日本アイ・ビー・エム株式会社がIBV・NRF共同の2026年消費者調査を公開、消費者の約半数が購買行動でAI支援を活用
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日本アイ・ビー・エム株式会社は、IBM Institute for Business Value(IBV)と全米小売業協会(NRF)が共同で実施した2026年消費者調査「エージェント型コマースを自らの競争力に」の日本版を公開しました。
IBM調査が示す購買前の意思決定を変えるAIの影響
生成AIは、「購入」ボタンをクリックする前の購買体験の初期段階を大きく変えつつあります。約4割(世界41%、日本21%)がAIを使って商品を調べ、3割強(世界33%、日本16%)がレビューを確認しました。約3割(世界31%、日本10%)がお得な情報を探しており、消費者への影響は、店舗を訪れる前やアプリを開く前から始まっています。
NRFでAIおよびテクノロジー・ポリシーを担当するシニア・ディレクターのキャロライン・レパート(Caroline Reppert)氏は、こうした変化について、次のように述べています。「AIは、消費者の買い物の仕方そのものを変え、購買体験全体のあらゆる側面に影響を及ぼしています。この変化を理解し、適切に対応できる小売業者こそが、信頼や関連性を高め、さらには長期的な顧客ロイヤルティーを獲得する上で優位に立つでしょう」
ALDO GroupのCIOであるマチュー・ウール(Matthieu Houle)氏も、AIが購買体験の質を変えていることを指摘します。「AIによって買い物は、単なる『ネット検索』から信頼できる『対話体験』へと大きく進化しています。消費者にとって、AIアシスタントは今や手放せない存在です。あたかも人のように振る舞い、好みを理解し、中立的で最適な助言を提供してくれます」
IBM調査に見る次世代ショッピング体験の全体像
調査対象の消費者の3分の1以上(世界35%、日本40%)が、引き続き待ち時間のない魅力的な店舗を求めています。一方で、AIを活用したソリューションも同様に重要視されています。3人に1人が、コマースと他のサービスを統合したスーパー・アプリを求めており、約3割がAIパーソナル・ショッパー(世界30%、日本16%)を望んでいます。オンデマンドの自律配送機能(世界30%、日本24%)とつながるスマート・ホームへの需要も高く、約3割(世界29%、日本21%)がソーシャル・プラットフォーム上で手間なく商品を購入できる体験を求めています。
Louis Vuitton Moët Hennessy社(LVMH)のインサイト(AIおよびオムニチャネル)担当責任者であるスタニスラス・ヴィニヨン(Stanislas Vignon)氏は、「AIは魔法の杖ではなく、適切なデータがなければ機能しません。ソリューションをテストしなければ、それが本当に機能するのか、どこに価値をもたらすのかを知ることはできません」と述べています。消費者の期待の高まりは、多くの小売企業の運営モデルが対応できるスピードを上回っており、データ整備の重要性が改めて問われています。
IBM調査が示すブランドと小売業者のアプローチ
AIが消費者の意思決定を変えつつある中、ブランドや小売業者に求められる対応として、調査は以下の5点を挙げています。
- 将来の意思決定の瞬間を起点に購買体験を再構築する
- 購買体験の初期段階の不確実性を低減するためにエージェントを活用する
- データ整備とテストを不可欠な前提条件として位置づける
- 創造性を維持しながらブランドの独自性をさらに強化する
- AI人材の育成と戦略的なパートナーシップへの投資を強化する
経営層の過半数(54%)がチャネルやシステム全体にわたる継続的な課題を挙げ、別の過半数(51%)がAIの専門知識不足を課題として指摘しました。小売業界では、AIの影響を受けた消費者行動を理解できるかどうかが、意思決定を主導するブランドと単に需要に応えるだけのブランドを分ける差別化要因です。
IBM IBV・NRF共同調査の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 調査実施機関 | IBM Institute for Business Value(IBV)および全米小売業協会(NRF)共同 |
| 調査名 | 2026年消費者調査「エージェント型コマースを自らの競争力に」 |
| 調査実施時期 | 2025年第3四半期 |
| 消費者調査対象 | 23カ国・18,000人超 |
| 経営層調査対象 | 小売・消費財・Eコマース分野の200人のシニア・リーダー |
| 発行元 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 |
trends編集部の一言
消費者の約4分の3(世界72%、日本87%)が実店舗での購買を続けながらも、購買前の情報収集にAIを活用している実態は、「デジタルかリアルか」という二項対立がすでに意味を失っていることを示しています。業界全体としては、チャネル戦略よりも「意思決定の瞬間をどこに設計するか」という問いへと競争軸が移りつつある局面です。
マーケティングの現場でも、生成AIが比較や発見、納得の工程を購買前に完結させつつある流れは、コンテンツや広告の役割を根本から問い直す契機になりそうです。経営層の過半数がデータ整備の不足とAI専門知識の欠如を課題に挙げている点は、ツール導入よりも組織の情報基盤の整備が先決であることを示しており、マーケティング業界の文脈においても情報基盤整備の重要性が増していると読み取れます。
References
- ^ PR TIMES. 「IBM–NRF調査:AIが買い物の前段階で消費者の意思決定に影響を与える中、ブランドと小売業者は新たな現実への対応を迫られている | 日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000718.000046783.html, (参照 26-05-26).













