保育AI「hinary(ヒナリー)」を開発・運営するエイチテクノロジーズ株式会社は、東京都主催のスタートアップ支援プログラム「スタートアップ社会実装促進事業(PoC Ground Tokyo)令和8年度」に採択されました。
hinaryが採択された「PoC Ground Tokyo」の概要と経緯
「スタートアップ社会実装促進事業(PoC Ground Tokyo)」は、革新的なビジネスアイデアを持ち、急成長を志向するスタートアップのコンセプト検証をサポートする東京都主催のプログラムです。書類審査・プレゼン審査を経て、多数の応募の中から10事業が採択されました。
令和8年度の採択では、「ウェルビーイング・ケア」「クライメートテック」「アーバンテック」の3領域が重点分野として定められました。採択企業の一覧は東京都の公式ページで公開されています。
hinary開発の背景にある保育業界の課題
共働き世帯が全世帯の70%を超えた現代において、保育は「社会インフラ」としての、重要性を増してきました。しかし東京都の令和7年7月時点での保育士の有効求人倍率は4.28倍(対前年同月比で0.26ポイント上昇)と、全職種平均の1.69倍と比較して、高い水準で推移しています。
深刻な人手不足の背景にあるのが、書類業務の膨大な負担です。連絡帳・おたより・指導計画など、保育士が日常的に作成する書類は多岐にわたっています。こうした仕事量の多さが離職の一因となっており、保育士の業務負担軽減は保育を持続可能なインフラにするうえで避けては通れない課題です。
本事業におけるhinaryの取り組みと検証内容
本事業では、指導計画・おたより・ヒヤリハット報告書・要録などの書類を、保育施設のフォーマットに準拠した形で作成する「保育AIエージェント」の開発・コンセプト検証を行います。過去の書類や直近の会話履歴を保育AIエージェントが自律的に参照しながら、文脈に沿った書類作成が可能となる仕組みです。
実際の東京都内の保育施設と連携し、検証する内容は以下の3点です。
- 書類作成における時間削減
- 業務満足度の向上
- 子どもとの関わり時間の増加
検証を通じて保育施設のAX(AI Transformation)を促進し、保育士や保育施設、行政および社会のそれぞれに価値が循環する仕組みの確立を目指します。
hinary(ヒナリー)と会社概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス名 | hinary(ヒナリー) |
| カテゴリ | 保育AI |
| 主な機能 | 遊び・活動のアイデア出し、書類作成、画像・イラスト生成、献立の相談など保育業務全般のサポート |
| 対象ユーザー | 保育士、園長・主任、給食栄養、事務など園運営に関わる全職員 |
| 対応施設 | 幼稚園・保育園・こども園・学童保育 |
| 推奨団体 | 公益社団法人全国私立保育連盟 |
| サービスサイト | https://hinary.jp/ |
| 会社名 | エイチテクノロジーズ株式会社(英名:H Technologies Inc.) |
| 所在地 | 東京都港区浜松町2丁目2番15号浜松町ダイヤビル2F |
| 代表者 | 代表取締役CEO 池田 亘希氏 |
| 設立 | 2025年3月10日 |
| コーポレートURL | https://h-technologies.co.jp/ |
trends編集部の一言
保育士の有効求人倍率が4.28倍という数字は、全職種平均の1.69倍と並べたとき、改めてその深刻さが際立ちました。生成AIを活用した文書業務の効率化は、業界全体としては保育に限らず製造・医療・教育など人手不足が顕在化するあらゆる現場へ広がっており、「書類業務が現場を圧迫する」という構造は業種を問わず、共通の課題だと言えます。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、AIが過去の資料や直近の会話履歴を参照しながら、文脈に沿った文書を自律生成する仕組みは、提案書や報告書の下書きを自動化するアプローチとして参考になる設計です。全国最多の保育施設を抱える東京都での検証だからこそ、その結果は保育業界を超えた社会実装の指針になる可能性があります。今後の検証結果に注目しておく価値がありそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「保育AIエージェント「hinary」を提供するエイチテクノロジーズ、東京都主催「スタートアップ社会実装促進事業(PoC Ground Tokyo)」に採択 | エイチテクノロジーズ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000169143.html, (参照 26-06-26).
