アイラト株式会社は、2026年6月24日付で、放射線治療計画AI支援ソフトウェア「RatoAI」の製造販売承認を取得しました。
RatoAIがクラスⅢプログラム医療機器として製造販売承認を取得
医療機器は、人体へのリスクに応じてクラスⅠからクラスⅣに分類されます。クラスⅢは、PMDAによる審査および厚生労働大臣の承認が必要な高度管理医療機器に位置づけられました。クラスⅢのプログラム医療機器として、製造販売承認を取得したスタートアップ企業は、アイラト株式会社が国内初です。
なお、ここでいうスタートアップは設立10年未満の企業を指し、2025年12月31日時点のPMDA「プログラム医療機器の製造販売承認品目一覧」に基づく同社調べによるものです。販売名は「放射線治療計画デザインソフトウェアRatoAI」で、医療機器製造販売承認番号は30800BZX00163000となります。
RatoAIが放射線治療計画の作成プロセスを支援
「RatoAI」は、放射線治療計画の作成プロセスをAIで支援するソフトウェアです。CT画像上の臓器・組織の輪郭抽出支援と、治療計画の作成支援という2つの機能を中心に構成されています。
主な機能は以下の通りです。
- 全身の主要な100部位以上の正常臓器に対応した輪郭抽出支援
- 機械学習モデルによる線量分布の推論と治療計画支援
- 医療従事者による確認や修正、承認プロセスへの対応
作成された治療計画は、医療従事者が確認や修正、承認のうえ使用するものです。放射線治療計画は、患者一人ひとりに応じた内容を要する工程であり、医療従事者の高度な専門性と多くの時間を必要とします。「RatoAI」はこうした業務負担の軽減に寄与することを目的として開発されました。
RatoAI開発元の代表取締役によるコメント
代表取締役の木村 祐利氏は、「RatoAIは、大学で培われてきた放射線治療AIの研究成果を基盤としながら、国内のさまざまな医療機関の皆さまと連携し、実際の医療現場で使われるプロダクトとして、開発を進めてきました」と述べています。研究開発だけではなく、薬事や品質管理、臨床現場とのすり合わせなど多くの課題を乗り越えてきた経緯に触れ、今後は「放射線治療計画に携わる医療従事者の業務負担軽減に貢献し、専門人材が本来の力をより発揮できる環境づくりを支えていきたい」との意向を示しました。
代表取締役の角谷 倫之氏は、「RatoAIは、東北大学の研究室で、いつか実際の医療現場で役立つ技術として、実用化したいという思いから、長年にわたり基礎開発を重ねてきた放射線治療AI技術を基盤としています」と語っています。研究室で生まれた技術が薬事承認という節目に到達したことへの感慨とともに、「将来的には放射線治療領域におけるAI活用の可能性をさらに広げ、日本発の医療AIとしてこの分野をリードしてまいります」と今後の展望を述べました。
アイラト株式会社の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 社名 | アイラト株式会社 |
| 本社所在地 | 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-40 T-Biz |
| 代表取締役 | 木村祐利、角谷倫之 |
| 設立 | 2022年3月 |
| 事業内容 | AIを活用した放射線治療計画支援ソフトウェアの開発および提供 |
| 承認製品名 | 放射線治療計画デザインソフトウェアRatoAI |
| クラス分類 | クラスⅢ(高度管理医療機器) |
| 承認番号 | 30800BZX00163000 |
| 累計調達額 | 累計6.3億円(2025年6月時点) |
trends編集部の一言
クラスⅢのプログラム医療機器として製造販売承認を取得したスタートアップが国内初という事実は、医療業界に限らず大きなインパクトを持つと言えるでしょう。医療AI業界全体としては、SaMDの薬事承認を経た製品が徐々に増えつつある中で、スタートアップがクラスⅢという高い壁を越えたことは、日本の医療AI開発の新たな段階を示す出来事として注目されました。
マーケティングの現場でも、AIツールを試験導入しても「使う人」と「使わない人」に分かれる問題が続いています。医療AIの場合は信頼性や安全性の担保がさらに厳しく問われる領域です。東北大学の研究成果を基盤とし、臨床現場との連携を重ねながら薬事承認まで到達したアイラト株式会社のアプローチは、業界を超えた「現場で使われ続けるAI」の設計として参照する価値があります。
References
- ^ PR TIMES. 「アイラト、放射線治療計画AI支援ソフトウェア『RatoAI』の製造販売承認を取得 | アイラト株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000119113.html, (参照 26-06-26).
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