Claris International Inc.は2026年6月10日、ローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker」の最新バージョン「Claris FileMaker 2026」の提供を開始しました。
Claris FileMaker 2026のデータ保護を強化する2つのアドオン
Claris FileMaker 2026では、Claris FileMaker Server向けに災害復旧と事業継続を実現する2つのアドオンサービスを提供開始しました。ハードウェア障害やランサムウェア攻撃、人為的ミスなど、あらゆる規模の企業が直面するサービス中断リスクへの備えとして設計されています。
1つ目の「FileMaker Server Remote Backup」は、20分ごとの増分バックアップをAppleが管理する安全なクラウドストレージに自動保存し、障害発生後の迅速なデータ復元をサポートします。サードパーティ製ツールは不要で、FileMaker Serverに標準搭載された管理コンソールで設定・管理まで完結する手軽さも備えました。
2つ目の「Standby Server」は、プライマリ(本番)サーバーと常時同期するセカンダリ(予備)サーバーを構築し、障害発生時やメンテナンス時のダウンタイムを最小限に抑える構成です。切り替え作業は数分で完了するため、長時間のサービス中断を防ぎ、迅速な通常業務への復帰が可能です。
FileMaker Server Remote BackupとStandby Serverを組み合わせることで、FileMaker専用に設計されたBCDRアーキテクチャが完成しました。
Claris FileMaker 2026のAI機能拡張とデータプライバシー設計
Claris FileMaker 2026では、AIモデルがデータをより深く理解できる新ツールを追加し、プラットフォームに組み込まれたAI機能を大幅に強化しました。対応AIモデルの拡充として、既存のOpenAI、Anthropic、Cohereに加え、新たにGoogle Geminiが利用可能になっています。組織のポリシーやユースケースに応じた最適なモデル選択が可能です。
ローカルLLMのサポートも強化されました。Claris AI モデルサーバーを介して社内環境でLLMを完全ローカル実行できるようになり、機密性の高いデータを外部に送出することなくAIの活用が可能です。
新たに実装された「アノテーション機能」では、フィールドに詳細な説明(メタデータ)を付与することによって、AIがデータの文脈を正確に把握できます。AIに渡すデータと渡さないデータをフィールド単位で明確に制御できるため、個人情報や機密情報をAIモデルに送信する必要はありません。Claris FileMakerの基本原則として、データは常にユーザーの管理下に置かれます。
Claris FileMaker 2026の開発者生産性向上とサーバー基盤強化
本リリースには、FileMaker開発者コミュニティから直接収集したフィードバックを反映した、数十もの機能強化が含まれます。主なアップデートの例は次の通りです。
- 再設計されたスマートインスペクタ(macOS)
- 開発に集中できるスクリプトワークスペースの改善
- 新しいXMLツールによるバージョン管理やCI/CDの実現
- FileMaker Server スクリプトエンジン(FMSE)の並列実行によるスループット向上
- macOS Tahoe 26およびWindows Server 2025への完全対応、IPv6サポートの強化
Claris FileMaker Data API、OData、Web Publishing Engineが予期せず停止した場合でも、Claris FileMaker Serverが自動的に再起動を試みます。管理者の介入を待たずにサービスの継続性を自律的に維持するため、大規模な運用環境でも安定したパフォーマンスを提供します。
アクセシビリティの面では、Claris FileMaker WebDirectが国際的なアクセシビリティ基準であるWCAG 2.1の準拠に向けて進化しました。スクリーンリーダーとの互換性強化、フォーカス管理の改善、セマンティックHTMLのアップデートが含まれ、既存のレイアウトは再設計不要で今回のアップデートの効果を受けられます。
Claris FileMaker 2026 概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | Claris International Inc. |
| 親会社 | Apple Inc. |
| 本社所在地 | カリフォルニア州 |
| CEO | ライアン マッキャン氏 |
| サービス名 | Claris FileMaker 2026 |
| カテゴリ | ローコード開発プラットフォーム |
| 提供開始日 | 2026年6月10日 |
| 主な新機能 | FileMaker Server Remote Backup(20分ごとの増分バックアップ) Standby Server(常時同期型予備サーバー) Google Gemini対応 Claris AI モデルサーバーによるローカルLLMサポート アノテーション機能 WCAG 2.1準拠に向けたアクセシビリティ強化 |
| 対応OS | macOS Tahoe 26、Windows Server 2025 |
| 世界のユーザー数 | 130万人以上 |
| 対応企業規模 | 中小企業〜Fortune 500企業 |
trends編集部の一言
130万人以上のユーザーが利用し、40年以上の実績を持つプラットフォームが、今回これだけの機能を一度に更新した点は、業界全体としても注目に値するアップデートです。ローコード開発市場では、バージョンアップのたびにデータ移行や再設定のコストが課題として挙げられてきましたが、「既存のレイアウトを再設計せずにアクセシビリティ改善の恩恵を受けられる」という設計思想は、こうした現場コストを意識した対応として業界全体からも評価される観点と言えます。
Google GeminiやAnthropicなど複数のAIモデルに対応しつつ、フィールド単位でAIへのデータ送信を制御できる仕組みは、マーケティング業界の文脈に置き換えても興味深い設計です。顧客データや商談情報を扱う現場では、AIにどこまでデータを渡すかという議論は避けられないテーマであり、こうした「AIに任せる範囲」を明示的に設計するアプローチは、業界全体のデータ活用における重要なベンチマークとして注目されます。
今夏後半に予定されているエージェント型開発機能の開発者プレビューも、ローコード開発の進化という観点から注目しておく価値があると言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「Claris FileMaker 2026、本日提供開始。- 40年の実績を基盤にさらに進化し、AI 拡張、災害復旧と事業継続、開発者生産性を強化- | Claris International Inc.のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000053419.html, (参照 26-06-11).
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