株式会社イーグリッドは、2026年4月よりタイ・バンコクで電動バイク向けテレマティクスプラットフォームの実証実験を正式に開始し、2026年6月19日にオープニングセレモニーを開催しました。
ASEANフリート事業者が抱える3つの経営損失とイーグリッドのアプローチ
タイだけで数百万台が走行するバイクタクシー・宅配バイクは、ASEANの物流・生活インフラを支える基幹産業です。多くのフリート事業者が「見えないコスト」に経営を圧迫されており、電力消費ロスや事故リスク、管理コストという3つの経営損失が課題となっています。
株式会社イーグリッドが提供するのは「データから運転行動を変える」という根本的アプローチです。GPSや速度センサー、加速度センサー、AIの組み合わせにより、これら3つの課題を同時解決する独自のテレマティクスプラットフォームを構築しました。電動バイクを保有するバイクタクシー・宅配事業者を対象としたBtoBプラットフォームとして設計されています。
イーグリッドの4つの機能で走るデータ基盤を実現するサービス内容
バイクに乗った瞬間からすべての走行データを収集・AI解析し、ドライバーひとりひとりにリアルタイムでフィードバックを届けます。GPSや速度センサー、加速度センサーのデータをクラウドで処理し、急加速・急減速・無駄なアイドリングなどのパターンをAIが検知する仕組みです。スコアと改善提案をアプリで届け、運転行動変容を継続的に促します。
サービスが提供する4つの機能は以下の通りです。
- リアルタイム走行データ収集:電動バイク20台の走行データとバッテリーのセルデータを常時収集
- セーフティードライブ診断:安全運転上の非効率パターンをAIが自動検知しドライバーごとにスコア化
- エコドライブ診断:走行後にスコア・ランキング・改善提案をプッシュ通知し行動変容を継続促進
- フリート管理:フリート全体の消費エネルギー・安全スコア・コスト削減効果をリアルタイムで一元可視化
本サービスは、ドライバーやフリート事業者、社会の3層すべてに価値を届けるよう設計されています。個々のドライバーが指示なく自ら改善するよう促すことで、管理コストの削減にもつながるでしょう。
イーグリッドサービスで得られる3つの定量的価値
NEDO実証研究で検証し、商用化後のサービスとして提供予定の効果として、フリート事業者には3つの定量的な経営改善効果が期待されます。急加速・急制動の低減により、電動バイク1台あたりの電力コスト20%削減が見込まれる試算です。フリート規模が大きいほど効果は拡大するとされています。
安全スコアによる行動変容で、修理費や保険費、ダウンタイムが同時に減少し、事故・故障リスクの低下も期待できます。加えて、フリート全体の稼働データを一元管理することによって、管理者がリアルタイムで現場を把握し、的確な指示と改善施策を実行できる業務の可視化・意思決定支援が可能です。
イーグリッド実証事業のオープニングセレモニーと今後の展開ロードマップ
2026年6月19日(金)、タイ・バンコク市内のホテルにて「(株)イーグリッドNEDO実証事業 バンコク・オープニングセレモニー」が開催されました。タイ工業省 部長Kittipan氏・在タイ日本国大使館 一等書記官 沼尻氏・NEDO部長川村氏・Jowit Global CEO Nikorn氏、島根県をはじめ、日タイ両国の政府・産業界の関係者・現地メディアなど約50名が参集しました。開催時間は3時間にわたり、盛況のうちに幕を閉じています。
来賓スピーチに先立ち、代表取締役CEO 小村 淳浩氏はコメントで「本日このセレモニーを、日タイ両国の政府・産業界の皆様とともに、盛大に開催できたことを心から嬉しく思います」と述べました。会場ではGPSと加速度センサーで取得した走行データをAIが解析するエコドライブ診断のライブデモや電動バイク2台の実機展示も実施され、現地・日系企業の担当者から多数の質問が寄せられています。
今後の展開ロードマップは以下の通りです。
- 2026年内:バンコク実証フェーズ、20台・5充電ステーションでデータ収集・AIモデル構築・効果検証
- 2027年〜:タイ国内商用化、バイクタクシー・宅配事業者向けBtoBサービス正式提供・台数拡大
- 2028年〜:インドネシア・ベトナム・フィリピン等の主要都市へASEAN展開
- 長期:グローバル商用電動フリート管理プラットフォームとして世界市場へ
小村 淳浩氏は「私たちのテクノロジーが運転行動を変え、エネルギー省力化に寄与し、命を救う——その可能性を、これから現実の数字で証明してまいります」と今後への意気込みを語りました。
株式会社イーグリッド 会社概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社イーグリッド(e-Grid inc.) |
| 本社所在地 | 〒693-0057 島根県出雲市常松町526 |
| 代表者 | 代表取締役CEO 小村 淳浩 |
| 設立 | 2010年11月1日 |
| 資本金 | 4,000万円 |
| 従業員数 | 126名(2026年4月現在) |
| 事業内容 | ソフトウェア受託開発(AI駆動開発/アジャイル開発)、MaaS事業、デジタルマーケティング、DXコンサルティング 他 |
| URL | https://www.e-grid.co.jp/ |
trends編集部の一言
電動バイク20台という小規模な実証実験から出発しつつ、電力消費量の20%以上削減という定量目標とASEAN全域への展開を視野に入れている点は、事業スケールの大きさとして注目に値します。業界全体としては、フリート管理にAIを組み込み個別フィードバックで自発的な行動変容を促すアプローチは、物流・配送業界を中心に急速に関心が高まっており、「現場データをどう経営判断に活かすか」という課題への一つの回答として位置づけられます。
「データから運転行動を変える」という設計思想は、マーケティング業界の文脈に置き換えると「データからユーザー行動を変える」という施策設計と本質が近いものです。個別フィードバックループで自発的な改善を促す仕組みは、業種を超えた示唆を持つ構造といえるでしょう。NEDOの国際実証プログラムに採択された事業として、2027年以降の商用化フェーズがどのような数字を出すか、注目しておく価値があります。
References
- ^ PR TIMES. 「イーグリッド、電動バイクの電力消費を最大20%削減へ—AI運転解析の実証研究をタイ・バンコクで開始 | 株式会社イーグリッドのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000105966.html, (参照 26-06-24).
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