト株式会社の協力のもと、「Microsoft Foundry Agent Service」による高性能エージェントの開発を推進しています。
Traveler'sWANの公共団体向け機能強化と採用実績
公共団体向けには、公共団体特有の精算業務に対応するため、「委員旅費機能」「委員謝金機能」「自動車経路検索連携機能」などの機能を強化しました。委員旅費機能は、外部委員に対する旅費支払いに対応し、旅費規程に基づいた交通費の計算および宿泊費の上限チェックなどを実施する機能です。
委員謝金機能は、外部講師・委員に対する謝金支払いに対応し、依頼内容(講演、原稿執筆など)に応じた規定の単価に基づき支給額を確定して精算を行います。自動車経路検索連携機能は、地図検索による自動車経路および距離計算に対応する機能です。
公共団体向け機能を実装した最新製品は、「愛媛県次期旅費システム構築業務委託」や「静岡県旅費計算システム再構築業務」において旅費システム製品として採用されました。
日本マイクロソフト株式会社業務執行役員パートナー事業本部エンタープライズパートナー統括本部長岡 寛美氏は、今回の機能強化について次のようにコメントしています。「本発表におけるAIを活用した旅費精算支援機能や公共団体向け機能の強化は、行政および企業における業務効率化とガバナンス向上の両立に寄与するものと大いに期待しています。特に、自然言語入力による精算支援や不正検知の高度化などは、現場のユーザー体験を大きく変革する取り組みであり、日本における業務DXの加速に貢献するものと考えます」
Traveler'sWANの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社日立システムズ |
| サービス名 | Traveler'sWAN(トラベラーズワン) |
| サービス種別 | 総合経費管理システム |
| 導入実績 | 約900社・125万人(ファミリー製品を含む) |
| 提供形態 | SaaS版・プライベートクラウド版・オンプレミス版 |
| AI機能β版提供開始 | 2026年10月 |
| AI機能正式版提供予定 | 2027年3月 |
| クラウド基盤 | Microsoft Azure |
| 生成AI機能の開発協力 | 日本マイクロソフト株式会社の協力を得て、Microsoft Foundry Agent Serviceによる高性能エージェントの開発を推進 |
| 事業規模目標 | 2030年までに20億円規模 |
| 実績年数 | 25年以上 |
trends編集部の一言
25年以上・900社以上への導入実績を持つシステムにAI機能が加わる点は、規模感として注目に値します。マーケティング業界の文脈に置き換えると、出張後の経費申請や承認作業といった定型業務の処理コストは業種横断で語られてきた課題であり、自然言語入力でAIが必要事項を自動整理する設計は、入力フローそのものを再定義する動きです。
レビュー支援エージェントが「重複申請の可能性」や「最短・最安ルートからの逸脱」を自動検知する点も、業界全体の動向として示唆に富んでいます。承認者が個別確認していた一次スクリーニング工程をAIが担う設計は、管理部門の構造的な工数削減につながる考え方として、同種サービスの開発方針とも共鳴する構図です。
公共団体向けに、「愛媛県次期旅費システム構築業務委託」や「静岡県旅費計算システム再構築業務」での採用実績が生まれた点も見逃せません。「国家公務員旅費法」改正を契機に自治体DX需要が高まる中、民間と公共の双方に横断展開するプラットフォームとして今後の機能拡張が業界動向の一つとして注目されます。
References
- ^ PR TIMES. 「日立システムズが総合経費管理システム「Traveler’sWAN」にAI機能および公共団体向け機能を追加。複数自治体で採用が決定。 | 株式会社日立システムズのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000181.000042324.html, (参照 26-07-07).
ITやプログラミングに関するコラム
【CSS】notで複数の件を除外する方法
【Git】remote設定を変更する方法
【VBA】コメントアウトを設定する方法
x86とx64の違いを分かりやすく解説
マークダウンで改行する方法
CapsLockキーを解除する方法
GitLabとGitHubの違いを解説
Linuxで環境変数を確認する方法
UbuntuのIPアドレスを確認する方法
パソコンのメモリの目安を用途別に選ぶ方法
ITやプログラミングに関するニュース
VercelがAI GatewayにSeedream 5.0 Proを追加、AI SDKのモデル指定で画像生成と編集が可能に
AWSがAmazon LocationのPlaces APIを強化、住所表記の指定と移動手段別の検索が可能に
VercelがトレースにTree・Waterfallビューを追加、ログ画面で処理の階層と所要時間を確認可能に
Googleがエージェント評価の再考を提唱、難易度を情報量で測るDiscovery Benchを解説
Google CloudがCloud Runサンドボックスを公開プレビューで提供、サービスヘルスは一般提供に
Google Cloud EMEAが英国金融の重要第三者に指定、イングランド銀行・PRA・FCAの直接監督下に
AWS DMS Schema ConversionがSQL Serverのオフライン変換に対応、ソースDBへ接続せずスキーマを変換可能に
EC2 G7インスタンスが米国東部(バージニア北部)で利用可能に、G6比でAI推論性能が最大4.6倍
SageMaker HyperPodが継続プロビジョニングでのAMIベース構成に対応、S3のスクリプト管理なしでSlurmクラスターを作成可能に
AWSがEMR on EKSでSparkトラブルシューティングエージェントに対応、失敗ジョブの原因分析を自然言語で依頼可能に
