株式会社Calarisは2026年6月、双方向対話型AIアセスメント「Calaris Assess」の本格提供を開始しました。
Calaris Assessの提供背景と課題意識
PIAAC2023(OECD国際成人力調査)では、日本人の「適応的問題解決力」は参加国中トップとなっています。一方で、日本の一人当たり労働生産性はG7の中で最下位水準が続いており、個人の潜在能力が組織の成果に十分につながっていないという課題が指摘されてきました。
生成AIの急速な普及により、書類選考や筆記試験、構造化面接といった従来型の人材評価手法では、個々の本質的な力を見極めることがいっそう困難になりつつあります。回答を事前に精緻化することが容易になった結果、業界横断の課題として二つのケースが浮かび上がっています。「本来の力とは異なる形で評価された候補者が選考を通過する」ケースと、「真の潜在能力をもつ候補者がその力を見出されないまま選考を終える」ケースです。
株式会社Calarisは、こうした空白を埋めるべく、人の本質的な力(Caliber)を組織的・再現可能な評価基準として社会に根付かせることをミッションに掲げています。ミッションは「From Credentials to Caliber」——経歴(Credentials)ではなく本質的な力(Caliber)によって人が見出され、活かされ、伸びていく世界の実現です。
複数のAIエージェントが協働する対話設計の仕組み
「Calaris Assess」の核心は、複数のAIエージェントによる協働アーキテクチャにあります。対話を自然に設計・進行する「Navigator」と、候補者の発言をリアルタイムで分析し鋭い問いを生成する「Thinker」が協働することによって、動的な対話を実現します。
評価の軸は、候補者の回答そのものではなく、その背景にある思考プロセスです。対話を通じて把握された思考プロセスは構造化・定量化され、人事担当者および現場責任者が意思決定に直接活用できるレポートとして提示されます。段階的に深化する対話設計により、熟練した面接官による評価に迫る精度の実現を追求しています。
パイロット検証では、従来の選考手法では高評価を得ていた候補者と低評価にとどまっていた候補者の評価が逆転するケースが複数確認されました。経歴・職歴を中心とした評価では捉えきれない力を可視化できる可能性が示されており、評価者間のばらつきを低減できることも検証済みです。
現在は、複数のコンサルティングファームおよび大手日系企業と、国内外の拠点を含めパイロット導入・検証を進めています。このパイロット導入・検証を踏まえ、本格提供開始後は正式導入へ向けた展開を加速していく方針です。多言語・多職種対応も順次拡充し、グローバルでの人材評価基盤としての展開を見据えた開発を進めます。
Calarisの資金調達と社名変更の概要
今回の資金調達は、UTECをリード投資家とし、D4V合同会社(D4V)を引受先とするエクイティ投資で、総額6億円を調達しました。調達資金は、プロダクト開発・セールス両領域における人材採用と、「Calaris Assess」のグローバルでの導入企業拡大に向けた事業投資を中心に充当します。
UTECの代表取締役COO マネージングパートナー坂本 教晃氏は、「生成AIの普及によって、日本の効率的な採用プロセスは完全に形骸化し、通用しない時代が到来している」と述べ、AIが揺るがした旧来の評価方式をAIを使ってより高度に再構築する取り組みへの期待を示しました。D4VのパートナーであるDesign for Ventures太田 明日美氏は、「機能性・完成度の両面で高い評価を得ている」とプロダクトの完成度を評価し、Caliberに光を当てる挑戦が日本発でグローバルに広がることへの期待を示しています。
「Calaris Assess」の本格提供開始を機に、社名を「株式会社Solvere」から「株式会社Calaris(カラリス)」へ変更しました。「Calaris」は、本質的な能力・器量を意味する「Caliber」と、北極星を意味する「Polaris」を掛け合わせた造語です。Caliberが人の道筋を照らす北極星でありたいという志を社名に込めています。
代表取締役CEO岸谷 祥平氏は、「見出したCaliberを磨く「Upskill」、最も価値を発揮できる機会へとつなぐ「Bridge」、そしてそれらの人材の力を増幅する組織変革を行う「Org Transformation」——このロードマップを、UTEC・D4Vとともに、社会に実装してまいります」と述べています。
Calaris Assessの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社Calaris(カラリス) 旧社名:株式会社Solvere |
| 所在地 | 東京都品川区東五反田5-22-33 TK池田山ビル2F/3F |
| 代表者 | 代表取締役CEO 岸谷 祥平 |
| 設立 | 2025年8月1日 |
| サービス名 | Calaris Assess |
| サービス区分 | 双方向対話型AIアセスメント |
| 提供開始 | 2026年6月(本格提供開始) |
| 主な機能 | 複数AIエージェント(Navigator・Thinker)による動的対話 思考プロセスの構造化・定量化 人事担当者および現場責任者向けレポート提示 |
| 調達額 | 総額6億円(UTECリード・D4V引受) |
| コーポレートサイト | https://calaris.jp |
trends編集部の一言
PIAAC2023(OECD国際成人力調査)で日本人の「適応的問題解決力」が参加国トップでありながら、一人当たり労働生産性がG7最下位水準という対比は、採用・人材評価の文脈で繰り返し引用されてきたデータです。業界全体としては、「潜在能力のある人が適切に評価されていない」という課題感が採用・育成のあらゆる場面で共通の悩みになっているという傾向が広がっており、この構造的なギャップへの関心は採用業界にとどまらず高まっています。
生成AIの普及で「回答の精緻化が誰でもできる時代」になったことで、従来の筆記試験や構造化面接の限界が一気に顕在化しました。マーケティングの文脈に置き換えると、コンテンツのクオリティが均質化していく中で「誰がつくったか」より「どう考えるか」が問われる局面に似ており、思考プロセスを評価軸に据える設計は、業界横断で注目しておく価値がある動きと言えます。
パイロット検証で評価の逆転ケースが複数確認されているという点も印象的でした。経歴中心の評価が長年の慣習として根付いている日本市場において、「対話で思考プロセスを測る」アプローチがどこまで組織に受け入れられていくか、今後の展開は採用市場全体の変化を測る動きとして注目されそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「経歴だけでは見えない、人の本質的な力に光をあてる。双方向対話型AIアセスメント Calaris Assess 2026年6月より本格提供開始 | 株式会社Calarisのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000180729.html, (参照 26-06-01).
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