株式会社ハルシナリオは2026年7月6日、バイブコーディングや生成AIで作られた小規模な業務アプリを「限定された範囲で社内利用へ進められる状態」に整える信頼化サービス「ハルシナリオ」の提供を開始しました。
ハルシナリオが解決する「動くのに会社では使えない」課題
生成AIとバイブコーディングの普及で、現場担当者や小規模チームが短期間で業務アプリを作れるようになりました。一方で、認証やアクセス制限、秘密情報整理や監視、責任分界が未整備なアプリは、情シスや管理部門が利用判断に必要な情報を持てず、社内利用に進めない状況が生まれています。
アプリが動くことと、会社が継続利用を認められることは別です。利用者、データ、秘密情報、監視、責任範囲、変更ルールが整理されていなければ、現場は「動くのに使えない」と感じ、情シスは「条件が分からないため受け取れない」と判断します。姉川将之氏は「現場で生まれた業務価値を捨てずに、会社が受け取れる状態へ整えるためのサービス」と述べています。
ハルシナリオのサービス概要と提供内容
「ハルシナリオ」は、現場で作られた業務アプリに会社利用に必要な信頼化レイヤーを追加するサービスです。目的は、単にクラウドへ載せることではなく、利用条件や技術状態、運用責任や残存リスクを説明可能にし、会社が受入判断できる材料を整えることにあります。
追加される信頼化要素は以下の6項目です。
- M365/Entra ID認証:シングルテナントログインと指定ユーザー・グループ単位のアクセス制限
- 秘密情報整理:API key・DB接続文字列・OpenAI key等をコード外管理へ移行
- 監視・障害対応:health endpoint、外形監視、基本アラートの整備
- データ取扱い:利用者・利用目的・扱うデータの分類と文書化
- 責任分界:当社と顧客の責任範囲を受入れ証跡として明文化
- 30日カバレッジ:受入れ日から30連続日の監視・障害対応・問合せ対応
信頼化の結果は、受入判断用ドキュメント一式(受入れ証跡)・技術構成のスナップショット(Git SHA、コンテナイメージダイジェスト、ACAリビジョン等を記録した受入れバージョン)・デプロイ後30連続日のカバレッジという3つの成果物として整理されます。
なお、AI/Scannerは確認を補助しますが、受入可否や対象範囲、見積は自動確定せず、代表レビューを経て、人が最終判断する設計です。適合判定はセキュリティ上の安全性を評価する診断・監査ではありません。
対象アプリのフレームワークはNext.js(TypeScript)とFastAPI(Python)で、他スタックは個別相談となります。構成はSolo(単一アプリ)またはDuo(フロント+バックエンド、2サービスまで)に対応し、実行環境はAzure Container Apps(単一リージョン、Public HTTP)です。
受入れ単位は1アプリ / 1 受入れバージョン / 30連続日です。また、Azure OpenAIはRAGなどを含まない単純な推論処理に限ります。
v1標準範囲外となる条件も明示されています。複雑なネットワーク・分散構成としては、VNetやprivate endpointを含む構成(3層以上)が対象外です。高度なAI構成としては、RAGやagent、tool callingやmemoryを含む実装が対象外となります。
その他の対象外条件としては、RBAC/ABACや承認ワークフローを要する複雑な権限管理が挙げられます。また、WAF・CDN・Front Door・multi-regionといった大規模インフラも標準範囲外です。マイクロサービスやjobs/worker/queue、WebSocket、SOC2/ISMSやPCI等の監査対応、マイナンバー・決済カード・大量医療・生体データへの対応はいずれも個別見積で対応可否を判断します。
ハルシナリオの価格体系
全案件共通のコア工程(適合診断〜30日カバレッジ、税抜¥225,000)にアドオンを組み合わせる積算方式です。Azure(クラウド)の従量課金費用は別途顧客負担となります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社ハルシナリオ(Hallucinario K.K.) |
| 代表取締役 | 姉川 将之(ANEKAWA, Masayuki) |
| 所在地 | 神奈川県横浜市 |
| 事業内容 | 現場製アプリへの信頼化レイヤー追加 |
| 提供開始日 | 2026年7月6日 |
| クイックチェック | ¥29,500(税抜)(適合診断・信頼化ギャップレポート、実装作業は含まない) |
| スモールスタート | ¥295,000〜(税抜)(コア工程+M365認証。小規模な社内利用への最小信頼化) |
| レギュラートラスト | ¥925,000〜(税抜)(スモールスタートの全て+拡張認証+Duo+Azure OpenAI+AI Safety+ストレージ) |
| エンタープライズ | ¥1,455,000〜(税抜)(レギュラートラストの全て+顧客Azure環境対応+DNS+セキュリティチェックシート対応) |
| 環境サーチャージ | ¥80,000〜¥200,000/項目(顧客Azure環境にAzure Policy等の制約がある場合、事前診断のうえ提示) |
| 企業URL | https://corp.hallucinar.io |
trends編集部の一言
バイブコーディングで作られた業務アプリが「動くのに会社では使えない」という状況は、生成AIの普及とともに多くの組織で起きています。マーケティングの現場でも、ちょっとした集計・レポート自動化のスクリプトをチームで共有しようとすると、情シスへの説明や承認フローで止まってしまう経験は珍しくないのではないでしょうか。
「信頼化」という概念を明示的にサービス化した点は、業界全体としても注目に値する動きです。これまで「セキュリティ審査」や「システム導入稟議」として各社がばらばらに対応してきた非機能要件の整備を、小規模アプリ向けに体系化・定額化したアプローチは、マーケティング業界の文脈に置き換えると、現場主導のコンテンツ・業務ツール整備における承認プロセスの標準化という課題と重なります。小規模アプリ向けの初期診断を切り出した価格設定は、現場主導のDXにおける導入前整理の選択肢として位置づけられます。
References
- ^ PR TIMES. 「生成AI産の現場アプリを「会社で使える状態」に整える信頼化サービス「ハルシナリオ」、7月6日提供開始 | 株式会社ハルシナリオのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000158855.html, (参照 26-07-08).
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