Google Cloudは2026年7月9日、ネットワークとブロックストレージのI/O(入出力)に最適化したGoogle Compute Engine初のインスタンス「C4N」の一般提供(GA)を開始しました。GA対象のVMシェイプは、本番ワークロードで利用できます。
C4N一般提供の3行まとめ
今回の発表の要点を、先に3点に整理します。
- ネットワークとストレージ最適化VM「C4N」が一般提供を開始
- 最大400Gbpsの帯域と95MPPSのパケット処理をGoogleが公表
- ローカルSSD搭載版とベアメタルシェイプは近日提供
本記事は公表時点の情報にもとづきます。仕様や提供状況、料金は変わる可能性があります。
導入や利用を判断する際は、各自の責任で公式情報の最新の内容をご確認ください。
設定変更やアップデートを行う場合は、必ず事前にバックアップを取得し、検証環境で確認したうえで実施してください。
C4NはI/Oに最適化した新しいCompute Engine VM
C4Nは、ネットワークとブロックストレージのI/Oボトルネックの解消を狙って設計された、Google Compute Engine初のI/O最適化インスタンスです。高スループットのデータベースやネットワーク機器、リアルタイム分析、CPUベースのAI/ML推論といった負荷の高い企業向けワークロードを主な対象としています。
性能の土台になるのは、Google独自のオフロード基盤Titanium(ネットワークやストレージの処理を専用ハードウェアが受け持つ仕組み)です。CPUをI/O処理から解放し、計算リソースをアプリケーション本来の処理へ振り向けます。
- Google独自のオフロード基盤Titaniumを採用
- 第5世代Intel Xeon(コード名Emerald Rapids)を搭載
- 有償アドオンなしで標準構成のまま高性能を発揮
C4Nのネットワーク性能は最大400Gbps・95MPPS
C4Nはネットワーク性能を大きく引き上げ、VM間で最大400Gbpsの帯域に対応します。パケット処理性能は最大95MPPS(MPPSは毎秒100万パケットを表す単位)に達します。
Googleは、他社のIntelベースの同等インスタンスと比べ、vCPU(仮想CPU)あたりのネットワーク帯域が約33%高く、パケット処理性能は224%速いと説明しています。
| 項目 | 性能 |
|---|---|
| VM間ネットワーク帯域 | 最大400Gbps |
| 単一フロー帯域 | 同一VPC内のC4N間で最大50Gbps |
| インターネット向け帯域 | 最大200Gbps(送信、C4比で約8倍) |
| パケット処理性能 | 最大95MPPS |
| インターネット向けパケット処理 | 最大48MPPS(送信、C4比で約32倍) |
| Cloud Storage転送帯域 | 大量データの取得・保存で最大2倍 |
小型シェイプと標準構成の強化
2〜16vCPUの小型シェイプ(vCPUやメモリの構成で決まるマシンの型)でも最大25〜50Gbpsの帯域を利用でき、I/O主体の処理を過剰なリソース確保なしに高速化できる点が利点です。
gVNIC(Google独自の仮想ネットワークインターフェース)のTx/Rxキューは既定で増え、vCPUに応じて最大64まで拡張します。C4やC4Dの16キューから増えており、追加設定なしで通信性能を引き出せる点も改善されました。
これらの性能は、Tier_1 networking(高性能ネットワーク向けの有償オプション)のような追加アドオンを購入せずに標準構成のまま利用できます。追加のオプション設定を前提としない設計です。
C4Nのストレージ性能はHyperdiskで最高水準
ストレージ面では、高性能ブロックストレージのHyperdiskと組み合わせることで、x86ワークロード向けに、vCPUあたりで最高水準のブロックストレージI/Oを引き出せます。GoogleはvCPUあたりのストレージ帯域が他社のIntelベース同等品より約33%高く、vCPUあたりのIOPS(1秒あたりの入出力回数)が39%多いと説明しています。
| 項目 | 性能 |
|---|---|
| Hyperdisk Extreme スループット | 最大25GiB/s |
| Hyperdisk Extreme IOPS | 最大約100万IOPS |
| Hyperdisk Balanced スループット | 最大20GiB/s |
| Hyperdisk Balanced IOPS | 最大約64万IOPS |
| 対応するHyperdisk | Balanced/Balanced HA/Extreme/Throughput/ML |
対応するHyperdiskは上表のとおり5種類あり、各タイプの用途や性能上限までは本記事で解説しきれません。詳細は公式のHyperdisk対応一覧をご確認ください。
Hyperdisk Extremeを最小サイズから利用可能
