株式会社IVRyは、対話型音声AI SaaS「アイブリー」を京成電鉄バスホールディングス傘下の京成電鉄バスグループ4社に導入したと発表しました。
アイブリー導入の背景にあるバス業界の人手不足と電話応対の課題
バス業界では深刻な人手不足と採用難、物価高騰が大きな課題となっています。京成電鉄バスグループ4社においても、東京都内や千葉県下における路線バスや成田空港をはじめとする高速バスなど広範なネットワークを運営する中で、遅延や忘れ物、運行状況に関する問い合わせが日々大量に発生していました。
利用者がWeb検索などで最初に見つけた営業所へ架電するケースも多く、正しい担当窓口への取次業務が現場の大きな負担となっていました。限られた人員の中で顧客一人ひとりへの丁寧な対応をいかに維持するかが、グループ全体の課題となっていたのです。
こうした課題を解決するため、グループ4社に先駆けて京成バス千葉ウエストで運用を実施しました。その結果を受け、京成バス東京・京成バス千葉セントラル・京成バス千葉イーストの3社を加えた京成電鉄バスグループ4社での「アイブリー」導入が決定されました。
2026年4月に新たに立ち上げたインフォメーションセンターでも、「アイブリー」が活用されています。
アイブリーのハイブリッド運用で実現する3つの機能
今回の導入における主な機能は、以下の3点です。
- 各営業所とインフォメーションセンターのハイブリッド受電体制の構築
- AI音声認識による忘れ物問い合わせの自動化・効率化
- 路線・高速バスの特性に合わせたIVR最適化
各営業所への着信を「アイブリー」が一次応答し、内容に応じて新設のインフォメーションセンターまたは各社の担当部門・営業所へ適切に振り分ける受電体制が構築されました。インフォメーションセンターでは「アイブリー AI Contact Center」を活用し、グループ全体の顧客接点の一元化と現場スタッフの業務負担削減を同時に図ります。
忘れ物に関する問い合わせには、AIが音声認識によって発着駅などの状況を把握します。近辺の営業所への自動転送や忘れ物案内ページへのSMS自動送信を行い、有人応対時間の約50~70%削減を目指しています。現場スタッフが安全運行に関わる業務に注力できる環境の整備が進められています。
路線・高速バスの特性に応じた二層構造のIVR設計により、顧客を迷わせない正確な案内も実現しました。運賃や運行状況などの定型的な問い合わせには確認先URLをSMSで自動送信し、自己解決を支援する設計です。予約が必要な高速バスには「プッシュ番号分岐」を採用するなど、路線の特性に合わせた誘導設計が施されています。
アイブリー導入の主要機能と運用概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | 株式会社IVRy |
| サービス名 | アイブリー(対話型音声AI SaaS) |
| 導入先 | 京成電鉄バスグループ4社(京成バス東京・京成バス千葉ウエスト・京成バス千葉セントラル・京成バス千葉イースト) |
| 主な活用機能 | アイブリー AI Contact Center・IVR・AI音声認識・SMS自動送信 |
| 業務削減目標 | 有人応対時間の約50~70%削減 |
| 稼働時間 | 24時間365日 |
| 導入規模 | 47都道府県・98業種以上・累計60,000件以上のアカウント発行(サービス全体) |
| 累計着電数 | 9,000万件超(サービス全体) |
| 設立 | 2019年3月 |
| 所在地 | 東京都港区 |
| 代表者 | 奥西 亮貴氏 |
trends編集部の一言
有人応対時間の約50~70%削減を目指すという数値は、公共交通という社会インフラの文脈で見ても大きなインパクトがあります。公共交通DX領域全体としては、問い合わせ対応の属人化や窓口の分散が慢性的な課題として業界横断で観察されており、AIによる一次応答と人による対応のハイブリッド設計は、その課題への実践的な回答として注目を集めています。
「ハルシネーションゼロ」という独自技術はサービス全体の信頼性を担保する仕組みであり、誤案内が直接クレームや安全問題につながる公共交通領域では特に説得力がある設計です。同種のAIコンタクトセンター市場においても自動応答への信頼性懸念は根強く、累計着電数9,000万件という実績とあわせて、価値ある導入事例として業界全体に示唆をもたらしています。
References
- ^ PR TIMES. 「京成電鉄バスホールディングス傘下のグループ4社が対話型音声AI SaaS「アイブリー」を導入 | 株式会社IVRyのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000260.000056805.html, (参照 26-05-21).
