株式会社Bot Expressは、岐阜県美濃加茂市のLINEを活用したスマホ市役所「GovTech Express」にAI機能を導入することを発表しました。
GovTech Expressに導入する3つのAI機能の概要
1つ目は「ごみ機能の多言語対応」です。ごみ収集の前日通知、翌月案内、分別、カレンダーを多言語化し、英語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語、インドネシア語、中国語に対応します。
外国人住民が約1割を占める美濃加茂市において、日常生活に必要な情報を言葉の壁なく届ける取り組みです。令和8年5月21日(木)10時に提供を開始しました。
2つ目は「AI総合案内」です。従来は、リッチメニューからカテゴリを選んで手続きに進む必要がありました。「子どもを預けたい」のように住民が希望や困りごとをそのまま伝えるだけで、AIが状況を把握し、必要な手続きや申請方法を整理して案内します。
提供開始は令和8年10月以降を予定しています。
3つ目は職員向けの「Copilot」機能です。職員が要件を伝えるだけで新しい行政サービスの構築を進められます。システム構築にとどまらず、災害時の報告内容の整理、データ分析、写真・画像の判別など、これまで職員が時間をかけて行っていた業務もAIが支援します。
機能利用開始時期は、2026年4月1日です。
GovTech Express導入の背景と住民・職員に生まれる変化
美濃加茂市では、2016年にLINE公式アカウントを開設し、行政サービスのデジタル化を進めてきました。2023年10月にはGovTech Expressと連携し、一時保育の予約手続きや道路・公園等の不具合通報など、生活に必要な各種手続きをLINE上で行える環境を整備しています。美濃加茂市LINE公式アカウントの友だち数は24,000人に達しており、市民ニーズに合ったサービスが多くの市民に活用される基盤が整いました。
一方、美濃加茂市では2020年から2050年にかけて総人口の減少が予測される中、65歳以上の人口は増加すると見込まれています。産業構造が類似する自治体の中で、人口1万人当たりの一般行政職員数は平均を下回っており、限られた人員での住民サービス維持が課題です。今回、スマホ市役所の基盤にAI機能を組み込むことで、「LINEで手続きができる仕組み」から、AIが住民と職員の双方を支援する行政サービス基盤へと進化します。
住民や外国人住民、職員それぞれに生まれる変化は次の3点です。
- 住民:AI総合案内で必要な手続きに迷わずたどり着ける
- 外国人住民:生活に身近な情報を英語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語、インドネシア語、中国語で受け取れる
- 職員:AIとともに手続きを構築・改善し、住民サービスの質を高められる
行政手続きに必要な「探す」「書く」「問い合わせる」「予約する」「窓口に行く」といった負担を減らし、複雑だった行政サービスをよりわかりやすい体験へ変えていくことを目指しています。
GovTech Expressと美濃加茂市スマホ市役所の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社Bot Express |
| サービス名 | GovTech Express(官公庁専用対話型アプリケーション) |
| 導入自治体 | 2026年4月時点で市区町村、都道府県、省庁など350以上の団体(国税庁、群馬県、北海道士幌町、秋田県湯沢市、山形県庄内町、渋谷区、練馬区、世田谷区、神奈川県座間市、金沢市、富山県魚津市、愛知県豊田市、神戸市、岡山市、広島市、高知市、福岡県古賀市、沖縄県与那原町など) |
| セキュリティ | ISMAPに登録されているSalesforceをプラットフォームとして採用。個人情報・機微情報はSalesforceシステムのみに保存 |
| 美濃加茂市LINE ID | @minokamo_city |
| 設立日 | 2019年02月01日 |
| 資本金 | 1億円 |
| 所在地 | 東京都港区虎ノ門4-1-1 神谷町トラストタワー 23階 |
| 代表者 | 代表取締役 中嶋 一樹氏 |
trends編集部の一言
友だち数24,000人という数字が、この取り組みの利用基盤の広がりを示しています。行政のデジタル化は「システムを入れた」で終わりがちですが、市民がそのチャネルを日常的に使い続けている状態まで育てたことは、業界全体として見ると珍しい成功事例です。マーケティングの現場でも「導入したのに使われない」という状況は頻繁に起きており、同様の課題は多くの企業・組織で共通して見られます。
外国人住民が約1割という地域特性を踏まえた多言語対応を、全国展開するサービスの仕組みとして、実装した点も注目されます。マーケティングの文脈に置き換えると、ターゲットの多様性を「後付けの翻訳」ではなくサービス設計の起点に据えるアプローチは、同種サービスでも見直しが進んでいる設計思想です。「AI総合案内」が令和8年10月以降にどこまで定着するか、業界全体の動向としても引き続き注目される展開と言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「岐阜県美濃加茂市、AI機能を導入しスマホ市役所を拡張 | 株式会社Bot Expressのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000159.000096169.html, (参照 26-06-03).
