株式会社Deskrexは、2026年5月26日(火)、AIリサーチエージェント「Snorbe(スノーブ)」のクローズドアルファ版の一般提供を開始しました。
Snorbe開発の背景にある調査業務の構造的課題
研究開発部門の特許・論文調査、営業企画部門のターゲット顧客探索、新規事業部門の事業アイデア検討には、共通する課題があります。調査対象の文献や情報源が膨大であること、調査者の経験やスキルによって、成果にばらつきが出ること、そして過去の調査資産が属人的に管理され組織として蓄積・活用されにくいことです。
従来のAIリサーチツールの多くは、一回の質問に対して一回の回答を返す「一問一答型」の設計に留まっていました。調査とは本来、一つの発見が次の問いを生み、それがさらに新しい発見につながる反復的なプロセスです。既存のツールではこの「調査の連鎖」を十分に支援できていませんでした。
Snorbeは、調査の結果だけではなく調査のプロセスそのものを構造化し、組織の知的資産として蓄積・活用できる仕組みを目指して開発されました。チャット形式で調査を依頼するだけで、AIエージェントが国内外のウェブやSNS、特許、論文、政府系などの専用DBを横断的に調査します。
Snorbeの主な6つの機能と特徴
Snorbeの主要機能は以下の6点です。
- ナレッジグラフによるホワイトスペース検出
- 対話を重ねるほど育つエージェント記憶
- 業務特化スキルによる再現性の高いアウトプット
- マルチモデル・マルチエージェント・マルチソース対応
- 自動化とワークスペース設計によるチーム共有
- エージェント間連携による外部記憶の提供
ナレッジグラフ機能では、調査結果がグラフに蓄積されるほどまだ調べていない領域が浮かび上がります。特許調査であれば競合が手薄な技術領域を発見し、論文調査であれば先行研究の引用ネットワークから見落としている研究テーマを特定できます。
エージェント記憶は、調査を跨いで文脈を毎日使うたびに記憶・蓄積します。「前回調べたA社の特許ポートフォリオと比較して」といった指示が可能で、調査資産が属人的なメモやファイルではなくAIの記憶として、組織に蓄積されます。
業務特化スキルは「スキル」と呼ばれるMarkdown形式の業務手順書で、Anthropicが提唱したフォーマットに基づきました。特許分析や論文サーベイ、市場調査、競合分析といった業務ごとに、調査の設計から情報収集、分析、レポート出力までの手順が定義済みです。これにより、調査者の経験やスキルに依存しない一定水準以上のアウトプットを実現します。
モデル対応面では、OpenAIやAnthropic、Google、xAIの各社AIモデルに対応し、調査の工程に応じて最適なモデルを自動選択します。計画立案には高精度モデル、キーワード抽出には軽量モデルを使い分けることで、コストと精度のバランスが自動的に最適化されます。
チーム共有機能では、日次や週次、月次での自動調査実行に対応し、調査完了時にはメール通知を送信します。育てた知識や記憶データはチームメンバー間で共有でき、セルフホスト構築にも対応しているため、機密データを社内環境で取り扱うことも可能です。
エージェント間連携では、Claude CodeやCodexといった外部のAIエージェントからSnorbeのリサーチ機能を呼び出せます。自社エージェントに調査や記憶の機能を一から組み込む必要がなく、Snorbeが「エージェントのための外部記憶」として機能します。
Snorbeの想定される主な活用用途
Snorbeが活用されている主な用途は、研究開発や営業企画、新規事業開発の3領域です。研究開発部門では、特許出願動向の分析や論文サーベイにおいて膨大な文献をナレッジグラフに統合し、技術領域ごとの研究動向を可視化します。競合の出願が手薄な技術領域の発見や先行特許のアノテーション分析も可能です。
営業企画部門では、既存顧客と類似した課題を持つ企業の探索や業界セグメントの分析において、社内外の情報を自動収集して関連性を可視化します。類似エンティティの自動発見機能により、既存の顧客基盤から新たなターゲット候補を効率的に特定できました。
新規事業開発部門では、新興企業の定期監視やマッピングにより、競合がまだ参入していない領域や自社技術との組み合わせで新たな価値を生み出せる領域を発見します。
また、クリエイティブ・制作領域ではコピーライターが、クライアント企業の業界動向や競合事例を調査する際の活用事例も生まれています。コンサルティング・戦略立案領域ではコンサルタントが独自の仮説をAIと対話しながら検証を進める用途でも、最短10分・2件の調査で成果が出ています。
Snorbe(スノーブ)の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社Deskrex |
| 代表取締役CEO | 冨田到氏 |
| 本社所在地 | 東京都渋谷区神泉町10番15号 アネックス神泉301 |
| 設立 | 2024年5月28日 |
| サービス名 | Snorbe(スノーブ) |
| カテゴリ | AIリサーチエージェント |
| クローズドアルファ版一般提供開始日 | 2026年5月26日(火) |
| 提供形態 | クローズドアルファ版・無料提供(申し込み制) |
| 主な機能 | ナレッジグラフによるホワイトスペース検出 エージェント記憶の蓄積・活用 業務特化スキルによる再現性の高いアウトプット マルチモデル・マルチエージェント・マルチソース対応 日次・週次・月次の自動調査実行 エージェント間連携による外部記憶の提供 |
| 対応モデル | OpenAI、Anthropic、Google、xAI |
| 事業内容 | 生成AIアプリケーションの提供・開発、生成AIエージェントの受託開発、調査代行やコンサルティングの提供 |
| サービスページ | https://lp.snorbe.deskrex.ai/ja |
| ドキュメント | https://docs.snorbe.deskrex.ai |
trends編集部の一言
「一問一答型」から「調査の連鎖」へという設計思想の転換は、リサーチツール市場において一つの方向性を示すものです。マーケティング業界の文脈に置き換えると、過去の調査資産を文脈ごと引き継ぎながら次の問いへとつなげる仕組みは、情報探索ツールの進化として節目となる設計でした。業界全体としては、調査プロセスそのものを構造化して組織知として蓄積しようとする流れが広がりつつあります。その意味でSnorbeの設計思想は、この動向と方向性を合わせた製品です。
調査が蓄積されるほどホワイトスペースが浮かび上がる設計は、マーケティング業界の文脈に置き換えると、競合が手薄なチャネルや訴求軸の分析にも近い発想です。「調査をするほど次の問いが生まれる」という反復プロセスを構造化しようとした点は、リサーチ業務の本質を捉えた設計でした。
Claude CodeやCodexといった外部エージェントからSnorbeのリサーチ機能を呼び出せる設計は、AIエージェント活用領域の拡張を反映した特徴です。自社でAIエージェントを構築している企業にとって、調査・記憶機能をゼロから開発せず外部サービスとして組み込めるアーキテクチャは、開発コストの観点からも有効な検討材料です。
References
- ^ PR TIMES. 「Deskrex、自己進化型のAIリサーチエージェント「Snorbe」を一般提供開始。研究開発から新規事業まで知識の創発を拡張へ。 | 株式会社Deskrexのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000145960.html, (参照 26-05-27).
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