プロンプトエンジニアリングは、近年注目を集めている人工知能技術のひとつです。この革新的な手法を使うことで、創造的な文章作成やアイデアの発想をサポートすることができます。
本記事では、プロンプトエンジニアリングの基本概念から具体的な活用方法まで、初心者向けに分かりやすく解説します。
目次
- プロンプトエンジニアリングとは
- なぜプロンプトエンジニアリングが注目されているのか
- プロンプトエンジニアリングの役割と重要性
- プロンプトエンジニアリングの主な活用方法
- 自然言語でプログラムを作成できる
- 画像を自動生成できる
- チャットボットを作成できる
- プロンプトエンジニアリングを習得するための基本
- 英語で指示する
- 答えてほしい条件を詳細に指示する
- 出力タイプやフォーマットを指定する
- 前提条件を指定する
- 各解答の前に「Let’s think step by step」と加える
- プロンプトエンジニアリングのメリット
- コンテンツを簡単に作成できる
- 人間の創造性をサポートできる
- 新しいアイデアを生み出せる
- プロンプトエンジニアリングの注意点
- プロンプトエンジニアリングについてのまとめ
- References
プロンプトエンジニアリングとは
プロンプトエンジニアリングとは、ChatGPTやGoogle Bardのような生成形AI(Generative AI)から、的確な回答を得るための命令方法を作成する技術です。
プロンプトは「命令」という意味で、エンジニアリングが「工学」 [1]という意味を持っていることから、生成形AIの特徴を理解した上で適した命令を構築する技術だと言えます。
ChatGPTより
なんだか難しそうな名前ではありますが、簡単に表すと「AIにとってわかりやすい質問方法」なので、知識を学びつつ実行することで誰でも身につけられる技術です。
なぜプロンプトエンジニアリングが注目されているのか
プロンプトエンジニアリングを使うことで、生成形AIに効果的な指示や質問をして意図した答えを導き出すことができます。
その結果、本来人間が自然言語で行っていた仕事を生成形AIで代替できることから注目が集まっています。
たとえば、ユーザーの質問に対して適切な内容を答えるカスタマーサポートの仕事や、仕事で必要な情報のリサーチ業務などは生成形AIで代替可能です。
また、検索エンジンで意図した答えが返ってこない場合、生成形AIであれば自然な言葉を認識して適切な答えを返してくれます。
上記に限らず、プロンプトエンジニアリングを用いて生成形AIを使いこなすことで、仕事からプライベートまで幅広い範囲で活用できるのが魅力です。
プロンプトエンジニアリングの役割と重要性
プロンプトは、生成形AIが理解し実行できる形で与えられる必要があります。プロンプトが適切でない場合、AIは期待する結果を出力できないことがあります。
そのため、生成形AIが理解しやすい方法で命令し、期待する結果を導き出すことがプロンプトエンジニアリングの役割です。
プロンプトエンジニアリングは自然言語に限らず、機械翻訳や画像認識、音声認識など、さまざまな分野で使用されています。
特に、AIや機械学習モデルがまだ発展途上にある分野では、プロンプトエンジニアリングが重要となります。
プロンプトエンジニアリングは、AIや機械学習モデルのパフォーマンスを向上させるための重要な技術です。
プロンプトエンジニアリングによって、AIや機械学習モデルは、より正確で、より有益な結果を出力できるようになります。
プロンプトエンジニアリングの主な活用方法
プロンプトエンジニアリングの主な活用方法は次のとおりです。
- 自然言語でプログラムを作成できる
- 文章や画像を自動生成できる
- チャットボットを作成できる
各内容について詳しく解説します。
自然言語でプログラムを作成できる
プロンプトエンジニアリングを使用することにより、自然言語で適切なプログラムを作成できるのが特徴です。
たとえば、「プログラミング言語の「Python」を使って、Hello Wordと出力するプログラムを作ってください。」というプロンプトをAIに与えることで、AIはPythonでHello Wordと出力するプログラムを生成できます。
ChatGPTより
上記はシンプルなプログラムですが、自然言語で的確に指示することでより複雑なプログラムを作成できます。このように、プロンプトエンジニアリングを使いこなすことで、非エンジニアでもプログラミングできるところが魅力のひとつです。
画像を自動生成できる
MidjourneyやStable Diffusionのような画像生成AIでプロンプトエンジニアリングを使用することで、意図した画像を自動生成できます。
たとえば、「猫の絵を描く」というプロンプトをAIに与えることで、AIは猫の絵を自動生成します。
Midjourneyより
プロンプトエンジニアリングを用いて詳しく条件指定することで、自分が求めている画像を生成できます。
チャットボットを作成できる
プロンプトエンジニアリングを使用することで、ユーザーの質問を理解して適切に返信するチャットボットを作成できます。
現在は、ChatGPTで利用されている「GPT」という言語モデルを用いて、さまざまな企業や行政がチャットボットを開発しています。
プロンプトエンジニアリングを習得するための基本
プロンプトエンジニアリングの基本は下記の通りです。
- 英語で指示する
- 答えてほしい条件を詳細に指示する
- 出力タイプやフォーマットを指定する
- 前提条件を指定する
- 各解答の前に「Let’s think step by step」と加える
各内容について詳しく解説します。
英語で指示する
ChatGPTやGoogle bardのような生成形AIはアメリカなどの英語圏で作られているため、日本語よりも英語を利用した方が高精度の結果を返せると言われています。
英語で指示する方法は簡単で、日本語のプロンプトを生成形AIで英語に翻訳するだけです。英語のプロンプトによる回答は英語で出力されるので、また日本語に訳して対応しましょう。
答えてほしい条件を詳細に指示する
