コグニザント株式会社は、グーグルクラウドの「Gemini Enterprise for Customer Experience(CX)」を基盤とする新しいコンタクトセンター・ソリューション「Agentic Retail CX」の提供開始を発表しました。
Agentic Retail CXの導入背景となる小売業の課題
小売業における顧客ニーズは急速に変化しており、企業はあらゆる場面で迅速かつシームレスでパーソナライズされた体験を提供すべきというプレッシャーに直面しています。2024年のForbesの調査によると、消費者の81%がパーソナライズされた体験を提供する企業を好むと回答しました。また、70%が過去のやり取りを通じた自身の履歴を企業が把握していることを重要だと評価しており、小売業においてパーソナライゼーションはすでに基本的な期待事項となっています。
小売業者がこうした期待に応えようとする一方で、オムニチャネルの統合といった構造的な障壁が価値創出を制限し、技術投資が不十分な結果に終わるケースが多いのが実情です。Lucintelの調査によると、コンタクトセンター市場は2025年から2031年にかけて年平均13%以上の成長が見込まれています。
Agentic Retail CXが実現する顧客体験の変革
「Agentic Retail CX」は、独自の「AI Builder」アプローチを採用しています。Agentic Retail CXリリースの背景には、オムニチャネル統合の課題があります。小売業者が自社の導入方法や管理体制に基づき、AI投資から測定可能な成果へと転換できるよう支援する設計です。Google Cloudの「Gemini Enterprise for CX」とコグニザントの小売分野に関する専門知識を組み合わせ、人間主導のワークフローを支援するAI主導の機能を実際の顧客環境に導入します。
本ソリューションが提供する主な価値は以下の通りです。
- 安定したAIセルフサービスの実現
- シームレスなオムニチャネルエンゲージメント
- 高度に最適化されたレコメンデーション
- カート放棄・プロモーション・フィードバック収集への積極的アプローチ
同ソリューションが備える機能を通じて、70~85%の封じ込め率を達成し、大規模な顧客信頼度と効率性の向上を促進します。コグニザント・モーメントのグローバル責任者であるBen Wiener氏は、「コンタクトセンターはブランドにとって『真実の瞬間(Moment of truth)』であり、信頼を獲得するか失うかの分かれ目となる場です」と述べています。
コグニザントとGoogle Cloudの協業と導入実績
本ソリューションは、コグニザントとGoogle Cloudとの深く活発な協業関係に基づいて構築されています。コグニザントはGoogle Cloudパートナープログラムの最高位である「Google Cloud Diamondパートナー」としての地位を確立しており、Google Cloudと共同で設立した「Gemini Enterprise Practice」の発表も行っています。この協業は、2026年のGoogle Cloud Partner of the Yearアワードにおいて「グローバル・データ&アナリティクス」および「サービス&インダストリー・ソリューション:ヘルスケア&ライフサイエンス」の2部門受賞という形で評価されました。
初期の顧客事例として、大手オンライン食料品・配達企業のOcado Retailが「Gemini Enterprise for CX」を活用し、卓越したコンタクトセンター業務を実現しています。Ocado Retail IT責任者のKieren Johnson氏は、「対話型インテリジェンスとリアルタイムのインサイトを業務に取り入れることで、あらゆるタッチポイントにおいて顧客エンゲージメントを向上させることができました」と述べています。さらにコグニザントは、Everest Groupによる「Everest Group Google Cloud Services PEAK Matrix® Assessment 2026」においてリーダーとして認定されました。
Agentic Retail CX概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | コグニザント株式会社 |
| ソリューション名 | Agentic Retail CX |
| カテゴリ | コンタクトセンター・ソリューション |
| 基盤技術 | Gemini Enterprise for Customer Experience(CX) |
| パートナー | Google Cloud(コグニザントはGoogle Cloud Diamondパートナー) |
| 封じ込め率 | 70~85% |
| 対象市場成長率 | 年平均13%以上(2025年から2031年にかけて) |
| パーソナライズ需要 | 消費者の81%がパーソナライズ体験を好む(2024年Forbes調査) |
| 本社所在地 | 米国ニュージャージー州 |
| 公式サイト | www.cognizant.com |
trends編集部の一言
消費者の81%がパーソナライズされた体験を提供する企業を好むというForbesの調査結果は、小売業に限った話ではありません。マーケティング業界全体としては、「誰にでも同じ訴求をするキャンペーン」から「顧客の行動履歴に基づくコミュニケーション」へのシフトが加速しており、パーソナライゼーションへの投資が成果に直結するかどうかが問われるフェーズに入りました。業界横断で見ると、この転換を阻むボトルネックとして挙げられるのが、チャネル増加に伴う体験の一貫性維持の難しさです。
コンタクトセンター市場が年平均13%以上の成長を見込まれている背景には、顧客接点の複雑化があります。マーケティング業界の文脈に置き換えると、チャネルが増えるほど体験の一貫性を保つことが難しくなるという課題は業界横断で語られてきたテーマであり、エージェント型AIによるオムニチャネル統合のアプローチは、同種サービスでも注目が高まっている動向と捉えられます。「チャネルの増加ではなく、よりストレスのない体験を」というBen Wiener氏の言葉は、その方向性を端的に示していると言えるでしょう。
References
- ^ PR TIMES. 「コグニザントとグーグル クラウド、「Gemini Enterprise」を活用し、小売業における最も重要な顧客接点にエージェント型AIを導入 | コグニザントジャパン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000124422.html, (参照 26-05-21).
