DXとペーパーレスの違い
DXとペーパーレス化は適用される範囲に違いがあります。
DX
DXはビジネス変革を目指す包括的なアプローチです。デジタル技術を活用することで企業のビジネスモデルや業務プロセス全体を変革し、競争力を高めて効率化を実現します。
ペーパーレス化
ペーパーレス化は紙の使用を減らし、デジタル文書を活用する具体的な一手法です。書類の電子化によりスペースの節約や検索の迅速化が図れ、業務プロセスの効率化に貢献します。
たとえばDXは顧客対応やデータ管理などのシステムを統合し、業務効率化を図ることでビジネス全体のパフォーマンスを向上させることが可能。一方ペーパーレス化は、契約書の電子署名やオンライン申請システムの導入によって従業員の手間を削減し、業務をスムーズに進める施策を指します。
ペーパーレス化はDXの入り口になる
株式会社サンエルが実施した「DXだと思う身近な取組み」に関するアンケートでは「書類のデジタル化によるペーパーレス」(21.0%)が最も票を集めました。
ペーパーレス化はDXへ取り組むうえで初めの一歩として取り組みやすいのが特徴。書類のデジタル化から始めることで、企業はデジタルシステムの利便性やメリットを実感しやすくなります。
これによりさらなるDX推進に対する理解と意欲が高まります。ペーパーレス化はDXより前の施策である、情報をアナログ方式からデジタル形式に変換する「デジタイゼーション」というプロセスに該当します。
DXの一環であるペーパーレス化の課題と対応方法
ペーパーレス化が意味がないと言われる理由
ペーパーレス化はシステムを導入するだけでなく、従業員が新しいデジタルツールに慣れるまでの時間やサポートが必要です。
上記の対応を疎かにすると、ペーパーレス化は端末が使いこなせないことや手書きやハンコと併用していることで以前より手間が増えてしまい「意味ない」と言われてしまう可能性があります。
特に伝統的な企業文化が根強い日本では、手書きやハンコの習慣が依然として残っており、完全なデジタル化が進みにくいのが現状です。これによりペーパーレス化の本来のメリットである効率化が十分に発揮されず、逆に作業が煩雑になる場合があります。
ペーパーレス化の効果的な推進方法
ペーパーレス化を行うことを前提に、従業員に対する十分な教育とトレーニングを実施できる期間と環境が必要です。新しいデジタルツールの使い方や利便性を理解してもらう時間を取ることで、導入のハードルを下げられます。
また、従業員が困ったときにすぐに助けを得られるようにサポート体制を強化することで、スムーズな移行が可能です。
上記の方法は初めこそ時間がかかりますが、従業員がデジタルツールの操作に慣れた後は以前よりスムーズな業務フローを実現できます。
次に、業務プロセス全体の見直しを行い、デジタル化に適したフローを構築することが必要です。手書きやハンコの必要性を減らし、電子署名やオンライン承認システムを導入することで、完全なデジタル化を推進します。
これらの施策を段階的に実施することで、従業員が新しいシステムに慣れる時間を確保しつつ徐々にペーパーレス化を実現できます。
DXとペーパーレス化に関する質問
「ペーパーレスだと頭に入らない」という問題
ペーパーレス化に対するよくある疑問として、「ペーパーレスだと頭に入らない」という声があります。
これは脳が情報を複数の経路で処理する特性によるものです。紙ベースの情報は視覚や触覚など、さまざまな感覚を通じて脳に入るため、記憶に定着しやすくなります。一方、デジタル情報は主に視覚情報として処理されるため、記憶が定着しにくい場合があります。
これに対する解決策は、ハイライト機能を使って文字を色分けしたり、検索機能を用いて頭に入らないところをすぐ検索できるようにすることが挙げられます。
非効率なペーパーレス化を避けるには
非効率なペーパーレス化を避けるためには、適切な計画とツールの導入が必要です。たとえばペーパーレス化の対象範囲を明確にし、段階的に進めることで業務効率化を図ることができます。
また、従業員の意見を取り入れて現場に即した解決策を検討することも重要です。