ストックマーク株式会社は、経済産業省およびNEDOが実施する「GENIAC」第4期に採択され、国内大手企業16社と協業する『日本企業の暗黙知/社内データ AI-Ready化プロジェクト』を開始しました。
ストックマークのGENIAC採択とAI-Ready化プロジェクト発足の背景
ビジネスにおける生成AI活用では、インターネット上の公開データによる学習が大半を占める汎用AIだけでは専門性・信頼性の観点から不十分とされており、企業内に眠る「非公開データ」の活用が急務となっています。日本の製造業などでは、図面・マニュアル等の「非構造化データ」として管理されているケースや熟練者のノウハウが「暗黙知化」してドキュメント化されていない状況が大半です。
こうした課題を内製で解決するには高度な専門知識と膨大な工数が必要で、大きな困難を伴います。ストックマーク株式会社は、製造業向けAIエージェント「Aconnect」や自律型AI運用プラットフォーム「SAT Agent Cockpit」といったソリューションを通じて積み上げた知見をもとに、トップランナー16社との協業体制でこの課題に正面から取り組みます。
本プロジェクトにおける2つの重点テーマ
本事業では、企業のAI環境において内製では実装困難な2つのテーマを中心に据え、参画16社との現場で統合検証を行います。主な取り組みは以下の通りです。
- 業界別データのAI-Ready化と「Skills」によるAgent-Readyマニュアル化
- 産業・業務特化型のデータ基盤およびAIエージェントの構築
- ガードレール機能(権限管理・マスキング)の検証
- プライベートクラウド環境でのセキュア処理基盤の整備
重点テーマ①では、各業界固有の図面や帳票、マニュアル、チャット履歴・業務手順書を、AIエージェントが理解可能な「Skills(Agent-Readyマニュアル)」へ変換する手法と業界別データ構造化のベストプラクティスを確立します。従来はAI精度改善に専任エンジニアが必要でしたが、現場担当者が自然言語で「Skills」を更新するだけで継続的な精度向上を実現する仕組みです。
重点テーマ②では、日本の製造業が保有する実験データや配合レシピ、設計図などの秘匿データを、連合学習・合成データ技術によって外部に出すことなく活用します。データ主権を完全に保持したまま産業・業務特化のAI資産を育てる本格実証は、国内では本事業が初の本格実証です。
参画16社の概要とAI-Ready化プロジェクト一覧
素材・化学から自動車、機械、インフラ、商社、金融に至るまで多岐にわたる業界のリーディングカンパニーが参画します。参画企業と各社のテーマは以下の通りです。
- 味の素株式会社:製造・技術知のAI Ready化による次世代技術ナレッジ基盤の構築
- 伊藤忠商事株式会社:現物・先物市況の相場観形式知化によるハイブリッド型市場分析AI開発
- NGK株式会社:研究開発における暗黙知継承とナレッジ活用のためのAIプラットフォーム構築
- 株式会社神戸製鋼所:発電所運転管理・保全データのAI-Ready化と運転最適化推進
- 株式会社ジェイテクト:生成AIによる企業内暗黙知の形式知化とデータ構造化技術の研究開発
さらにスズキ株式会社、住友化学株式会社、太陽誘電株式会社、帝人株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、日揮ホールディングス株式会社、株式会社三井住友銀行、三菱ケミカル株式会社、ヤンマーホールディングス株式会社、ライオン株式会社、株式会社LIXILが参画し、各社が長年蓄積した技術力やドメイン知識、非公開データを掛け合わせた実証実験を行います。各社の取り組みを通じて、単なる一企業のDXに留まらない、業界の垣根を越えた「AIエコシステム」の構築を目指す方針です。
各社コメントでは、株式会社ジェイテクト経営役員CINO CRO清水 忍氏が「100年培ってきた現場の「暗黙知」をAIで構造化し、誰もがその知恵を武器にできる「AI資本経営」の基盤を、このプロジェクトで一気に築き上げたい」と述べています。株式会社三井住友銀行執行役員システム統括部副担当役員 AIトランスフォーメーション推進部長八木 修氏は、「暗黙知の形式知化に取り組み、AIを使える領域と人間が判断すべき領域を切り分けることで、今後の業務の可能性が劇的に広がる可能性を感じている」とコメントしました。
ストックマーク株式会社の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | ストックマーク株式会社 |
| 代表者 | 代表取締役CEO 林 達 |
| 所在地 | 東京都港区南青山一丁目12番3号 LIFORK MINAMI AOYAMA S209 |
| 設立 | 2016年11月15日 |
| 事業内容 | 最先端の生成AI技術を活用した企業のナレッジマネジメント・生成AIの業務適用を支援するサービスの開発・運営 |
| 主なソリューション | 製造業向けAIエージェント「Aconnect」 自律型AI運用プラットフォーム「SAT Agent Cockpit」 データ構造化プラットフォーム「SAT」 |
| URL | https://stockmark.co.jp/ |
trends編集部の一言
日本を代表する16社が一堂に集結し、各社の秘匿データを持ち寄って「AI-Ready化」の共同実証に臨む体制は、個社単独のDX推進とは次元の異なる取り組みです。マーケティング業界の文脈に置き換えると、「データは持っているが活用できていない」という課題は業界横断で語られてきたテーマであり、企業横断で秘匿データを外部共有せずにAI活用を進める設計は、業界横断連携モデルの一つとして注目される動きです。
現場担当者が自然言語で「Skills」を更新するだけでAI精度が継続的に向上する仕組みは、専任エンジニアを社内に置きにくい組織にとって、AI定着の現実的な道筋として注目される設計です。得られたベストプラクティスが一般公開される方針は、参画企業だけではなく国内ビジネス全体への波及効果を意識した構造であり、業界全体のAI活用フェーズの転換を象徴する動きと読み取れます。
References
- ^ PR TIMES. 「日本を代表する16社がストックマークと「AI-Ready化」を開始『日本企業の暗黙知/社内データ AI-Ready化プロジェクト』 | ストックマーク株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000394.000024407.html, (参照 26-05-15).
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