プロンプトエンジニアリングでは、答えてほしい条件を詳細に指示することが重要です。AIは、指示が曖昧だと正しい答えを出すことができない可能性があります。
詳細な指示と曖昧な指示の例は下記の通りです。
- 曖昧な指示:HTMLの特徴について書いてください。
- 詳細な指示:HTMLの特徴について、プログラミング初心者がわかりやすいように200文字以内で書いてください。
出力タイプやフォーマットを指定する
プロンプトエンジニアリングでは、出力タイプやフォーマットを指定することも重要です。出力タイプやフォーマットが明確でない場合、自分が意図していない形式で答えを返す可能性があります。
たとえば、知りたい情報をわかりやすく認識したいときは、リスト形式での出力を指示したり、複数の情報を比較したいときは表形式での出力を指示するとよいでしょう。
ChatGPTより
前提条件を指定する
プロンプトエンジニアリングでは、前提条件を指定することでその条件を踏まえた回答を得ることも可能です。
その結果、より的確な情報やコンテキストに基づいた回答を得ることができます。
たとえば、生成AIを使ってWebデザインについて壁打ちしたいときは、プロンプトの冒頭に「あなたはプロのWebデザイナーです。」という前提条件を指定することで、生成AIにはプロのWebデザイナーの視点からの回答を期待できます。
これにより、より具体的で専門的な情報やアドバイスを得ることができます。
各解答の前に「Let’s think step by step」と加える
プロンプトエンジニアリングでは、各解答の前に「Let’s think step by step」と加えることにより、AIに段階的に考えるように指示することができます。これにより、AIは正しい解答を出す可能性が高くなります。
Large Language Models are Zero-Shot Reasoners
— Aran Komatsuzaki (@arankomatsuzaki) May 25, 2022
Simply adding “Let’s think step by step” before each answer increases the accuracy on MultiArith from 17.7% to 78.7% and GSM8K from 10.4% to 40.7% with GPT-3.https://t.co/ebvxSbac1K pic.twitter.com/lpZwDTf06m
プロンプトエンジニアリングのメリット
プロンプトエンジニアリングのメリットは次のとおりです。
- コンテンツの作成を自動化できる
- 人間の創造性をサポートできる
- 新しいアイデアを生み出せる
各内容について詳しく解説します。
コンテンツを簡単に作成できる
プロンプトエンジニアリングは、コンテンツの作成を自動化するために使用できます。たとえば、オリジナルの物語や画像、製品説明などのコンテンツを簡単に作成できます。
これにより、コンテンツの作成に費やす時間を削減し、ほかの業務に集中することができます。
人間の創造性をサポートできる
プロンプトエンジニアリングは、人間の創造性をサポートするためにも使用できます。
例えば、AIに「トランプを使った新しいゲームを作ってみてください。」とプロンプトを与えると、AIが独自の新しいトランプゲームを生み出してくれます。
ほかにも「20代が感動できるストーリーを500文字以内で作ってください。」とプロンプトを与えると、AIは人間が書き下ろしたストーリーとは異なる、独創的なストーリーを書くことができます。
上記のように、プロンプトエンジニアリングを使用することでAIの能力を最大限に引き出し、人間の創造性をサポートできます。
新しいアイデアを生み出せる
プロンプトエンジニアリングは、新しいアイデアを生み出すためにも使用できます。
たとえば、生成AIに「冷蔵庫ににんじん、レタス、ベーコン、じゃがいもがあるんだけど、どんな料理が作れるかな?」とプロンプトを与えることで、AIが新しいアイデアを複数生成してくれます。
ChatGPTより
プロンプトエンジニアリングを用いて生成AIを使うことで、独自のアイデアがなかなか出てこないときのサポートに役立ちます。
プロンプトエンジニアリングの注意点
プロンプトエンジニアリングを使用する際には、生成結果の信頼性に注意する必要があります。
生成結果の信頼性については、プロンプトの質が重要です。プロンプトが明確で具体的であれば、より信頼性の高い結果が得られます。
また、プロンプトが偏っていたり、誤解を招くようなものであったりすると、生成結果の信頼性が低下する可能性があります。
プロンプトエンジニアリングはまだ発展途上にある技術であり、限界も存在します。その一例として、生成形AIで作られたテキストは必ずしも正確であるとは限りません。
プロンプトエンジニアリングの限界を克服するためには、技術の開発と人間の創造性の活用が重要です。
プロンプトエンジニアリングについてのまとめ
プロンプトエンジニアリングは、人工知能を活用して創造的な文章作成やアイデア発想を支援する革新的な手法です。
プロンプトエンジニアリングを使うことで、オリジナル小説やクリエイティブなタイトル、キャッチコピーの作成、アイデア出しなどさまざまな場面で効果的に活用できます。
ただし、プロンプトエンジニアリングを使用する際には、生成結果の信頼性や適切な使用方法に注意することが必要です。
プロンプトエンジニアリングの未来には、AIと人の協働による創造性の向上が期待されています。さらなる進化や応用の可能性に注目しながら、プロンプトエンジニアリングを活用してより創造的な文章作成やアイデア発想に挑戦しましょう。
References
- ^ 早稲田大学先進理工学部 応用化学科. 「エンジニアリングとは」. https://www.waseda-applchem.jp/ja/about/graduates/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%A8%E3%81%AF/, (参照 2023-05-15).
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