NVIDIAは、台湾、台北 — NVIDIA GTC Taipei にて、フィジカル AI 向けのオープンな世界基盤モデル「NVIDIA Cosmos 3」を発表しました。
Cosmos 3 が取り組むフィジカル AI の基本課題と新アーキテクチャ
ロボット、自動運転車、ビジョン エージェントの開発では、限られた学習データと断片化されたシミュレーション スタックを用いて、現実世界での汎化を目指すという課題があります。Cosmos 3 の mixture-of-transformers アーキテクチャは、リーズニング用トランスフォーマーと生成型エキスパート トランスフォーマーを組み合わせることで、動画や動作軌跡を生成する前にオブジェクトの相互作用・動き・空間と時間的な関係を理解できる設計です。
学習には、テキスト、画像、動画、サウンド、動作軌跡から得られた数十億ものサンプルを含む、最大規模のマルチモーダルなフィジカル AI データセットの1つが使用されました。開発者にとっては、より少ないデータと低い学習コストでフィジカル AI システムを構築するための事前学習済み基盤モデルとして機能します。
Cosmos 3 は、視覚言語モデル、世界基盤モデルまたは動画基盤モデル、世界行動モデルのバックボーンとして利用可能です。フィジカル AI 開発のさまざまな段階に対応するラインナップとして、以下の3種類が提供されます。
- Cosmos 3 Super:物理精度と生成品質が求められるロボティクス・自動運転向けのポストトレーニングに対応
- Cosmos 3 Nano:数分の 1 秒で高品質な動画生成とアクションリーズニングを実現
- Cosmos 3 Edge:エッジでのリアルタイム推論向けに近日公開予定
フィジカル AI ベンチマークでの評価では、オープンモデル同士の比較においてリーダーボードの 1 位を獲得しました。世界生成の精度では Artificial Analysis・Physics-IQ・PAI-Bench・R-Bench、アクションポリシーでは RoboLab と RoboArena、視覚理解では VANTAGE-Bench と TAR でそれぞれ首位となっています。
NVIDIA Cosmos Coalition の立ち上げとエコシステム拡大
NVIDIAは今回、NVIDIA Cosmos Coalition を立ち上げました。設立メンバーには、Agile Robots、Black Forest Labs、Generalist、LTX、Runway、Skild AI が名を連ねています。
各社の知見を結集するグローバルなエコシステム構想です。次世代のオープンな世界基盤モデルの発展を共同で推進することを目指しています。
メンバーは、Cosmos 3 の技術やトレーニングツール、NVIDIA DGX Cloud インフラを活用しながら、モデルや研究、評価手法を提供できます。オープンに構築し共有エコシステム全体で貢献することによって、フィジカル AI のより迅速なイノベーションと幅広い相互運用性の実現が期待されるでしょう。
NVIDIAの創業者兼 CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) 氏は、「マルチモーダルなリーズニング、言語、視覚、世界モデルの飛躍的な進歩により、フィジカル AI のビッグバンがすぐそこまで来ています」と述べ、Cosmos 3 ファミリーによって開発者がロボット、自動運転車、ビジョン AI の構築において、世代を超えた飛躍を遂げられると強調しました。
NVIDIA Cosmos 3 プラットフォームの活用状況と利用方法
Cosmos プラットフォームは、ロボティクス、物理学、人間の動作、自動運転、倉庫安全、空間リーズニング向けの新しいデータセットを備えています。さらに、ニューラルシーン再構成、欠陥画像生成、動画拡張のためのフィジカル AI エージェントスキルも含まれています。
業界を問わず、学習と評価のワークフローを迅速化するために、さまざまな企業が Cosmos プラットフォームを活用して開発を行ってきました。活用企業には以下が含まれます。
- ロボティクス領域:Agile Robots、Doosan Robotics、LG Electronics、Samsung、Skild AI
- 自動運転領域:LiAuto
- ビジョン AI エージェント領域:Centific、Fogsphere、Linker Vision、Milestone Systems、Yuan
Cosmos 3 Super と Cosmos 3 Nano は現在利用可能です。開発者は build.nvidia.com 上でモデルを試すことができ、Hugging Face からオープンモデルをダウンロードしたり、Hugging Face Diffusers と GitHub のリソースを使用してカスタマイズや合成データ生成も行えます。
モデルビルダーやソフトウェアプロバイダーは、主要なリーズニングや合成データ生成ワークロード向けに Cosmos へのアクセス、カスタマイズ、導入の迅速化が可能です。対応するクラウドインフラパートナーには、Baseten、CoreWeave、Microsoft Azure が含まれる構成です。さらに Nebius、Deep Infra、Classmethod なども連携先として加わります。
NVIDIA Cosmos 3 概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | NVIDIA |
| モデル名 | NVIDIA Cosmos 3 |
| カテゴリ | フィジカル AI 用のオープンな世界基盤モデル |
| 発表日 | 2026年6月1日 |
| 発表場所 | 台湾、台北(NVIDIA GTC Taipei) |
| アーキテクチャ | mixture-of-transformers |
| ラインナップ | Cosmos 3 Super / Cosmos 3 Nano / Cosmos 3 Edge(近日公開) |
| 主なベンチマーク順位 | Physics-IQ、PAI-Bench、RoboLab、VANTAGE-Bench 等で 1 位 |
| 利用開始 | build.nvidia.com、Hugging Face、GitHub |
| Coalition 設立メンバー | Agile Robots、Black Forest Labs、Generalist、LTX、Runway、Skild AI |
trends編集部の一言
従来は、数カ月かかっていたフィジカル AI のトレーニングと評価サイクルが数日に短縮されるという変化は、ロボティクス業界以外から見ても開発コスト構造を根本から変えうる規模の転換です。業界全体としては、AI モデルの開発コストが下がり続ける中で、基盤モデルをオープンに提供しエコシステムで育てるという戦略が標準的な競争軸になりつつあると言えるでしょう。
マーケティングの文脈に置き換えると、Cosmos Coalition のような「開発者連合でオープンに構築する」モデルは、ツールベンダーがパートナーエコシステムを囲い込む従来型とは対照的な設計思想です。どのレイヤーで差別化し、どこをオープンにするかという判断は、今後の AI 活用プロダクト開発における重要な戦略分岐点になると言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「NVIDIA、フィジカル AI のためのオープンな最先端の基盤モデル、 Cosmos 3 を発表 | NVIDIAのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000615.000012662.html, (参照 26-06-03).
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