米 PTCは2026年6月10日、コンピュータ支援設計(CAD)ソリューションの最新バージョン「Creo 13」および「Creo+ 13.3」の提供開始を発表しました。
Creo AI Assistantがエンジニアリング現場の知識活用を変える
「Creo AI Assistant」は、Creoのチャットインターフェースを通じて、エンジニアがドキュメントを検索したり同僚の回答を待ったりすることなく、ベストプラクティスに基づいたガイダンスをその場で得られる仕組みです。初めてCreoを使うユーザーから熟練ユーザーまで、慣れないワークフローに取り組む際に活用することによって、作業を迅速に進め、より適切な判断を下せます。
PTC Creoゼネラルマネージャーのブライアン・トンプソン氏は、「設計環境におけるAIは、エンジニアリングチームの業務のあり方を大きく変えつつある」と述べました。「Creo AI Assistantにより、お客様は特定の個人に蓄積された知見の量に制約されることがなくなった。これにより、事業の拡大や適応、競争のあり方が根本から変化する」と語っています。
今回のバージョンでは、3Dモデルから直接情報を読み取るベータ機能も公開されています。設計上の問題を早期に検出し、コンプライアンス検証を行い、必要な設計データをオンデマンドで取得することが可能です。AIが設計プロセスの一環として、積極的に組み込まれる初期の取り組みとして位置づけられています。
Creo 13などで実施された設計・製造領域の機能強化
「Creo 13」および「Creo+ 13.3」では、AIアシスタント機能に加え、製品設計ワークフロー全体において、幅広い機能強化が実施されました。主な強化点は、以下の通りです。
- アセンブリ読み込みが最大70%高速化(WAN環境下でのWindchill連携)
- 遷移計算が最大60倍高速化(複合材設計・製造ツール)
- 3D PDF出力機能の拡張とアノテーションツールの改善
- シミュレーション範囲の拡大による早期問題検出の強化
- 5軸加工のツールパス機能拡張と金型設計オプションの強化
ユーザーの生産性向上では、フィーチャープリセットの拡張やサーフェシングやスケッチャー、板金・溶接・マルチボディ設計機能の改善により、エンジニアが設計そのものに集中できる環境が整備されています。電動化設計の分野では、ハーネスアセンブリ設計と初期段階のケーブルルーティングに関するワークフローが強化され、電気設計と機械設計の連携が一層促進されています。
「Creo 13」「Creo+ 13.3」および「Creo AI Assistant」は、6月9日から10日に米国シカゴで開催された「PTC NEXT Chicago」において紹介されました。「PTC NEXT On-Demand Experience Hub」では、イベントで共有されたコンテンツや追加コンテンツを、参加の有無にかかわらず、すべての顧客およびパートナーが閲覧できます。
Creo 13提供元の米PTCおよびPTCジャパン株式会社の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名(グローバル) | 米 PTC(NASDAQ:PTC) |
| 本社所在地 | 米国マサチューセッツ州 |
| CEO | ニール・バルア |
| 従業員数 | 7,000名以上 |
| 顧客企業数 | 30,000社以上 |
| 日本法人名 | PTCジャパン株式会社 |
| 日本法人社長執行役員 | 神谷 知信 |
| 設立 | 1992年3月 |
| 国内拠点数 | 4事業拠点 |
| 主力製品 | Creo、Onshape、Windchill、Codebeamer、ServiceMax |
| 提供開始 | 2026年6月10日 |
trends編集部の一言
アセンブリ読み込みの最大70%高速化や遷移計算の最大60倍高速化といった数値は、製造業以外の立場から見ても具体的なインパクトがあります。「特定の個人に蓄積された知見の量に制約されることがなくなった」というブライアン・トンプソン氏のコメントは、業界全体としての課題を端的に表しており、マーケティングの現場で言えば、特定の担当者にしか分からないノウハウをいかに組織知に変えるかという問題と本質的に重なりました。
CAD・製造業の領域だけではなく、業界全体として専門ツールへのAI組み込みによる民主化が加速する中、AIアシスタントをチャットインターフェースとして設計ツールに直接統合するアプローチは、マーケティング業界のコンテンツ制作ツールでも近年加速している方向性です。「ツールを使う人が限られる」という状況から「誰でも使いこなせる環境」へという転換が、製造業のCADという専門性の高い領域でも本格化していることは、業界全体の動向として注目に値するのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「PTC、Creo 13で設計環境にAI搭載ガイダンスを提供 | PTCジャパン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000099939.html, (参照 26-06-18).
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