株式会社ARTISTIQUEは、2026年5月20日、建築写真化AIレンダラー「real shot」を正式リリースしました。
real shotが解消する建築業界の3つの課題と詳細
建築業界の提案現場では、施主への視覚的な提案手段として、長年3つの選択肢が存在してきました。しかし、それぞれに大きな制約があり、業務での実用に至っていませんでした。
画像生成AIは手軽さがある一方、プロンプト入力による操作習得が必要なうえ、窓の数が変わる・壁が消えるなど構図が崩れ、設計意図が再現できません。高画質3Dレンダリングソフトは、習得に数百時間を要し、高性能な専用PCが必須です。専門業者へのパース外注は、戸建てで1枚あたり数万円、マンションなどの大型物件では数十万円規模の費用がかかり、納期も数日から数週間を要します。
real shotの主な特徴は次の3点です。
- 習得時間ゼロ・ワンクリック・30秒〜1分で出力完了、専用PCも不要
- CADの構造・窓配置・アングルを忠実に維持した建築写真クオリティの出力
- ケイミュー・ニチハをはじめとする実在建材メーカーの品番単位での指定
実在建材メーカーの製品を品番単位で指定できる機能は、建築パースの分野においてreal shotが初めて実現したものだとしています。対応する元画像は、CADのパース、白黒の立面図、スマートフォンで撮影した外観・室内写真など、幅広い形式に対応しています。
real shotの導入実績と開発者の背景
年間約90棟を手掛ける中堅工務店にて、営業チーム7名が日常の業務で活用中です。導入前は、汎用AIでの変換を試みたものの、「指示が難しく、AI感が残る」「元画像とAIの画像が変わりすぎて提案に使えるものではなかった」という理由から施主への提案には使用していませんでした。real shot導入後は、日常業務の標準ツールとして定着しています。
開発者の井上朝美氏は、住宅業界で20年以上にわたり提案・設計の最前線に立ち続けてきた経験を持ちます。住宅用CGCAD会社にて入社3年目で全社トップセールス、6年目で年間1億円の営業利益を達成しました。ミサワホームの社外プレゼンターとして12年間、住宅展示場および商談現場で施主への提案・クロージングを担当した経歴です。
ユニバーサルホーム創業30周年記念新商品「Novel」の設計デザインおよびコンセプトメイクを担当し、2025年キッズデザイン賞 審査委員長特別賞を受賞しました。2025年大阪・関西万博 バルトパビリオン日本側責任者として、ラトビア人チームと協業しプロデュースを担当し、国際コンペで16社中1位を獲得しています。
2020年には世界各国の建築家・インテリアデザイナーが参加する建築コミュニティ「OWA(One World Architecture)」を設立しました。ヨーロッパやアフリカ、アジア、中近東、インド、北米、南米にネットワークを持ちます。
井上朝美氏自身が設計・デザイン業務を手掛けるなかで、画像生成AIを試行したものの構図が崩れる・プロンプト依存といった課題に直面しました。「自分が作ったデザインを崩さず、そのままクオリティを上げる」という設計者・提案者の現場の実感を起点に、real shotの開発に着手したといいます。
real shotのサービス概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス名 | real shot |
| 提供企業 | 株式会社ARTISTIQUE |
| 提供開始日 | 2026年5月20日 |
| 対応元画像 | CADのパース、白黒の立面図、スマートフォンで撮影した外観・室内写真 |
| 対応建材メーカー | ケイミュー、ニチハなど主要メーカー(継続的に拡充中)。それ以外の建材は手入力で指定可能 |
| 対応解像度 | 1K / 2K / 4K |
| 対応言語 | 日本語、英語 |
| 平均出力時間 | 30秒〜1分程度 |
| 動作環境 | Webブラウザ(専用PC・専用ソフト不要) |
| 無料トライアル | 7日間・カード登録不要・1,000ポイント付与 |
| 料金 | 月額サブスクリプション制(月額¥2480〜 ※年間プラン適用時の月換算価格)。1枚あたり55円〜で利用可能 |
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社ARTISTIQUE |
| 代表取締役 | 井上 朝美 |
| 資本金 | 1千万円 |
| 所在地 | 東京都三鷹市井口4-7-12 |
| 設立 | 2005年2月 |
| 事業内容 | 建築写真化AIレンダラー「real shot」の開発・運営、住宅デザインコンサルティング、モデルハウス商品開発 |
| コーポレートサイト | https://artistique.co.jp |
trends編集部の一言
「数万円〜数十万円規模、納期は数日から数週間」という外注パースのコスト感は、建築業界以外でも思い当たる節がある数字です。マーケティングの現場でも、制作物の外注見積もりが返ってくる際、修正のたびに費用が積み上がる構造に悩む場面は多く、「その場で即座に反映できる」という点には業界を超えたインパクトがあります。
業界全体としては、生成AIの普及によって「ツールを使いこなせる専門職」と「そうでない現場担当者」の間に新たな格差が生まれつつあります。real shotが「プロンプト不要・習得時間ゼロ」を設計思想の中心に置いた点は、その格差を埋めようとするアプローチとして注目されました。実在建材の品番指定まで対応する点は、マーケティング業界の文脈に置き換えると「実際の商品ビジュアルをその場でシミュレーションできるツール」に近く、業界全体の作業プロセス転換を象徴する動きと読み取れるでしょう。
開発者の井上朝美氏が、20年以上の提案・設計経験を持つ業界出身者である点も印象的です。「現場の実感から生まれたツール」という背景は、技術先行で作られたAIプロダクトとは異なる説得力がありました。グローバル展開も進行中とのことで、英語版の先行利用が始まっているという点は、今後の業界動向を測る一例になりそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「【新サービス】習得時間ゼロ・ワンクリック・30秒でCADのパース・立面図を建築写真化するAIレンダラー「real shot」正式リリース | 株式会社アーティスティックのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000181540.html, (参照 26-05-23).
