Zscaler, Inc.(NASDAQ: ZS)は2026年6月9日(現地時間)、AIセキュリティイニシアチブ「Project AI-Guardian」の次フェーズを発表しました。
Zscalerが直面するエンタープライズAIのセキュリティ課題
企業が生成AI、エージェント型AIワークフロー、AI対応SaaSの活用を進める中、単一ベンダーだけでAI環境全体を保護することはできません。セキュリティチームは、相互にコンテキストを共有しない個別製品をつなぎ合わせざるを得ず、急速に拡大するAI攻撃対象領域に盲点が生まれています。
組織に求められるのは、新たなサイロではなく、包括的なAIセキュリティフレームワークです。このフレームワークには、既存および先進の技術と相互運用し、シグナルやアイデンティティコンテキスト、ポリシー適用を共有できることが求められます。今回のProject AI-Guardianの拡張は、まさにこの考え方に基づいています。
Project AI-Guardianにおける統合の仕組み
Zero Trust Exchangeを通じて、Technology Alliance PartnersはZscalerの中核AIサービスと直接統合されました。統合の対象は大きく三つです。
まず、アイデンティティやアプリケーション・エージェント、データがAIサービスにどう接続されているかを継続的に可視化するAI Access Graphです。次に、環境全体のAI関連リスクを発見・定量化するAI攻撃対象領域およびリスク・モデリングが挙げられます。さらに、各種ガバナンスおよび保護機能も対象です。
パートナーは、これらのシグナルを強化すると同時に、それに基づいてアクションを実行できます。あるプラットフォームで得たインサイトを、別のプラットフォームでの制御に生かすことが可能です。
あらゆるやり取りはZero Trust Exchangeを介して仲介されるため、ポリシー適用はインラインかつリアルタイムで行われます。アクセスは継続的に検証され、データは移動中に検査され、AI利用にも同様のゼロトラストポリシーが適用される仕組みです。
Project AI-Guardianが対応する主なセキュリティ要件
今回の拡張イニシアチブを通じて、ZscalerとTechnology Alliance PartnersはAIパイプライン全体にわたる高度な統合を提供します。対応する主なセキュリティ要件は以下の通りです。
- AIアプリケーション、開発基盤、ワークフローへのゼロトラスト制御と不正アクセス防止
- プロンプト、モデル学習用入力、自律的なAI同士のやり取りを通じた機密データ漏えい防止
- シャドーAIアプリを含む組織内AI活用の360度可視化
- 検証済みパートナー統合による導入の簡素化と価値実現の迅速化
データ保護は、インラインおよびアウトオブバンドの両方で実現されます。顧客にとっての相互運用性は、分散したツール群を個別に連携させる負荷なく、AI向けの一貫したコントロールプレーンを意味します。パートナーにとっては、自社機能をエンタープライズAI全体へネイティブに拡張できる道筋です。
Project AI-Guardianに新たに参加する11社のパートナー
本プログラムには新たに11社が参加しました。テクノロジー企業としてAWS、CoreWeave、Databricks、Deep Cogito、Equinix、Glean、Google Cloud、OpenAI、Saviyntが加わりました。追加のGSIパートナーとしてCoforgeおよびNTT DATAが参加しています。
創設時からのGSIパートナーは、Cognizant、EY、HCLTech、Infosys、TCS、Wiproの6社です。今回参加したパートナーはこれらの6社とともに、AIを保護する包括的かつエンドツーエンドのフレームワークを構成します。
ゼットスケーラーのEVP - AI Security and Strategic Initiativesであるダワル・シャルマ氏は、次のように述べています。「AIの保護は、エコシステム全体で取り組むべき課題です。Technology Alliance Partnersを通じたProject AI-Guardianの拡張により、ZscalerはエンタープライズAIのやり取り全体にゼロトラストを広げます。お客様が必要な可視性、制御、データ保護を維持しながら、より迅速にAIを導入し、安全にイノベーションを推進できるよう支援します」
参加パートナーからは複数のコメントが寄せられています。CoreWeaveの最高情報セキュリティ責任者ジム・ヒギンズ氏は、「攻撃対象領域はアプリケーション層を超え、インフラ層にまで広がっている」と指摘し、Zscalerとの連携でAIスタックのあらゆる層にゼロトラスト制御を適用できると述べました。OpenAIの戦略案件担当バイスプレジデントスコット・ローズクランズ氏は、AIが「安全で、信頼性が高く、企業のリスク管理の現実に即したシステム」であることの重要性を強調しました。
Project AI-Guardianの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | Zscaler, Inc.(NASDAQ: ZS) |
| 発表日 | 2026年6月9日(現地時間) |
| 発表場所 | Zenith Live(米ロサンゼルス) |
| プラットフォーム | Zscaler Zero Trust Exchange |
| 主要機能 | AI Access Graph、AI攻撃対象領域・リスクモデリング、ガバナンス・保護機能 |
| 新規参加パートナー数 | 11社 |
| 新規テクノロジーパートナー | AWS、CoreWeave、Databricks、Deep Cogito、Equinix、Glean、Google Cloud、OpenAI、Saviynt |
| 新規GSIパートナー | Coforge、NTT DATA |
| 創設時GSIパートナー | Cognizant、EY、HCLTech、Infosys、TCS、Wipro |
| データセンター拠点数 | 世界160以上 |
| 防御実績 | 毎日数十億件のサイバー脅威・ポリシー違反を防御 |
| IR情報 | ir.zscaler.com |
trends編集部の一言
「毎日数十億件のサイバー脅威を防御する」というスケールは、AIセキュリティがもはや特定企業の課題にとどまらず、業界インフラとして機能し始めていることを示しています。AIセキュリティ業界全体としては、単一ベンダーによる防御から複数プレイヤーが共通フレームワークに参加するエコシステム型へと移行する動きが加速しており、今回のProject AI-Guardianの拡張はその流れを体現した事例だと言えるでしょう。
AWS・Google Cloud・OpenAIといった異なるレイヤーのプレイヤーが同一のセキュリティフレームワークに参加した11社という規模は、業界全体としての構造変化を裏付けています。マーケティング業界の文脈に置き換えると、顧客データを扱うツールスタックのガバナンスをどう整備するかという問題と重なる動向です。シグナルとポリシーを統合する共通のコントロールプレーンという発想は、ツール乱立時代の現実的な対応策として業界横断で注目が集まる取り組みと言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「ゼットスケーラー、AI-Guardianを拡張し、テクノロジー大手各社と連携してエンタープライズAIを大規模に保護 | ゼットスケーラー株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000110.000055108.html, (参照 26-06-11).
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