
AIが自然言語に沿ってプログラムを生成する、AI駆動型のシステム開発が日々進化を進めています。Googleでは先日、自身のPC上でAIに指示するだけでコードファイル・フォルダを生成できるGemini CLIを公開しました。
Gemini CLIを使うことで、プログラミングできなくても作りたい内容をAIに相談しつつ、理想のシステムやアプリを作成できるバイブコーディングを実現できます。
バイブコーディングとは、AIに「こうしたい」と伝えるだけでコーディングのほとんどを任せる新しい開発スタイルです。自分で細かく実装するのではなく、AIと対話しながら進めるのが特徴です。試作や小規模な開発には便利ですが、大きなシステムでは注意が必要です。
本記事ではGemini CLIの概要やインストール方法を紹介。また実際にデスクトップアプリを作成するまでの過程を詳しく解説します。
Gemini CLIとは
Gemini CLIはGoogleが2025年6月に公開した、コマンドラインで動作するAIエージェントです。開発者がターミナル内でAIと会話するように操作できるツールで、Googleの大規模言語モデル「Gemini 1.5 Pro」に対応しています。
無料で利用できるうえにApache 2.0ライセンスのオープンソースとして提供されており、Node.jsが動作する環境があれば誰でも簡単に導入できるのが魅力。Googleアカウントと「Gemini Code Assist」ライセンスの取得によって、1分あたり60回・1日最大1,000回までAIを呼び出すことが可能です。
Gemini CLIでできること
コード生成と修正
- 自然言語での指示からコードを作成
- バグ修正やコードの整理も可能
- ファイル内検索や操作もサポート
ターミナル作業の補助
- シェルコマンドの実行・説明が可能
- ディレクトリ構造やファイル内容の把握
- 自然言語でのタスク管理
情報収集とドキュメント作成
- 技術文書の下書き生成
- 翻訳や英文ライティングも対応
- 検索ツールとの連携によるリサーチ支援
拡張性と外部連携
- GitHubでカスタマイズ可能
- MCP対応で外部ツールと連携
- 画像・動画生成との連動も予定
安心のセキュリティ設計
- ローカルでの安全な動作
- ファイル操作には明示的な許可が必要
- 出力やログの管理も可能
Gemini CLIはコマンドライン環境から離れずにAIの支援を受けられる、新しい形の開発ツールです。高性能なAIと連携しながらオープンソースかつ無料で活用できる点で、多くの開発者から注目されています。
Gemini CLIの使い方
Gemini CLIを利用するには、Node.jsのバージョン18以降がインストールされている必要があります。Node.jsのバージョン18以降は以下の公式ページからインストールできます。
Node.js:https://nodejs.org/ja/download/
Gemini CLIの始め方
はじめにターミナルを開き、任意の場所にGemini CLI用のフォルダを作成します。
【フォルダを作るコマンド】
mkdir フォルダ名
作成したフォルダへ移動し、以下のコマンドを実行してGemini CLIをインストールします。
npm install -g @google/gemini-cli
インストール後は以下のコマンドを実行してください。
gemini

すると上記の画面が表示されます。

スクロールするとGemini CLIを利用する手段として以下3つの選択肢が表示されます。
- i with Google:Googleアカウントと連携して利用する
- Gemini API key:GeminiのAPIキーを入力して利用する
- Vertex AI:Vertex AIと連携して利用する
特にこだわりのない場合は「Login with Google」を選択することがおすすめです。

上記の画面が表示されたらGoogleアカウントとの連携完了です。
Gemini CLIの使い方:バイブコーディングでコードを触らずにデスクトップアプリを作ってみる

Gogoleアカウントとの連携が終わってターミナルに戻ると、プロンプトの入力欄が表示されます。ここに作りたい内容を入力すると、その内容に沿ったプログラムを生成してくれます。
今回は以下の要件を入力し、日々のタスクを管理する簡単なデスクトップアプリを作ってみます。
【デスクトップアプリの要件】
Python + PyQt5 で以下の仕様のアプリを作成してください。
【前日登録】
・前日21:00以降に「明日のタスクを入力する」ダイアログが表示される
・入力されたタスクは翌日の日付で JSON に保存(例:tasks/2025-06-28.json)
【当日表示】
・Windows起動時にアプリが自動起動
・前日に登録されたタスクが「チェックリスト」で表示される
・進捗バー付き、すべて完了で「寝ていいぞ」と表示
・タスクがなければ「タスク未登録です」と通知
【その他】
・GUIは PyQt5
・データは日付単位の JSON 保存
・完了演出あり(メッセージ+音)
・PyInstaller で exe 化できるように設計

入力内容は「Enter」で実行。「Ctrl(Command)+Enter」でテキストを改行できます。

プロンプトを実行すると要件内容の確認が始まりました。内容に問題がないので「お願いします。」と返答すると作業を実施してくれます。

コマンドの実行など特定の処理を実施する際、こちら側へ回答を求めることがあります。その際は内容に沿った答えを選択肢から選んでEnterキーを押してください。

バイブコーディング中に変えたい内容が出てきたときは、その内容を伝えるだけでOK。今回は音声機能の搭載をいらないと判断したので「音声は無しでいいです。」と実行します。

Gemini CLIでバイブコーディングを進める過程で、上記のようにユーザー側がやるべきことを提示されることもあります。
今回はバッチファイルのショートカット作成とフォルダ間の移動を指示されたので、内容に沿って実行していきます。

指定されたフォルダに生成されていたバッチファイルのショートカットを作成。

「スタートアップ」フォルダを開き、先ほどのショートカットを移動します。このようにやるべきことの手順を具体的に提示してくれるのもGemini CLIの魅力です。

最後にプロジェクトフォルダ内に生成されたアプリケーションをクリックし、デスクトップアプリの挙動をチェックします。

上記のようにエラーが表示されました。Gemini CLIのようにプログラム開発系のAIエージェントでは、このようなエラー発生がつきものです。
Gemini CLIを使ったコーディングでエラーが出たときの対応策

エラーが発生したときは、その内容をコピーしてGemini CLIへ貼り付けて実行します。

特定のコマンドを実行するよう指示されました。しかしコマンドでの実行はGemini CLIでもできるはずなので「この処理をあなたに実行してほしいのですが、出来ますか?」と聞いてみます。

できるんかい。
このように、Gemini CLIができる処理もこちらにお願いすることがあります。コマンド上の操作はGemini CLIができるはずなので、もしそのときは実行を促してみてください。

エラー対応が終わったあとに改めてアプリを実行すると、上記のようにタスクの入力画面が表示されました。
今回はテストとして上記3つのタスクを入力して「OK」をクリックします。これで今日(6/28)指定したタスクが明日に表示されるはずです。

PCを起動すると、前日に設定されたタスクが表示されました。

終わったタスクにチェックを入れると、進み具合を表示する機能も実装できています。このように、Gemini CLIを使うことにより、ほぼ日本語の指示だけで希望のツールを生成できます。