キリンホールディングス株式会社と株式会社ファンケルが「錠剤設計AI」を共同開発、製剤開発の期間短縮へ
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キリンホールディングス株式会社と株式会社ファンケルは、サプリメントの錠剤設計を支援する「錠剤設計AI」を共同開発しました。
錠剤設計AIが複数の物性を予測して処方条件の検討を支援
錠剤設計においては、飲み込みやすさ、輸送に耐えうる硬さ、体内での溶けやすさといった複数の物性を同時に満たす必要があります。飲み込みやすさ、硬さ、溶けやすさといった物性は互いに影響し合うため、最適な処方設計を導き出すには膨大な試作と試行錯誤が必要でした。
開発した「錠剤設計AI」は、過去の研究や製造データを学習し、サプリメントにおける錠剤の「飲み込みやすさ」「輸送中に割れにくい硬さ」「体内での溶けやすさ」といった複数の要素を予測できるように設計されています。人の手では検討が難しい数千~数万通りの処方条件の組み合わせも、AIが高速かつ高精度に予測・比較検討することを可能にしました。
この「錠剤設計AI」によって、期待される効果は以下の通りです。
- 最適処方の算出による品質向上(より早く溶ける、より小さく飲み込みやすい設計)
- 担当者によらない一貫した設計品質の実現による製品品質の安定化
- 開発期間の短縮
- 原料ロスの削減
キリンホールディングス株式会社R&D本部キリン中央研究所は、AIモデルの構築とアプリケーション開発を担いました。原料の物性値や製造条件といった物理情報をAIへ統合することによって、実際の研究開発現場で実戦力として活用できるAIの構築を実現したとしています。
株式会社ファンケル 総合研究所 機能性食品研究所からのコメント
株式会社ファンケル 総合研究所 機能性食品研究所所長の足立 知基氏は、開発背景についてコメントを寄せています。足立 知基氏は「良い処方が見つかっても「さらに良い組み合わせがあるのではないか」という思いが常にあった」と述べ、開発が難航した際の判断の難しさにも言及しました。
「錠剤設計AI」は、こうした開発現場の課題を解決するものと位置づけられています。今後はAIと人が共に考えることで、製品開発をより高い確信のもとで完了できるようになるとしています。また、AIで予測できる項目を拡張することによって、より高品質で価値ある設計の追求を目指す方針です。
錠剤設計AI共同開発の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発主体 | キリンホールディングス株式会社・株式会社ファンケル |
| 技術名称 | 錠剤設計AI |
| カテゴリ | 次世代型製剤設計技術 |
| 掲載学術誌 | Pharmaceutics(2026年、18巻4号、記事番号452) |
| 論文名 | Application of AI in Tablet Development: An Integrated Machine Learning Framework for Pre-Formulation Property Prediction |
| 著者 | Masugu Hamaguchi、Tomoki Adachi、Noriyoshi Arai(ほか共著者) |
| キリン側担当組織 | キリンホールディングス株式会社R&D本部 キリン中央研究所 |
| コメント担当者所属 | 株式会社ファンケル 総合研究所 機能性食品研究所 |
| 今後の方針 | KIRIN Digital Vision 2035に基づく「生産性向上」と「価値創造」の推進 |
trends編集部の一言
数千~数万通りの処方条件をAIが高速に予測・比較検討できる点は、製剤開発の文脈を離れても十分な驚きがあります。マーケティングの現場でも、「最適な組み合わせを探すために膨大なパターンを試す」という構造は、広告クリエイティブのA/Bテストや施策の優先順位付けで共通して直面する課題です。業界全体としては、こうしたデータ駆動型の最適化をAIに任せる流れが加速しています。
キリンとファンケルという異業種の知見を持つ両社が、製剤データを持ち寄って共同開発した点も注目されます。マーケティング業界の文脈に置き換えると、社内データの形式知化と外部パートナーとのデータ連携によってAIの精度を高めるアプローチとして、参照事例になり得る取り組みです。研究成果が国際学術誌に掲載されたことで、技術の有効性に対する客観的な裏付けも得られており、今後の実用化の動向としても業界観点から注目される動きと言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「キリンとファンケル、サプリメントの錠剤設計AIを共同開発“飲みやすさ”と“品質”を両立 開発期間の短縮に貢献 | キリンホールディングス株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001559.000073077.html, (参照 26-07-09).




