株式会社ベルシステム24ホールディングスと株式会社ベルシステム24は、AIチャットナビゲーター「Sherpy(シェルピー)(仮称)」の提供開始を発表しました。
Sherpy(仮称)開発の背景とコンタクトセンターの課題
株式会社ベルシステム24が運営するユーザー企業参画型プログラム「生成AI Co-Creation Lab.」の活動を通じて、クライアント企業から「AIチャットボットを導入しても期待した精度が出ず、難しい問い合わせは結局人に頼ってしまう」という声が多く寄せられてきました。高精度な回答を自動化するには、FAQやマニュアル、オペレーターの暗黙知といったナレッジの集約が不可欠です。しかし、その集約には膨大なコストと時間がかかり、多くの企業で着手が進んでいないのが実情でした。
加えて、回答精度向上のためにRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)を導入しても、質問と回答の類似性に基づく検索では、複雑な意図を持つ問い合わせへの対応に限界がありました。「Sherpy(仮称)」は、こうした課題を解決するために開発されました。第一弾ソリューション「Knowledge Generator」が通話音声データからKCS(ナレッジ・センター・サービス)準拠の高品質なナレッジを自動生成し、そのナレッジベースを「Sherpy(仮称)」が活用する設計です。
Sherpy(仮称)の2モデル構成と主な機能
「Sherpy(仮称)」は、オペレーターの応対を支援する「Sherpy for Operator(シェルピー・フォー・オペレーター)(仮称)」と、顧客の自己解決を支援する「Sherpy for Customer(シェルピー・フォー・カスタマー)(仮称)」の2モデルで展開されます。いずれも「Hybrid RAG」を核に据えた構成です。
「Sherpy for Operator(仮称)」は、応対中のオペレーターがテキストで質問すると、AIが意図を診断してナレッジベースから回答候補・関連情報を迅速に提示します。高難度な問い合わせへの対応力を高めることで、応対品質の向上や処理時間の短縮につなげます。新人オペレーターの研修期間の短縮や離職率の低下にも貢献するとしています。
「Sherpy for Customer(仮称)」は、企業のWebサイトにAIチャットナビゲーターを設置する形で展開されます。従来のFAQやシナリオ型チャットボットでは「結局オペレーターにつないでください」となりがちだった複雑な問い合わせにも、24時間365日対応可能です。顧客が問題を自己解決できるようになることで、顧客満足度の向上とコンタクトセンターへの入電削減による業務効率化を実現します。
「Hybrid RAG」の主な特徴は以下の3点です。
- VectorDBによる類似検索とナレッジグラフ(Knowledge Graph)の関連性を組み合わせた「Hybrid RAG」による深い推論
- 「Human-in-the-Loop(人間参加型の機械学習)」の概念のもと、ヒトが協働してAIを育成することで回答精度が継続的に向上する仕組み
- 保険・エネルギー・通信・金融など多岐にわたる業界のコンタクトセンター運用で蓄積された業務知見をAI育成に活用
同ソリューションは現在、大手生命保険会社・大手エネルギー会社などの複数社で実証実験を進めており、順次実装を開始します。2028年までに50社が実運用に移行する計画です。
「Sherpy(仮称)」の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社ベルシステム24ホールディングス/株式会社ベルシステム24 |
| サービス名 | Sherpy(シェルピー)(仮称) |
| カテゴリ | AIチャットナビゲーター |
| 展開モデル | Sherpy for Operator(シェルピー・フォー・オペレーター)(仮称) Sherpy for Customer(シェルピー・フォー・カスタマー)(仮称) |
| 主要技術 | Hybrid RAG(VectorDB+ナレッジグラフ(Knowledge Graph)による複合検索) |
| 対応時間 | 24時間365日(Sherpy for Customer(仮称)) |
| 導入目標 | 2028年までに50社が実運用予定 |
| 属するソリューション | Hybrid Operation Loop(第二弾) |
| 企業URL | https://www.bell24.co.jp/ |
trends編集部の一言
「AIチャットボットを導入しても、難しい問い合わせは結局人に頼ってしまう」という課題は、コンタクトセンターに限らず、広く共有されている問題です。業界全体としては、チャットボットやFAQツールの精度限界が顧客体験の文脈で繰り返し論点となっており、「AIが答えられない問いをどう扱うか」は積み残されてきたテーマと言えます。
今回の発表で注目されるのは、「Hybrid RAG」という技術の位置付けよりも、「Human-in-the-Loop(人間参加型の機械学習)」の設計思想です。AIが精度を高めていく過程にヒトの協働を組み込む構造は、マーケティング業界の文脈に置き換えると、コンテンツ生成や顧客対応の自動化において「AI単独運用の限界をどう補完するか」という議論と重なる動向として捉えられます。
2028年までに50社が実運用という目標値と、大手生命保険会社・大手エネルギー会社での実証実験という具体的な文脈がセットで示されている点は、コンタクトセンターの自動化が実用域に達しつつある段階を示しており、業界全体の議論を動かしていく動きとして注目されます。
References
- ^ PR TIMES. 「コンタクトセンター生成AI自動化ソリューション「Hybrid Operation Loop」の第二弾、複雑な問い合わせにも的確に回答するAIチャットナビゲーター「Sherpy(仮称)」を提供開始 | 株式会社ベルシステム24ホールディングスのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000230.000109272.html, (参照 26-05-26).