C4Nの強化点として、Hyperdisk Extremeを2vCPUの最小サイズを含む全サイズで利用できるようになりました。Hyperdisk Extreme構成では、C4と比べてストレージ性能がおよそ2倍に高まっています。
実ワークロードでの効果と主な用途
Googleは実アプリケーションでの改善幅も示しています。RPS(毎秒リクエスト数)やQPS(毎秒クエリ数)での代表値は次のとおりです。
| ワークロード | 改善幅(Google公表) |
|---|---|
| Webサーバ(Nginx) | リクエストサイズ100〜300KBで最大1.5倍のRPS |
| データベース(MySQL) | データが主にディスク上にある場合に最大45%高いQPS |
想定する用途は、次世代ファイアウォールや仮想ルータ、ロードバランサ、DDoS対策といった仮想アプライアンスです。加えて、5Gコアのデータ転送を担う機能(5G UPF、User Plane Function)や大規模分析、分散処理、CPUベースのAI/ML推論も対象に挙げられています。
提供シェイプ・提供状態・リージョン
C4Nは2〜192vCPU、最大1.5TBのDDR5メモリに対応する9種類のサイズを備え、high-cpu・standard・high-memの構成が用意されています。ローカルSSD搭載版はTitanium SSDを最大12TiBまで搭載する構成で、近日提供の予定です。
| マシンタイプ | 構成の目安 |
|---|---|
| C4n-highcpu | 2〜192vCPU/メモリ4〜384GB |
| C4n-standard | 2〜192vCPU/メモリ7〜720GB |
| C4n-standard-lssd(近日提供) | 4〜192vCPU/ローカルSSD 375〜12,000GiB |
| C4n-highmem | 2〜192vCPU/メモリ15〜1,488GB |
| C4n-highmem-lssd(近日提供) | 4〜192vCPU/メモリ31〜1,488GB |
一般提供と近日提供の切り分け
機能によって提供状態が分かれており、ローカルSSD搭載版とベアメタルシェイプは近日提供の段階です。現時点で一般提供されている範囲を、下の表で整理します。
| 項目 | 提供状態 |
|---|---|
| C4N本体(VMシェイプ) | 一般提供(GA) |
| ローカルSSD(最大12TiB) | 近日提供(プレビュー申込を受付) |
| ベアメタルシェイプ | 近日提供 |
| 対応サービス | Compute EngineとGKE(他は近日対応) |
購入形態と提供リージョン
購入はオンデマンド、Spot VM、予約に加え、1年および3年のCUDs(確約利用割引)やFlexCUDsを選べます。提供リージョンは、us-central1(アイオワ)、us-east1(サウスカロライナ)、us-east5(オハイオ)、us-west1(オレゴン)、europe-west2(ロンドン)の5カ所です。
Google Cloud C4Nの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | Google Cloud |
| 製品 | C4N(ネットワーク最適化マシンシリーズ) |
| プロセッサ | 第5世代Intel Xeon(Emerald Rapids) |
| 提供状態 | 一般提供(GA) |
| 最大性能 | ネットワーク400Gbps/ストレージ25GiB/s |
| 主な用途 | 仮想アプライアンス/5Gコア/大規模分析/CPUベースAI推論 |
| 発表 | 公式発表ページ |
trends編集部の一言
C4Nは、汎用VMでは頭打ちになりがちなI/Oを、Titaniumのオフロードで押し上げる設計が特徴です。ネットワーク機器やデータベース、通信基盤のように帯域とパケット処理が支配的なワークロードで、効果を見込みやすい構成といえます。
一方で、公表値の多くはGoogleによる自社比較や他社比較である点には留意しておきたいところです。導入を検討する際は、本文の提供状態の表と提供リージョンの記載で対象を確認し、自社の負荷特性で実測してから判断するのが堅実ではないでしょうか。
References
- ^ Google Cloud. 「C4N, now GA: Delivering cloud's highest per vCPU network and block storage I/O for x86 workloads」. https://cloud.google.com/blog/products/compute/c4n-network-and-storage-optimized-vms/, (参照 26-07-10).
※本記事は公式発表を基に編集しています。内容はAIで確認していますが、誤りや最新情報との差異がある場合はコメントよりご報告ください。
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